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愛しの白雪姫  作者: 小山 洸
白い出戻り姫とバイクに跨ったKYな王子様
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白い出戻り姫とバイクに跨ったKYな王子様 -プロローグ

人から告白されたり、愛をささやかれたりすることはあっても

自分からそれを誰かに告げたいと思ったことはなかった

自分の力の及ばないところで自分を中心に争いが起こる毎日

自分は勝者に与えられる賞品か何かに思われているのではないかと感じる日々

周りから押し付けられた印象

誰もみようとしない俺自身の本当の姿

俺を見てくれないなら

家族以外の誰かと特別になりたいと思わなかった

あの人に会うまでは


俺を一人の人間として見てくれるあの瞳

おそらく俺とは反対の場所にいて

俺と似たような毎日を生きるあの人

あの人がほしい

あの人の近くにいたい

ただそれだけの毎日で

気が付いたらあの人を深く傷つけていた

そして、あの人は俺の目の前から消えてしまった




誰よりも愛しいあの人

俺の白雪姫



あの人が手に入らないのならば

俺は誰もいらない


「ただいま~」


ガラガラと木製の引き戸の玄関が大きな音を立てると同時に屋内に響くよう大声で挨拶をした。

地震が来た、パタッと潰れちゃうのではないかと子供の心に思っていたが、いまだ辛抱強く辛抱強く建っているリノベーションも何もされていない古い家屋。どんなに気を付けてつま先立ちで歩いてもぎぃぎぃと、音のなる板の間の廊下、畳の香り、家中漂う懐かしい匂いは、家族が丹精込めて育てている薬草の匂い。


あぁ、帰ってきたんだな、と思う。

この家を出たのは、自分が十六の冬だった。


子供でまだまだ視野の狭かった私は、自分の置かれた環境や自分の創りだした世界に雁字搦めになり、恐れ、そして逃げ出した。


あれから十五年。


祖父母の家から新しい高校に通い、留年もせず何とか高校を卒業することができた。

地方のだが祖父母の家から通える国立大学の医学部にも浪人することもなく合格。

心配をかけた両親に報いたい・恩返しがしたい一心で学業に励み、卒業。研修医としての期間も終え、やっと一人前の医者になってみれば三十歳を超えていた。


米寿を過ぎても夜間に一人で車を乗り回す祖母や卒寿を過ぎても釣り具をもってフラフラ自転車で国道を走る祖父などことを考えると、両親の代わりに面倒を見てくれていた祖父母の面倒は自分がみようなんて思っていたのに、定年退職を機に、奥さんと離婚して叔父が出戻ってきた。『ここから先は僕が親孝行するから、君もそろそろ自分の両親孝行をどう?』なんて叔父に背をおされたのがつい最近。


夜間救急外来を専門にしているちょっと特殊な開業医の実家は、いつも人不足・医者不足。医者としては駆け出しだけれども、長い間心労をかけ続けた両親の恩返しになるのならばと戻ることを決意した。


昔逃げ出した場所で、どこまでやれるのかはわからない。

あそこからここまで自分を築きあげれたその事実を土台にして

頑張るしかない。


木村 けい。 三十二歳、独身。

名前は凛々しいが性別は女だ


のんびり気ままに書く予定です

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