高校生活最後の日に
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卒業式の日、今日でみんなともお別れ。寂しい気持ちと新しい人生のスタートの日だ。浩史は地元の大学に美沙は東京の大学、町田は関西の大学に佐藤は名古屋の大学とみんなバラバラになっていた。卒業式も終わり、浩史は屋上に来ていた。この景色も最後だと思うと寂しさもある。そこに町田香澄が近寄ってきた。「今日でお別れね。小学生から長かったね。」「そうだな。」「私ね、神田君と小学生から一緒だったの凄い財産だと思ってるの。」「ん?何だいきなり??」「ありがとう。」すると男子が浩史に「写真撮るぞ、早く来い」その声で浩史は振り向き「町田と一緒で楽しかった。またゆっくり話そうな。」そう言って浩史は降りて行った。「今日でお別れね」美沙は町田香澄の横に立ち言った。香澄は美沙の方を向いて、「神田君ってすっごく優しいでしょ?」と言った。「うん、そうね。大切な人だよ。」「大切な人か·····神田君のお家、お婆ちゃんだけでしょ?」「そうね。話したくなさそうだし、聞いて無いけど。」「小学生3年生の秋、飲酒運転の車に衝突されてご両親は無くなり、神田君は1カ月の間ICU方に入ってて、生死を彷徨ってたのなんとか持ち直しそれから身体が動かなくて、クラスの男子にバカにされてた。」息を吸って「左足が上手く動かなくて、10分の距離を1時間掛かってた。いつも転んでは起き上がってた。」「なにもしなかったの??」「本人が拒否してた。「大丈夫」って言ってたよ。今じゃ普通に暮らしてるのが奇跡なの」校庭の方で写真を撮ってる浩史がいた。「退院して仏壇の両親を見た時は実感が無かったって言ってたよ。でも、俺は父ちゃんと母ちゃんがついてるから絶対に投げ出さないって、小学生3年生がそんな事言ったのよ、正直凄いと思ったわ。」父親の死で立ち直れなかった時、もっと不幸があったのに、そんな姿も見せず優しくいてくれた。「父親に言われたんですって、誰かが困ってたら、真っ先に助けなさいって、お前にはそれが出来る男だからって、それ実践してるでしょ?」「うん、本当に自分よりもって人だから。」「神田君の過去も聞いといて欲しかったんだ。ただの優しい男子じゃなって、芯のある人って思ってて欲しい。」「ありがとう。私結構酷い事いっぱい言っちゃったな。」美沙の目から涙が流れていた。酷い事を言ってるのに神田君だから大丈夫と甘えていた自分が恥ずかしかった。下の校庭から美沙と香澄の方を見て、「楽しかったぞ!また会おうな!!」浩史は手を振り美沙と香澄に笑っていた。高校生活最後の日、後悔がいっぱい残る日になった。