冬の海を見てる
I
夏の東京から4ヶ月、あれから美沙は少しづつクラスのみんなと打ち解けていた。町田とかとも良く喋ってる姿を見ていた。男子とも話していたが、浩史とはあれ以来会話らしい会話はなかった。明日はクリスマスだが特に予定があるわけでもない。男子だけで集まるかってなったが、彼女がいるとかでそれも無しになった。受験も近いから、勉強でもするかと思い2階に上がるとスマホがなった。「時間ある??」美沙からだった。「今、神田君の家の前の海に居るんだけど。」「分かった。今行くよ。」美沙はそう言う浩史の返答を聞くと直ぐにスマホを切った。急いで家の前の浜辺へ行くと美沙は立って冬の海を見ていた。「早かったね。」「ん?ああ、どうした?」「家抜け出してきたから、あまり時間ないんだ。」「そっか、東京だってな、大学」「うん、神田君はこの地元でしょ?」「ああ、婆ちゃん1人には出来ないしな。」「そうなんだ。」「ああ、そう決めた。」浩史と美沙はしばらく黙って冬の海を見ていた。「寒い。」「ほら、これで少し寒さもしのげるだろ。」そう言ってバイト代で買ったコ―トを美沙の肩に掛けた。「ありがとう」「うん。」2人は1時間ぐらいずっと海を見ていた。「ねえ?」「ん??」美沙から話し始めたがまた無言になる。何回かそれを繰り返してたが、その後美沙は何も言わないでずっと海を見ていた。冬の海と美沙は似ているんだなって思ってた。「初キスだったんだ。」美沙はポツリと言った。「嫌じゃなかった??」美沙は振り返り浩史に言った。「うん、嫌じゃ無いけどビックリした。」「私も自分の行動にビックリした。自分が積極的にキスするなんて思ってなかったのよ。でも神田君が嫌じゃなかったんなら良かったわ。ずっと気になってたの。」そう言って美沙は「初めてのキスが神田君で良かったと思ってる。じゃあ、おやすみなさい。」美沙はそう言って、浩史のコ―トを着て走っていった。その様子をジッと見つめてる浩史がいた。