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主人公による主人公のための主人公  作者: *
終わりの始まり
3/25

これが僕の日常

 たぶんそれは幸福でした。

 永い時間求めていた幸福でした。

 幸福は暖かくて気持ち良い。

 こんな気持ちは初めてでした。

 言葉にできないけど、ありがとう。







 えー僕ですよー僕。

 3話にして名前も明かさない、会話もしない。

 主人公として主人公という概念をぶっ壊してますよ。

 まあ、前置きはさて置いて。

 今回は物語らしく“青春”と呼べそうな“何か”をしましょうか。

 “何か”?

 友情? 恋? 学業? スポーツ?

 さて、これ全てを行える場所があるでしょう?

 ある程度の主人公は通うものだね……学校に。

 だから今回は僕が学校に行くという、ただそれだけの話。

 あ、一応言っておくと不登校ではないよ。




 はい、ここで会話が行われると思った?

 ざんねーん、会話なんてしないよ。

 だって僕の物語だからさ? 普通に会話なんてしないよ。

 とまあ、書くけど、今はやることが無いのだよ。

 授業……まあ、先生と呼ばれる人間が道徳という授業で妄言を吐いているんだよ。

 だから学校という場好かない。

 それに僕には勉強ってものが必要ないからね?

 主人公ってのは勉強が出来る人や出来ない人がいるけど。

 僕は全てにおいて最強なのさ。

 だから勉強なんてやる理由がないし、それに僕という人間が道徳なんていうくだらない授業を受けるのなんて苦痛以外の何でもない。

 うぜぇ……コイツの存在を無かったことにしてやろうか……。

 何が親切だ、そういう偽善者みたいな事を言う奴ら全員むかつく。


 とりあえず、道徳の授業が終わった。

 何というか帰りたい……。

 つまらない……大学生が小学1年生の勉強を教えられるみたいにつまらない……。

 だからここで初めて主人公らしく能力ってやつを使おうかな。

 主人公らしく、主人公らしくない用途で。

 つーことで『分身』。

 まあ、忍者物でよくある分身の術?

 そんな感じで僕の偽者を椅子に座らせ僕は屋上へと足を運ぶ。

 


 今は春。

 やっぱりと言うか時期的には、まだ寒い。

 だけど屋上から見る景色とやらは綺麗だった。

 僕に綺麗な物が綺麗と分かるかだって?

 そりゃあ分かるさ。だって人間だから。

 これでもキチンと人間らしく、それこそ夏に虫取りをする少年みたいに元気な少年だった時期ぐらいある。

 とりあえず寝よ……。

 寒いからと言っても流石に春独特の空気を吸うと眠たくなる。

 そして僕は『4次元ポケット』から毛布を取り出した。

 さて、どの場所で寝ようかな。

 人に見つかりやすい場所だと後々めんどくさそうだし。

  

 ……さて、ここで質問だ。

 屋上で寝ている生徒(女子)がいる。

 主人公の選択は!

 ①襲う

 いや、これは流石に止めとこう。

 ②一緒に寝る

 そこからいろいろ関わることになりそうなのでパス。

 ③無視

 うん、これが妥当だ。

 

 というか、この場所から離れよう。

 ここにいるだけで物語が進みそうだ。



 ということで僕は授業をサボるために音楽室に向かった。

 たしか今の時間帯は使われてないはずだから。

 そして「分身に全て任して帰ればいいじゃん」というツッコミはナシね。

 

 音楽室……それは音楽の授業を受ける場所。

 また放課後は吹奏楽部が使っていたりする場所。

 そして今はまだ授業中。

 でも今は音楽の授業はない。

 だけど何だこのピアノを弾いてる少女は……。

 しかも上手いときたか。

 でも物語が進みそうなのでパス。

 

 ここまで2箇所行って2箇所共に()()()がいた。

 つまり僕が行く場所は大体の確立でヒロインとなりそうな女の子がいる。

 家の隣の少女、遅刻しそうでパンを加えて走る少女、図書室にいる文学少女。

 どうやら僕が創ったはずの世界は僕の気を知るか知らないか分からないけど、僕を主人公にしたいらしい。

 だから僕はフラグは立てないし、フラグが立ちそうな場面に出くわすと逃げる。

 ちなみにこの世界が平和なのは僕がいるから。

 本当のこと言うと数年に1度、“悪”と呼ばれる奴らが何か企てるから。

 平和が大好きな僕は大事になる前に“悪”の芽を摘む。

 これがこの世界が平和な正体。

 これが僕が主人公として目立たない理由。


 自分では自分の役割は、世界の平和を守る主人公だと思ってるよ。

 だからそんな意味では主人公として頑張ってるんじゃないかな。

 

 主人公として世界を守る。

 これが僕の日常(物語)なのかもしれない。

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