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君の為に

F

夜の10時前に美沙のお父さんのお墓があるお寺の方に来ていた。さすがに中に入る事は出来ず、お寺の横に立ち時計を見ていた。美沙との思い出があるのは、この場所しか無いと思いやって来たが、勘でしかない。間違ってたらどうしようも無い。お寺の入り口が見える電柱に寄りかかり周りを見ていた。ほぼ交通が無くなり、1人で立っている浩史は不安でしかなかった。溜息しか出てこず、自分でなにをやっているのか?自分の行動なのに説明がつかない行動はいつも美沙との出来事だった。時間は夜の11時、今夜はここで過ごす事が決まったなと1人で大きな溜息をしていた。


〜〜〜

電柱に寄りかかり、朝の7時まで寝てしまった。身体が痒く蚊に刺されていた。日差しも暑くなり、近くのコンビニでパンとコ―ヒ―を買い電柱に寄りかかり食べていた。食べ終わり8時になり、お寺の門が開いた。そしてすぐに多賀谷美沙が手に花を持ち歩いて来た。浩史は美沙の前に走り門の前で美沙の方を見ていた。「なんであなたが居るのよ?」美沙は怒鳴るように浩史に言った。「おまえな、なにやってんだ??」浩史も負けずに大きな声を出してた。「あんたには関係無いでしょ。」「いい加減にしろよ。なに考えてんだおまえは!!」浩史がそう言うと美沙は浩史の頬を強めに叩いていた。浩史も美沙の頬を叩いていた。お互い睨み合ってると周りが人集りになっていた。美沙は後ろに振り返り浩史を無視して歩いていた。浩史は仕方なく美沙の後ろを歩いていた。美沙は浩史に気づいてるが無視して早歩きで歩いて行った。


〜〜〜

美沙は公園のベンチに座り、なにも言わずこっちを睨み付けていた。浩史は美沙の前に立って、溜息をしていた。「なによ。」美沙は溜息をしてるのに不服があるかの様に言った。「さっきはカッとなって叩いて悪かったな。」浩史は美沙に謝っていた。「男の人に叩かれたの初めてだわ。」美沙は頬を触りながら言った。「悪かったって。」「いつからこっちに?」「昨日の夜10時ぐらいからさっきまで。」「ばっかじゃない!!」美沙は浩史に怒鳴る様に言った。周りにいた親子連れやカップルがこっちを見ていた。「声が大きい。もう少し抑えて話そう。」「話す事なんて無いんだけど。迷惑」それから30分ぐらい美沙はなにも喋らずベンチに座っていた。浩史はベンチの前の木に寄りかかり美沙を見ていた。「今日お父さんの命日なの。だから帰らないから。」美沙は鋭い目つきでいた。「こっちの親戚のおばさんの家に居るから心配しないで。」「それを家族に言いな。そしたら帰るから。」浩史は美沙にそう言うと美沙はスマホを取り出し母親の方に電話していた。涙ぐみスマホで話してる姿を見て、少し離れた所で麦茶とお茶を自販機で買って、美沙の所に戻った。美沙はスマホを膝に置いて、こっちを見ていた。少なからず顔が落ち着きを取り戻してる感じだった。「お茶か麦茶どっちが良い??」「お茶が良いな」浩史は美沙にお茶を渡し横に座った。「話は終わったみたいだな。」「うん。怒られたけど分かってくれた感じだった。」「そっか、じゃあ俺は帰るとするかな。」そう言って立ち上がった。「まって、まだ行かないで。」「どうした?」「まだ行かないで欲しい。」浩史の腕を掴み美沙は小さな声で言っていた。浩史はまた美沙の横に座り直した。東京の夏の日差しと緑の日陰が2人を照らしていた。

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