殺気と狂笑
緋絽です!
「だぁーかぁーらぁー!ぼく正体知らないんだって!」
「でもあいつ完全にリュカ狙ってたぞ!!」
「一体どこの誰なんでしょ!」
「ヴィスカ?あれビスコだっけ?ま、どっちでもいいけど!またお前狙いにくるだろ!」
「そーかもね、でも大丈夫!」
ニタァと笑ってスパーンと手の平に拳を叩きつける。
「返り討ちにしてやるから…!」
ケケケケケと笑みが漏れる。
「リュカ…お前さ…」
カナタが額に手をあてて溜息を吐いた。
「リュカー!!カナター!!」
ガネルが走ってくる。
「なんだよー帰ってたのかよー!!捜したんだぜー」
「ゴメンゴメン」
『まったくだ』
ミオが飛んできて肩に乗った。
『私を置いていくとは』
「それはみんなじゃん。それにいなくてよかったと思うよ~」
包帯の巻いてある腕を見せる。
少ししか掠らなかったけど、切れ味は抜群だ。
レナとリルも走ってきた。
「一言声掛けてよね!!」
「そうですよ!!」
「ゴメンゴメーン」
ガラッと窓を開ける。
フッと殺気を感じてピシャッと窓を閉めた。
ガカッと音をたててさっきの太い針が2本ガラスに刺さった。
「なっ…なんだよっコレ!」
2本?
一つはぼくの心臓に、もう一つはぼくの隣───カナタに向かって飛んできていた。
ヒクッと頬が引きつる。
やってくれるじゃねぇか!!
「クソゥー」
ヴィストは木の陰に隠れてビクビクと怯えていた。
「あの黒髪さえいなければ…!接近戦に持ち込めるのに…!」
地面に寝転がってゴロゴロと転がる。
「こ、怖いわけではない!!そうだ、怖くないぞ!」
ブルブル震えながら言う。
「全ては魔王様のため…!」
ダラダラと汗を垂れ流しながら言った。
「頑張るぞー!!オー!」
「…………リュカ?」
ガネルが怖々とぼくの顔を覗く。
ふーんほーお、ぼく以外の誰かも狙えるほどの余裕があるってわけね。
ブチッとキレる。
ふざけんな!こっちはその気になればいつでもフルボッコできるんだよ!!
ガネルが泣きながら走っていった。
イライラする。
「……………」
その時、ぼくは知らなかった。
カナタがケタケタと笑いながら青筋をたてていたことに。
次は夕さん!