文化祭と後悔
夕です!
なんだか最近学園中が慌ただしい。
「楽しみね」
「そうですね」「だなっ、俺なっ俺なっ」
例の3人もいつも以上にさわがしい。
なんかあるのか?
ガラガラ…と教室に入る。
「あっ、おはようございます!」
珍しいな、ノウがいる。
いつもはチャイムが鳴ってから来るのに。
「なーカナタ。なんでみんなテンション高いんだ?」
となりでまだ眠そうなカナタに声をかける。
「あ?んとな、ポスターがあったろ、2週間後にこの学園で文化祭があるんだ」
「へぇー」
文化祭かぁ。
ここの文化祭はとにかく規模がでかいんだよ。全校舎、闘技場も使ってするんだと。で、どんな出し物してもいんだけど、優勝したクラスには…」
「クラスには?」
「学園長から賞品がもらえるらしい。俺も初めてだからな、詳しいことは知らねーよ」
「ふぅん」
賞品は学園長からねぇ…。
あんまり期待しないほうがいいかもな。
――と、そこでチャイムが鳴った。
「…みなさん!この時期がやってきましたね」
「「おーっ」」
歓声があがる。
「今年は優勝できるように頑張りましょう。では、一時間目は話し合いをするので…」
―――――
「お化け屋敷…劇…劇、劇!このクラスの出し物は劇に決定ですね」
一番テンション高いノウが言って、みんなワーッと盛り上がる。
「劇だって、楽しみね」
「はいっ、とっても!」
「めんどくせー…」
「何言ってんのよ、カナタ」
「えー…リュカは?楽しみか?」
「まーね」
ちなみに、やっぱりガネルだけ席が離れてる。
「では、何の劇にしますかー?」
ノウが声を張り上げる。
生徒の一人が手をあげる。
「戦闘ものがいいでーす」
男子生徒の大半が賛成する。
すると次は女子が。
「恋愛ものがいいです!」
女子生徒の大半が賛成。
「…終わらねーな、こりゃ」
カナタがぽつりと呟く。
「だな」
ぼくもそう言った。ところで。
「決まりませんねー。…先生からの案ですが、2つをまとめるのはどうでしょう」
ざわざわ、ワイワイしていたクラスは一瞬シーンとなって…すぐに「それ、いーな!」とか、「決定、決定!」とか、一度でまとまった。
すごいな、ノウ。
生徒のあつかい、心得てやがる。
「おもしろそうですね、レナちゃん」
「そうね」
リルとレナも笑顔で話している。
―――で、結局決まったのは。
「…『お姫様vs王子様』?」
隣どうしの国のお姫さまと王子様。
小さい時から仲が悪かったふたりに結婚の話が。
王の命令で、いやいや結婚することになったふたりだが、うまくいくはずもなく。
毎日魔法のぶつけ合い…というわけわからん話。
「配役を決めましょう!」
配役は“姫”と“王子”と“その他”だけ。
“その他”に王とか兵士とかも入れるという適当ぶりだ。
「俺は“その他”だな」
「ぼくも“その他”でいーや」
ぼくとカナタは配役が決まっていく様子をぼーっと眺める。
机に顔をふせる。
「ぼく寝るから。“その他”にしといて」
最近いろいろあって疲れた。
ぼくはすぐ眠りについていた。
この眠りが最悪の事態を巻き起こすとは知らず。
―――――
『――ぃ、ーい、~おい!リュカ!』
「うー?」
ミオにべしべし叩かれて目を覚ました。
『リュカ、見ろ』
ミオは器用に前足で黒板を指す。
授業はもう終わったらしい。
「ん…?王…ガネル。ふーん、で?」
『その上だっ』
「姫………リュカぁ!?ちょっとカナタ!」
後ろの席を振り返る。
!こいつ…!
なんとカナタも寝ていた。
「おいっ、なんでぼくが姫なんだ!」
カナタを叩き起こす。
『おい、リュカ。王子のところ…』
ミオがそう言ったところでカナタは目を覚ました。
「カナタ!“その他”にしろって言っただろ!」
「…あー俺も寝てたのか。リュカが姫?いいじゃん」
また寝ようとする。
『王子…カナタになっているぞ?』
あきれた様子のミオがカナタをしっぽで叩いた。
「「え…?」」
ふたりで固まったところで、リル、レナ、ガネルがやって来る。
「よっ、姫と王子!」
「よかったわね、選ばれて」
「お似合いですよ。リュカ君は髪長いですし、ぴったりだと思ったんですよね」
あーなんとなくわかった。
ぼくとカナタ選んだのリルだ。
理由は、いつもより笑顔が黒いから。
「いけませんでしたか?いいですよね」
これからは授業中に寝ません!そう決意した、リュカとカナタでした。
次は秋雨さん!




