異界の守護者
駆ける
駆ける
駆ける
青年は駆ける
いきなり降りだした雨に、雨宿りを強いられる人達の前を、青年は走り抜ける
そんな青年を、少し離れて追いかける者達がいる
その者達を目で追いながら、追跡する彼らは思う
・・あれは・・危険なニンゲンだ
危険なニンゲンを、さらに離れて監視しているモノ
人の目に映らぬ、異形のモノ
偉大なるあの方々は言っていた
アレらは次郎様達を監視し、命令のまま危害を与える危険なニンゲンだと
次郎様は、雨に濡れながら必死の形相で駆けている
危険なニンゲン達は、一定間隔を維持しながら追いかける
数は2
それぞれ武器を携行している
攻撃命令は出ていない事は、追跡に徹している行動を見ても明らかだが・・状況によっては分からない
すぐに行動できるように、我々は次郎様への防御術式を組み上げる
文言一つで発動出来るようにしつつ、使う機会が無ければ良い・・とも思う
我々は次郎様をお守りする。それは我々の存在意義と言っても過言ではない
次郎様や、妹である華様は、この国の政府から特jdという訳の分からない略称を付けられ、常に監視を受けてしまっている
その為、我々はニンゲンの目に映らないよう擬態し、存在を知られないよう護衛する
・・本当は護衛の名の元に、監視するニンゲンを刈り取り取って、安全を確保したいのだが・・それは次郎様や華様に、要らぬ迷惑をかけてしまうであろう
偉大なるあの方々は、次郎様には我々の世界について何も教えず、この世界で自由にニンゲンと暮らしてほしい・・と、最期まで願っていたのだ。それを我々が崩してはならない
我々はあくまで、危険なニンゲンを監視し、危害を及ぼすニンゲンを排除するだけだ
次郎様の目に、彼らは映らない
同様に我々の姿も映っていないだろう
しかし、それでよい
!?
耳元で緊急を知らせる報告が入る
別行動をしていた華様を護衛していた者からだ
・・・・・・華様が・・・・ニンゲンに刺されたっ!?
同様の報告を受けていた者達に緊張が走る
華様の護衛にまわっていた者のうち2体が既に死を迎え、我々に報告している者も攻撃を受けているのか、所々にノイズが入る
至急華様の救援に2体を向かわせる。ここからなら、ほんの数秒で行く事の出来る場所
しかし、妙だ
戦闘の気配は全く感じられなかった
次郎様の防御だけならば私も含め2体で充分だと思っていたが、万が一の事がある
狙撃の準備をしていたも1体も、念の為に防御側にまわってもらう
それでも不安は尽きない
・・華様の元には3体をつけていた。しかし、我々の防御が崩されたとなると・・
っ!?
次郎様が走って向かっている方向は・・やはり華様のいる場所の可能性が高い
このまま華様の元へ向かわせる事は、未知の危険に向かわせる事になる
次郎様を追跡するニンゲンが足を早める
迷う猶予は無い
1体が防御術式を緊急展開
次郎様の周囲に全方位3重結界、後方に38枚の防御障壁を発現させる
合わせて2体がニンゲンの前方3メートルに転移
転移の影響で可視化した我々を見て、ニンゲンが一瞬目を見開く
転移後すぐに両腕を硬質化させつつ、ニンゲンに向かって駆ける
ニンゲンはスピードを落とさないまま、いつの間にか持っていたナイフを投擲
硬質化した左腕でナイフの軌道をそらしつつ、ニンゲンの心臓に向けて右腕を・・伸ばすっ!
胸に穴を開けて倒れたニンゲンに背を向け、もう一人のニンゲンの気配を探る
・・無事に排除出来たようだ
脅威を排除した我々は、身体を不可視化させ次郎様の元へ向かう
それから10分後
走り続けていた次郎様の足が止まる
その先では、死して光となった5体と・・・・
主人公目線で書いたものを、守護者目線に直した・・。無駄なことをしてしまった。だが、後悔は無い。
この話から若干時間が経ち、序章へと繋がります。
時系列をバラバラにしそうな予感。
これが専務クオリティ♪