真実の重みと僅かな軋轢
緋絽です!
ヒクッと頬をひきつらせる。
「っ…」
カナタもヒクヒクと頬をひきつらせた。
「「アハハハハハ!!そんなワケないよねぇ(よなぁ)。カナタが魔王なんてさ!(リュカが次期神なんてな!)」」
「…………」
長い沈黙。
ダラダラと汗が流れる。
カナタが魔王!?いやいや、そんなはずないって!
そう考えてもどこかでそれを否定出来ない。
確かな理由も、証拠もないからだ。
でも、魔王だという証拠は―――。
“で、俺が魔王様ってわかってもらえた?”
ドクンとイヤな感じで心臓が鳴る。
「何を言う!!」
バスケットがドーンと沈黙を破った。
「カナタ様は魔王さ…」
「黙ってろ」
バキッとカナタに殴られて飛んでいった。
わぉ。
「…リュカ、次期神っていうのは本当なんだな?」
「………うん…」
「くそっ…」
「カナタは…?魔王って…」
「…そうだよ」
また重い沈黙。
てことは…ぼくとカナタは…
敵同士。
そんな…!
カナタを見る。
カナタも気まずそうにぼくを見ている。
今、ぼくは戦う気はないけど…もし何か起こったらいつかはカナタと戦わなきゃならない―――。
イヤだ。
ぼくはそんなのいやだ―――。
「……そんな顔するな」
カナタが相変わらず気まずそうに笑った。
「お前はまだ“次期神”なだけで“神”ではないだろ。俺は今、お前と戦う気はないよ。リュカ」
『リュカ』と呼ばれてビクッとなる。
「カナタ…」
カナタはまだ、ぼくを“リュカ”と呼んでいる。
どうして――?
「だって…ぼく達いつかは…」
「先の話はよそうぜっ」
隣にカナタが走ってきてバシッと背中を叩いた。
「――…そうだね!!」
バシッと叩き返してまたいつものように笑いあった。
いつまで、このままでいられるだろう。
いつかはカナタと傷つけあわなきゃいけないなら、ぼくはあの時、“神”にならなくてよかった。
もっとこの時が続いていけば…――。
ぼく達は先に続く未来を見ることを拒んでしまった。
今は、いつかは見えてしまう未来を見たくない。
次は夕さん!