第十話 芭蕉
ある日の古典の授業中。
「私今日朝の占い(フジテレビ系列)最下位だったんですよね」
そうですか。
「普段と違うことをするといいそうです」
ふむふむ。
「というわけで今日は授業をやめて別のことをします」
この人は何を考えて生きているのだろう。
「有名な芭蕉の俳句に短句を加えて面白おかしくしてください」
面白おかしく?
「なお成績に加味します」
この人を教師にしておいていいのだろうか。
「三十秒以内に答えてください」
クイズ番組か。
「ではまず杉田。<古池や 蛙飛びこむ 水の音>」
義人か。何て答える?
「<ああ間違えた 飛びこむ人だ(笑)>」
事件だ!しかも笑う要素が見当たらねえ!!
「85点ですね」
結構高得点だ!そういうのでいいのか!?
「では次、菅原。<夏草や 兵どもが 夢の跡>」
知らない女子か。
「<無理心中した 美少年たち>」
腐女子だ!菅原さん絶対腐女子だ!!
「80点です」
名作が汚されたのにそれでいいのか!?
「次、三井。<閑かさや 岩にしみ入る 蝉の声>」
俺か。
「……<無垢な自然に 澄み渡りけり>」
よし、これならそこそこいいだろう。
「10点ですね。面白くないので。追試です」
追試!?しかもみんなの目が冷てえ!なんだよその「空気読めよ」みたいな目は!?授業中だからまともな解答したのに!俺がおかしいのか!?変なのか!?
「<荒海や 佐渡に横たふ 天の川>」
……しかたない。
「……<織姫渡って 浮気に参上>」
「いいでしょう。合格です」
……芭蕉さんごめんなさい。
ついに十話です。短いですがこれからもよろしくお願いします。こうしたほうがいいという要望があったらメッセージください。