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第十五話 数学教師

「いいかー、このようにだなー、確率の求め方はだなー、」

 数学の授業中、この日は確率の求め方についての説明をほぼ終えたところだった。

「いくつかのパターン化をしてだなー、場合の数として求めてだなー、」

 佐藤先生は説明に長々と必要のないことまで付け加えて話し続ける傾向にある。

「そしてだなー、この公式をそのまま覚えるのではなくてだなー、根本的にだなー、」

 さらに根本的だの加速度的だの幾何学的だの…的という言葉をよく使いたがるようだ。

「つまりだなー、このように確率の求め方を利用することでだなー、宝くじの当たる確率などもだなー、計算することができてだなー、」

 そう言うと、おもむろに黒板へこまごまとした計算式を書いていった。

「この式はまだお前らには早いかもしれんがなー、いずれ大学入試までにはできるようにするからなー、その覚悟をだなー、」

 黒板の式には数多くの記号なども交じっており、俺には理解できないものもあった。

「この式から導き出される結論はだなー、宝くじに当たる確率なんてだなー、天文学的にひくいことであることがだなー、」

 なるほど。実際の生活にも数学が役に立つことを説明しているのか。

 宝くじは当たらない、金の無駄だ、と。

「センセー、ならセンセーは宝くじ買わないんですかー?」

「いやそうではなくてだなー、」

 ……ん?

「宝くじは当てることを目的とするのではなくてだなー、夢を買うものであってだなー、」

 ……あれ?確率論云々は?

「当たる確率が低いと理解しながら買うことに意義があってだなー、」

 ……つまり買ってるのか……。

 ……今までの説明の意義は……?

 ……数学の意味は……?

「そういうところに男のロマンというものを感じてだなー、」

 ……この後もぐだぐだと言い訳を続けるダメな大人がいた。




 ……がんばれ、佐藤先生(机の上が片付けられない大人)。

 ……負けるな、佐藤先生(もうすぐ四十代、フィリピン人女性と離婚歴あり)。

 ……たたかえ、佐藤先生(現在数学教師陣唯一の独身者(ひとりもの))。


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