やっぱり悲しいよね
以前君は自分の不幸を
『仕方ないよ。これが僕の罪なんだから』
と無理に作った笑みと共におどけた。
そんな誰よりも強く、誰よりも弱い君に私は恋をしました。
おやー? 僕だよー?
記憶にない? 仕方ないなー。
改めて自己紹介ね?
はじめまして……じゃないよね?
僕だよ!
一応この世界の主人公です。
こんなお遊び置いといてっと。
大人な僕は読書に勤しんでいるんだよ。
物語としてね、猫が100万回死んじゃうだよ。
いやー悲しい悲しい。
悲しすぎて涙がでちゃうよ。
嘘だけど。
だけど……この猫は僕と一緒だ。
詳しく言うと僕と一緒じゃないけど。
王様なんて嫌い。
船乗りなんて嫌い。
サーカスなんて嫌い。
泥棒なんて大嫌い。
独りぼっちのおばあさんなんて大嫌い。
小さな女の子なんて大嫌い。
結局僕が一番なんだ。
でも僕はあの日、空を見上げていた君に興味を持って。
僕に興味を持たなかった君に興味を持って。
側にいたくなって。
好きになった。
物語のラストなんて知らないよ。
だけど僕はこうして生きてる。
僕だけがいきてる。
ねえ、ノラ猫さん。
100万回も泣くのは疲れるよね。
昔読んでも何も感じなかった本。
今になって読み返してみると案外絵本というのも悪くないね。
嘘……だったらいいのにね。
……自分で書いてなんだけど
結構この話気に入ってます
この歳で「100万回生きた猫」を読むと考えるものがあるね