秋祭りに向けて
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あれから2ヶ月、すっかり秋の装いに変化していた。窓から見える海を眺めながら、仕事に行くために着替えていた。仏壇にある両親とお婆ちゃんに「行ってきます。」と言って外に出て自転車に乗り海を眺めながら自転車を走らせていた。市役所につき中に入り「おはようございます。」と少し大きな声で挨拶していた。「おはようございます。」都月は先輩にあたる神田浩史に手を上げて言った。「おはよう、今日も元気だな。」「先輩!先輩!」そう言って都月は近付いてきた。「どうした?」カバンをしまい、パソコンを立ち上げながら都月の方を見て言った。「秋祭りの打ち合わせ、お願いします。」「じゃあ、午後開けとくよ。」「ありがとうございます。」10月の終わりには、今年初めての秋祭りがある。市役所と青年会、地元の町内会で行っている。若手主体の秋祭りなので、浩史と都月麻美が担当になった。午後1時に市役所の会議室に総勢13名の秋祭り担当者が集まった。
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秋祭りの打ち合わせが終わり、資料を片付けてると、浩史の前に3名ほどの青年と2名の女性がが立っていた。「神田さんですよね。青年会の田所と言います。」「青年会の三島です。」「自分は町内会の名取です。」「あ、私は都月さんと同じく市役所にいますが、部署が違うので初めましてです。葉月と言います。」「葉月と同じ部署の谷口です。」そして都月麻美を加え6人が立っていた。「どうした?」「みんな先輩の後輩です。」「そうか、後輩か。」「先輩は学校では、ちょっとした有名人だったからみんな立候補して秋祭りの担当になったんですよ。」都月麻美は浩史の方を見て言った。「なんだよ、有名人って。」「すいません。聞いて良いですか??」葉月は手を上げて「修学旅行で女の方と出歩いて、強制送還されたって本当ですか?」持っていた資料を落としていた。「え?なんで?」「あ、あと花火大会の時にすっごい美人とキス!!凄かったです。」三島は興奮してる様に話していた。「どうゆうこと??」浩史は都月麻美の方を向いていた。「先輩、あんな人通りの多い所でダメですよ。」都月は浩史に言った。「私のクラスの友達や先輩のクラスの人もいたかな?みんな凄い光景にスマホで撮影会でした。」「本当に??」「はい!!」「あいつ知ってるの?」「あいつって多賀谷さんですか?どうかな??でも私がスマホを取り出したら綺麗な顔で私の方を見てましたよ。」これはダメなやつだ。浩史は予想打にしない事柄にビックリして、焦っていた。なぜなら、先日、多賀谷美沙に秋祭りの事を伝えて、面白そうね。って言ってたからだ。