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ファイアウォーター

ピークアブー編の外伝


ピークアブーの父、赤獅子ジャバロンと

天才軍師、千手のバーンが出会い最強のコンビと

言われるまでの物語です。

アブーの祖父も出てきます。見てね


1.ファイアウォーター


2.千手の戦狼シャルーク


3.未来へ


 オスマトルの若き猛将 「赤獅子」と呼ばれ、

 後にアブーの父となる男。


 爆発的な天性の練り上げた氣を使う、

 とんでもない力を持つ天才戦士でもある。


 彼は村の幼馴染たちをまとめ上げ、

 徒党を組むと、

 ギルド「 ファイア・ウォーター」を旗揚げした。


 団長は当然、

 赤髪の村一番の力持ち、

 ガキ大将のジャバロン。


 副団長は、

 深い青色の髪を持つ天才青年バーン。


 二人の髪色がギルド名だが、

 火と水のように性格が全く違う彼らが、

 なぜ親友となり、

 こんなにも息の合うコンビになったのだろうか?


 少年時代のジャバロンは、

 ガサツで口が悪い上に、

 すぐに暴力を振うために、

 村の住人から疎まれていた。


 一度悪いレッテルを貼られると、

 村社会ではなかなかそのイメージを払拭できない。


 例えば、

 ジャバロンが広場を横切ると、

 周囲の村人たちは動きを止め、

 チラチラと盗み見てはすぐに目を逸らす。


 針のように尖った視線が背中を刺し、

 誰も近寄ろうとしない。


 薄汚れ、

 擦り切れた亜麻のシャツから漂う、

 むせ返るような汗の匂いだけが、

 彼のリアル。


 陽射しは肌を焼くほど強いのに、

 空気だけが妙に冷たく、

 この世界は、

 乾ききって砂が混じった、

 硬いパンのように感じられた。


 だが、そんな彼の運の良い点は、

 バーンを助けたことだろう。


 彼はラハビアで医術を学んだ父親と共に、

この村に来たらしい。


 よそ者に加えて、

 患者を死なせてしまったのを逆恨みされ、

 村中の者からいじめられていた。


 初めは小さな一言だったのかもしれない。


 まるで一言の水滴が落ち、

 ささやきが波紋の様に広がり、

 ついには逃れられない大きな潮流へと変わっていく。


 ひたすら謝る父親を悪として位置付け、

 責めることが正義であるかのように、

 その一家はいじめられている。


 こんな時の集団心理は、

 非常に無慈悲で冷酷で怖いものだ。


( まてよ……)


 その家族が貼られているレッテルは、

 自分と同じじゃないのか?


 それを思った瞬間――


 彼は燃えた。


 自身の髪の毛の色のように燃え上がる。


 それは、

 いじめの元凶として君臨していたドンでさえ、 

 その紅蓮の炎の前にあっという間に、

 焼き尽した。――


 おどおど視線を落としながら青髪の少年は言う。

「あ、ありがとうございます......。」


 そんな少年の姿と村人の態度を重ね、

 赤頭は、ギラギラした目つきで怒りを隠そうともしない。

「 おい!コラ!礼をするなら、せめて目ぐらい見ろや!ぶっ飛ばすぞ!おん ?」


 ますます萎縮しながらも、ギラつく獣と目を合わせ、

 弱々しいながらも口を開く。

「 す、すみま......

いや、ありがとうございました......

あ、あの......拳から血が出てます。」


 すると赤髪の獣はニコッと爽やかな、

 そして可愛い顔を見せて言う。

「 おう!やれば、出来るじゃねぇ〜か?www

こんなの全然問題ないぜ!こちらこそありがとう!」


 そして孤立した者同士、

 二人はすぐに打ち解けた。


 徐々にだが、何でも言い合える仲になる。


 そんなある日、バーンが言う。


「 ジャバロン? 君はラハビアのお米って作物を知っているかい?」


 眉毛をひそめ、ジャバロンが凄む。

「 あ〜ん? なんだそりゃ? しらねぇな〜!

うまいのかよ? おん?」


 この頃のバーンは、

 ジャバロンをまったく恐れていない。


 ただの口の悪い、

 寂しがり屋さんだとわかっているからだ。

「 最高だよ! うまいってもんじゃない!

収穫も見たことがあるよ!」


 ジャバロンは鼻をほじっている......


 バーンはそんな彼をチラッと見て、

にこっと笑い、

 さらに会話を続けた。

「 生産量が少なくて貴重なんだけど、

僕の大好物なんだ。ちょうど君みたいな感じかな?」


 ジャバロンは鳩が豆鉄砲を食らったような顔で驚いている。

「 な、な、何言ってるんだ! この野郎が!!!」


 バーンは彼が興味を示したところで、

一気に畳み掛けた。

「 お米はさ、成長中は真っ直ぐなんだけど、

成長してたくさん実を付けると頭を下げるんだよ。

君も知識や経験を積んで、みんなのための礼節ある優しい男になってもらいたいんだよね。」


 ジャバロンは顔も赤くして叫ぶ。

「 ば、馬鹿やろうが!!!」


 しばらく沈黙した後に、

 恥じらう乙女の様に聞いてくる。

「 で? たとえばの話だけどよ、どうすりゃいいんだよ?」


 人が他者の考えを変えるのは難しいが、

 自らそれを望んだ時、

 それは自身を変える大きなチャンスでもある。―――


 ここからジャバロンの言葉遣いや態度が急激に変わっていった。


 とくに自身の家族との和解は協力の連鎖を生み、

 (かたく)なだったドンさえも仲間に変える。


 一人の変化が他者を呼び、

 社会を再構築していく。

 

 ある意味、人間の関係や社会とはこういったものである。


 ジャバロンたちの仲間の輪は常に平和的なものばかりではなかったが、

 バーンとのコンビはお互いの欠点を埋め、

 高めつつ、

 隣町のガキ大将ジブラや女ボスのピエーも取り込んで、

 最高最強の仲間となっていった。


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