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第十七話 プール掃除と会話

 プール掃除一日目。すでにプールの水は抜いてあるが、底には砂などがこびりついているので、見た目はかなり汚くなっている。しかし俺たち水泳部はまず、プール内にある落ち葉や泥を外へ出して捨てる作業を始めた。

 水の入っていないプールを見たことがない人にはわかりにくいだろうが、25メートルで9コースもあるプールというのはかなり広く、深さもある。そのためプールの中に入り、落ち葉や泥を集め、バケツに入れる係と、その落ち葉や泥を森に捨てに行く係とに分かれた。効率よく掃除を進めるためである。そうして係で会話をしながら掃除をしていた。




 ゴミ捨て班(一年)


松田「そう言えば<バンプ>のアルバム聞いた?」

片山「ああ、いいよなー」

田村「最近は<REDWINPS>がいいぞ」

浜口「<藍坊主>も捨てがたいよなー」

 今時の高校生らしい会話が聞こえてくる。高校生といったらやはりああいう会話をするものなんだろうな……。



 掃除班(一年)


杉田「……いいじゃないですか奥さん。嫌いじゃないんでしょう?」

石井「もう嫌です!こんなこと主人に知られたら……」

杉田「もはや私たちは一蓮托生ですよ」

石井「……そ、そんな……」

 なんだこの小芝居。

杉田「……もう我慢できませんよ……」

石井「ああ、誰か助けて……!」

 なぜそこで二人揃って俺の方を見る。小芝居には付き合わんぞ。

杉田「……いい加減にあきらめたらどうなんです」

石井「……もうやめてください……」

 だからこっちを見るな。目で会話に参加するよう訴えかけるな。

杉田「……奥さん。何の冗談です」

石井「……あなたを殺して私も死ぬわ……」

 話は佳境に入ったようだった。決して関わらないようゴミ集めに集中する。俺があいつらに何も言わないのは、向こうも掃除自体はやっているからである。無駄話をしながらでもやることをやっていれば何も言う必要はない。

杉田「……た、助けてくれ……。うわあああああ」

 ついに不倫相手は殺されてしまったようだ。そう考えたことで、俺もこの話を楽しんでいたのだと知って苦笑した。俺もあいつらと同じレベルかな……。



石井「……さよなら、三井さん」



 ……不倫相手俺かよ!!!



 

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