人族 15歳 ①
「おめでとーーございまーーす!!」
気づけば辺り一面真っ白で何もない。
そして目の前には一目見て、あ、女神だと思う様な女性が立っていた。
淡い月明かり色(ライトグレーにほのかな青み)の、広袖の 「裾長の巫女装束風ローブ」 を基調としている。
一見絹のように滑らかだが、光の角度によっては星空のように微細な輝きがちらつく、この世のものではない織物。触れるとほのかな温もりを放つ。
そしてウエスト部分で軽く括られ、流れるようなAラインで裾へと広がる。動くとゆったりとたなびき、優雅な曲線を描く。この仕組みで、細いウエストと豊かなヒップライン、長く美しい脚線がさりげなく強調される。
思わず我を忘れて見惚れていると、目の前の女神の様な女性は怪訝そうな顔をしながら再度声をかけてくる。
「おめでとうございます。貴方は特賞の転生の旅が当たりました。」
「ん?特賞?えーと、ここはどこですか?てか貴女は誰ですか?さっきまで小太りのおばさんが目の前に居たのに。」
「やはり皆様同じ様な質問をするのですね…わかりました。
私は運命神の使いの天使でございます。貴方は見事特賞に当選して、転生の旅をする事ができます。そして、ここは天界で貴方はここに移動した際に地球上では存在しなかった事になっています。」
「存在…しなかった?」
「はい。貴方がここに来た瞬間、あの地球上では貴方が居なかった世界に変質します。ちなみに恋人だった方は、貴方と付き合った年の26歳の時に玉の輿に乗り、子宝に3人恵まれてそこそこ幸せと思える人生を歩み92歳まで生きました。」
いやいや、そこまで聞いてないし、てか俺と付き合ってたのはハズレだったのかって感じざるを得ないじゃないか。そもそもアイツ子供なんて嫌いだから欲しくないって言ってたじゃないか!まぁ、確かに?10年も付き合って結婚の話をまともに話さず曖昧にしてたけども?貯金も全然ありませんでしたけども?
「ご愁傷様です。」
「こ、心…読めるんですね…」
「あ、はい。なんかすみません。ですが、安心してください。貴方はもうこの世に存在してない事になっているので!元彼女さんも貴方のこと覚えてませんから!」
そういう問題じゃないだろう?俺が存在した記録が無くても記憶はあるんだよ!ここに!
…はぁ、なんかホントはもっとびっくりしたり気が動転したりするんだろうけど…受け入れたわ。
「それは良かったです。(にこり)」
「…良くはないけど、この状況から察するに俺はもう現世には戻れなくて、異世界に転生するって事ですね?俺も結構ラノベを読んできたからわかるけど、当然何かしらのチートを持って転生できるんですよね?」
「話が早くて助かります。はい、貴方は転生の旅に当選して異世界に行く事ができます。転生先は、地球人の大好きな魔法あり異種族ありで文明的には中世と呼ばれる感じに近いです。そして貴方にはこれから種族・性別・年齢を決めていただけます。その後に条件を元に与えられたポイントで、スキルを決めていただきます。
また、パッシブスキルとして言語理解とステータス表示をつけさせていただきます。」
「ということはこの3つを決める事によって手に入れるスキルポイントが変わるという事?」
「はい。例えば種族でいうと人族と龍族ではそもそもの身体能力や魔力の基礎値が全く違いますし、龍族には炎耐性を持っていますので炎耐性を取る意味がありません。なので、どのように始めても異世界の旅を楽しめます様に人族の様に脆弱な種族の場合は龍族の様に上位と呼ばれる種族よりも多くのスキルポイントを獲得する事ができます。
また、年齢によっても変わってきます。端的に言えば、若いほどポイントが少なく、高齢であるほどポイントが高いです。これは若いうちから修練することによって少ないポイントでも十分成長可能だからです。」
「つまり、何処から始めてもある程度の恩恵はもらえるってことですね?」
「はい、その通りです。ここでは、与えられたポイントで先天的なスキルを取得する事ができます。余ったポイントは転生後に下界でのスキルポイントに変換されますので、転生後に確認してみてください。それでは、何に転生いたしますか?」
んー、種族といってもどういうのがあるのかなぁって思っていると、目の前に種族一覧が浮かび上がってくる。
くそ、あの天使またこころを読んでやがる…とひと睨みしつつ今は目の前の種族一覧に思考が移る。
人族、エルフ、ドワーフ、オーク、ゴブリン、犬獣人、猫獣人、狼獣人…獣人系は思いつく限りありそうだなぁ…っと龍、龍人、ドラゴニュート…アラクネ…は見る分にはいいけど自分がなりたいと言われたらそうでもないな。
四月一日が一覧を見ていると最後の方に天使の表示がある。
「あれ?天使があるのに悪魔は…」
「ありません!そして、天使を選ぶのはまだオススメできません。」
さっきまでの丁寧ながらも少し小馬鹿にする態度から一変して、冷めた表情で天使は答えた。
気になりつつも、これ以上突っ込まない方がいいと判断してまた種族一覧に目を通す。
エルフは美男美女で長寿だし、龍人はエルフほどではないにしろ長寿だし、何より屈強な肉体だろあな。他の種族は気になるけど他の異種族は美的感覚が良くわからないからな。オークとかになってそのメスを抱くとか想像しただけで嫌だもんな。
んー、やっぱり慣れ親しんだ人間の身体で他の種族の人達と触れ合うのが1番かな?
「ちなみに龍人とエルフと人間でそれぞれ15歳位だとしたら何ポイントになるんだ?」
「はい。それぞれ100ポイント、200ポイント、500ポイントになります。ちなみに、今の貴方の年齢ですと、100ポイント、200ポイント、750ポイントになります。」
「あれ?龍人とエルフはポイント変わらないんだ?」
「はい、両種族とも長寿ですので、15歳も39歳も誤差に過ぎません。」
なるほどな…
「よし、決めた!人族で年齢は15歳!もちろん男で!」
男と付き合うのなんて有り得ないしな…
「承知しました。ちなみに貴方の転生先の肉体は15年生きているので、その15年分の記憶を引き継ぐ形となりますので、転生後も比較的スムーズに順応できるかと思います。それでは早速転生させていただきます。ま〇〇…お〇〇〇…〇ます。」
「ん?え?ま…?」
天使が言い終わる間もなく四月一日の身体が光り始めて、光の粒になって消えた。
「何日持つかな?」




