ぼくらとすれちがい
夕です!
次の日の朝。
「ねえ、あのふたり変よね?」
「ですね」
「だな」
レナたちの言う通り、ぼくとカナタは登校してきてから一度も話していない。
昨日は二人で笑って、帰ってきたけど…今日は…。
ぼくがいけなかったんだ。
朝カナタは寮の食堂で話しかけてくれた。
でもぼくは答えられなかった。
カナタは気まずそうに笑って、離れていってしまった。
「もう戻れないかも…」
『そんなことはないだろう』
ミオの励ましも責められるように聞こえる。
「どうしよう…」
わしゃわしゃと頭をかく。
「どうしたんだ?リュカ」
「ガネル」
「今日ヘンだぜ?昨日カナタと何かあったか?」
顔を覗き込んでくるガネル。
ぼくはさっと顔をそむける。
「なんでもない」
―――結局1日中カナタと話せなくて、ほかの3人とも気まずくなるばかり。
「最悪…もう帰ろっかな…天界…」
ちらっとそんな事まで考えてしまった。
1人で寮への道を歩く。
『私もギオウのことを知った』
訂正、ミオがいた。
「で?」
『ギオウは闇の属性神。私とは敵だ』
今までなじみすぎてたのかも。
ガネル達ともカナタとも――。
後ろからタッタッタッと走る音が聞こえて、ハッと振り返る。
「~~っ、なんでだよ…」
「リューカ!」
カナタだった。
「1人?一緒に帰るか?」
カナタは追い付くと、へへっと笑った。
「………で…?」
「は?」
うつむくと、握りしめていたこぶしがふるえた。
「…なんで?なんでカナタはぼくと普通に接せるんだ!?」
「はあ?何言ってん…」
「ぼく達は敵どうしだ!!」
言ってはっと気づいた。
言ってしまった―――取り返しのつかないこと。
カナタはかなしそうに目を伏せると、ぼく追いこして走っていった。
ぼくはしばらく茫然と立っていて、カナタの姿が見えなくなるとゆっくり歩き出した。
『おい…リュカ…』
「何?」
『いや…なんでもない』
なんでぼくはカナタを信頼できなかったんだろう。
カナタは次期神のぼく、敵のぼくを信頼してくれたのに。
カナタはは強い。
ぼくは―――弱い。
次は秋雨さん!