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千手の戦狼シャルーク

旗揚げしたギルド「 ファイアウォーター」の

存在意義を確かめる為、軍師バーンはジャバロンに

オスマトル3代目族長の閃光のアイベルグが率いる

西側フリージアの都市解放戦線への参加を進言する。

 そんな時、首都プルシオンで、

 若くしてオスマトルの3代目族長となった

 閃光のアイベルグが、

 フリージアの西方面の都市解放作戦を、

 高らかに宣言する。


 バーンが進言し、ファイア・ウォーターは若き王に付き従う。


 そこで目覚ましい戦果を上げ、

「 赤獅子」の異名を手に入れるのであった。


 その後、

 今度は功に焦るオスマトル大将軍デギンの号令の元、

 総勢10万人の兵力で自国半島の西側平定に乗り出す。


 順調に領土を広げていったが、

 当時最強と恐れられた、

「 千手の戦狼」シャルーク率いるシルバーファングとぶつかり始めると、

 戦局は一気に傾いた。


 本陣の将校たちがことごとく討ち取られ、

 大将軍デギンまでもが敗走を喫する。


 自陣は戦狼によって蹂躙され、

 焼け落ちた家々の灰の匂いと、

 行き場のない腐臭が重く漂っていた。


 そしてデギンは、

 まったく戦果とは関係ない、

 首都防衛の任にある赤獅子を召喚するも、

 捨て駒にした上で、

 自らは撤退してしまう。


 最前線のテント内で、

 ジャバロンがソワソワしている。

「 ど、どうしよう? バーン? 俺は今すぐにでも王都に帰りたいんだが……」


 おどけてみせるが、

 相棒に冷たくあしらわれた。

「 ジャバロン! まだ言っているのか? みんなに見せてくれるなよ、その姿を!」


 情けない顔をした赤頭の男は、

 下唇を突き出し、

 むくれて深いため息を吐く。

「 ふ〜う……わかっているよ! バーン……

もう少しで王都の酒場のサーシャちゃんに、俺の愛が通じる所だったのによ〜……」


 バーンが呆気に取られた顔になりつつ、

 一応なぐさめる。

「 ふむ、お前にしては頑張っていたと思うが、あれだな…..サーシャは既に――」


 そこでジャバロンの目がカッと見開き、

 バーンの言葉を静止した。


 一気にテント内はジャバロンの威圧感のある氣で満たされる。

「 バーン!! 皆まで言うな!!!

悪いのはデギンのクソじじいだ!!!

くそ〜〜〜! この怒りを戦場にぶつけてやる〜〜〜!!!」


 バーンは彼から視線を外して肩をすくめて地図を見ながら言う。

「 ほどほどにな! ジャバロン……

それと言葉が昔に戻っているぞ!ww」


 もう一度言おう!


 彼の名は赤獅子ジャバロン!


 爆発的な練り上げた氣を使う天才戦士である。


 その練り上げた闘氣の威圧感は、

 味方なら誰もが知っている無敗の旗印でもあった。


 だが相手はあの「 千手の戦狼 」。


 味方のはずのオスマトル将校や周辺国の誰もがやられると予想する。


 夜中の闇がまだ深く残る中、

 最前線の陣営は重い緊張に包まれていた。


 兵士たちの低いつぶやきが混じり、

 鼻を突くような汗と鉄の匂いが漂う。


 そして夜明けの空がわずかに明るみ始めた頃、

 ジャバロンは高台に立つ。


 赤髪を風になびかせながら、

 地平線の彼方をにらむ。

( さてと…..シャルークの爺さんは、どんな牙を持っているのかな?)


 誰もが息を潜め、

 不安を胸に押し込めている。


 しかし、

 仲間たちの肌から立ち上る湯気、

 細かく震える皮膚、

 そしてギラギラ光る瞳。


 はっきりと彼らの闘志を感じることができた。


 そして…..


 激しい戦いの火蓋が切って落とされる。


 大地を揺らす轟音と怒号が鳴り響き、

 腹の底まで響き渡った。


 土埃が黒い壁のように立ち上り、

 太陽を飲み込んで空を赤黒く染めていく。


 風が逆巻き、

 剣が閃いた。


 馬が最後のいななきを上げる。


 誰かの絶叫が耳に響く……。


 喉の渇きを感じるも、

 止まる事は許されない。


 ジャバロンは陣の最前線に立ち、

 赤髪を激しくなびかせ、

 味方を鼓舞しながら、

 敵陣を切り開いていった。


 仲間たちの息遣いが荒く、

 しかしジャバロンに呼応し、

 一丸になって進む。


( ん?な、なんだ?……手応えがない……?)


( シャルーク本隊がいない……?)


( かわされた?……。)


 高台に再布陣して仲間を一呼吸させる。


 互角……いや、

 戦術では戦狼が何枚も上手だった。


( 強い!そして上手い….. 最強の俺の部隊を見事にかわしてから、後方部隊には容赦なしか…..くそっ! なんて歯がゆい戦いだ!)


 ジャバロンは心の中で吠え、

 両頬をパンパンと叩く。


 大きく息を吐くと、

 下っ腹に力を入れた。


 氣のこもった声で仲間を鼓舞する。

「 みんな、俺についてこい! この俺様が道を切り開くぜ!」


その時、バーンは後方で冷静に分析していたが、

ジャバロンに耳打ちした。


「 ジャバロン!一度引くぞ!

この戦場は奴の手のひらの上だ!

このままだと更に分が悪くなって行く……」


我々は即座に撤退する。


「 ほう……ただの力自慢の猪では無いようだな……。」

戦狼が静かにつぶやくのだった......。


 しかし、バーンはすぐにジャバロンの替え玉を作ると、

 すぐに陽動作戦に切り替える。―――


 ジャバロン本隊は南の山脈を越え、

 シャルークの南西側の城塞近くの森まで来て、

 陣をはった。―――


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