第十二話 草むしり
水泳部はプールの管理をしなければならない。その仕事はプール掃除に塩素の管理、ビート板などの整理やプールの周りの掃除や草むしり、コースロープ張りに背泳ぎのための旗の設置など多岐にわたる。今日はそのうちの一つ、草むしりをやらされていたのだが、義人の「黙々とやるのはつまらんから、山手線ゲームでもやりながら草むしりしよう」という意見に従い、
俺、石井の三人で山手線ゲームをしながら草むしりすることとなった。
「古今東西赤いもの」
「桂言葉」
「いきなり危ねえ!いろんな意味で!なんで開始がそれなんだよ!」
「ぱっと思いついたから」
「一番にそれを思いつくお前の思考回路に驚きだよ!」
「うわー、言われたー」
「石井、お前もか!」
もしかして俺がおかしいのか!?いや、そんなわけない。落ち着け、俺。
「……変えよう。古今東西昔はやったもの」
「ミニ四駆」
「ハイパーヨーヨー」
「たまごっち」
「デジモン」
「ビーダマン」
「ゾイド」
「おっはー」
「なんでだろう」
「間違いない」
「ダンディ坂野」
……ん?
「ちょっと待て。人名はいいのか?」
「いいんじゃないー?昔流行ってたしー」
<昔>の部分がまずい気がするが。
「ほれ、次旦那な」
「ああ、じゃあラッキーマン」
「そういえばー、デスノートの作者と一緒らしいねー」
「嘘だ!」
「ひぐらしネタか、旦那」
「いや、そうじゃなくて俺はそれを信じない」
「別にいいじゃんー、一緒でー」
「絶対大場つぐみとガモウひろしは別人だ」
「いろいろと証拠もあるらしいぞ」
「うるせー、絶対別人だ!」
「お前ら、掃除すんだか」
ごちゃごちゃと話していたら部長が来ていた。
「終わりましたよ」
「ここらへんは全部」
「結構きれいになりましたねー」
うむ、きれいになった。
「お前らあんだけ騒ぎながら仕事してたんだな……」
当然のことなのに、部長は何か問題でもあるのだろうか。まるで変なものを見ているかのような目つきをするのはやめてほしいものだ。
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