久しぶりの同窓会
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「先輩!今晩ご飯でも行きません!?」こちらの顔を覗き込み、ショ―トカットの髪を掻き分けながら、都月麻美は席でパソコンに打ち込んでいる神田浩史に話し掛けていた。「どうせ奢らせたいんだろ?でも今日はダメ」パソコンから手を離し麻美に言った。「今日は夜に同窓会があるんだ。」浩史麻美沙の肩をたたきながら、立ち上がり外の方を見ながら話していた。「盆休みですしね。働いてる方も少ないですし、そっか、同窓会ですか。」麻美は麦茶を飲みながら話していた。「高校卒業してから6年振りだし、地元だし出ないとな。」「今回は断念します。また、宜しくお願いします。」と麻実は浩史に言って歩いて行った。1年後輩の麻実は同じ高校の後輩だ。
2
「おう!!久しぶり!」仕事で少し遅くなり、同窓会の会場のここら辺では1番大きい居酒屋の「海の家」の戸を開けると、中から声が聞こえた。聞き覚えのある声の主は、高校で一番身体が大きく顔が真っ赤の田所だった。「久しぶり」と言って、浩史は海の家の中に入って行った。店長にビ―ルを頼みみんなの元に歩いていた。「神田君久しぶりね。」高校の時の学級委員長だった町田香澄が浩史の隣に座りビ―ルを手にこっちを見て言った。「久しぶりだな。今東京の方で働いてるって聞いたぞ。」「うん、大学は京都なのに東京で働きたくて、東京にいっちゃった。」香澄はニコッと笑い浩史に言ってビ―ルを飲んだ。「乾杯しよう」と言ったが、「神田君はまだ飲まないで!」と香澄は浩史のビ―ルを取り言った。「え?なんで?」「なんでも」笑いながら浩史に言って「神田君にはお願いしたい事が有るから。」「なに?」「秘密よ彼女からのご希望なの。」っと言って香澄はビ―ルを飲みながら浩史に言った。居酒屋「海の家」では、だんだん出来上がってるかつての同級生が居た。「久しぶりだな。」佐藤貴也が浩史の横に座り話してきた。貴也とは高校の時の友達だけど、高校を卒業してから会ってなかった。「おお!久しぶり!」妙に声が上ずっている浩史が居た。「こっちで働いてるんだってな。」「うん今、市役所で働いてる。今日も何かあるかもって仕事だったわ。」「そうか。お疲れさん。」「いや、ここが好きだからな。」浩史はオレンジジュースを飲みながら言った。「飲めんか?「いや、なんか町田が飲むなって。」「へえ〜なんだろね。」佐藤貴也と顔を合わせ笑っていた。ポンポンと香澄が浩史の肩を叩いた。「ん?どした?」「頼み事お願い出来る?」香澄は浩史の方を見て言った。「ああ、別に良いよ」「今から駅に行って、半丸駅に行って欲しい。」「まあこの中じゃ飲んでないの自分だけだし、構わんよ」「ありがとう。駅にこの場所が分からない子がいるから、連れて来て欲しい。あ、でも来なくても良いよ」「なにそれ?誰?何人いるの?」「1人よ、誰から行ってのお楽しみ、佐藤君彼借りるわね。」香澄は浩史の肩を持ち戸の方に向かわせていた。外に出され、駅の方に向かっていた。「さあ、飲もう!」香澄は貴也にグラスを向けて言った。「あいつ、大丈夫?」「心配ご無用よ佐藤君とはあまり話した事無いけど、実は話したいと思ってたの。」香澄はニコニコと笑い貴也の方を見て言った。「町田は東京だってな。」「佐藤君は名古屋だっけ?」「うん、大学も名古屋だからそのまま就職した感じかな。」「名古屋の美味しいもの今度紹介して!!」香澄は貴也の方を見て言った。
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夜の8時半、半丸駅に着くとガラッとしていた。地方の小さな町だからしょうがないが、周りにはコンビニが1軒有るぐらいだった。「ん~~」と仕事の疲れも有り両腕を上に上げながら背伸びをしていた。「お久しぶりです。」背伸びした状態で後ろを振り向くと、地方の駅には相反する都会のキャリアウーマンの様なス―ツを着た多賀谷美希が立っていた。高校の時から6年ですっかり大人の女性になった美希が目の前に居た。「ああ、久しぶり」美希はこっちをジッと見ていた。そして、静かに頭を下げていた。「どした?」浩史は美希に駆け寄り頭を上げさせる様にしていた。「ずっと心残りだったの。どう考えても私の方が酷い事したのに」高校生活での修学旅行での多賀谷美沙との事を思い浮かんだ。「もう昔の事だよ。今は別に何とも思ってない。」浩史は美希の方を見て言った。顔を上げた美希は薄っすらと笑顔で「ありがとう。神田君あの時と同じ様に優しいね。」そう言って美希は浩史の方手を握っていた。それから暫く浩史と美希は駅の目の前の海に居た。「懐かしいね。神田君は何時も海の近くだから羨ましいよ。」砂を手で触りながら美希は言った。「こっちで働いてるからね。生活に海が有るよ。」「そっか、羨ましい。」美希は街灯もない真っ暗な海を見て呟くように言った。「同窓会行く?少しはみんなとも会えると思うぞ。」「みんなにも会いたいけど、今日は神田君は会いに来たから。」「え?どうゆう事?」それから美希は黙って海を見ていた。浩史も横で海を見ていた。言葉は無いが、6年振りの2人の時間が波に流されて行く感じをお互いに感じていた。
〜〜「へえ〜多賀谷が」「うん、神田君に会いに久しぶりに地元に来たって感じかな。同窓会の知らせをしたら、神田君も来るのか?って聞いてたから来るよって教えたら、ちょっと会いたいって。」「詮索は野暮だからしなかったけど、高校生の時、いろいろ噂になった2人だからね。」「うん、まさか学校で大喧嘩する様な感じは無かったけどね。」「多賀谷さんは悪いのは全部自分で神田君を巻き込んじゃたって言ってたは。」「浩史はは人をほっとけ無いからね。あいつの良いところでもあり悪いところでもある。」「でも神田君が居たから今も頑張れてるし負けられないって言ってるよ。」香澄は貴也の方を見ながら言った。「浩史は優しいからな。」貴也はビ―ルを呑みながら言った。
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「私こっちに3日間居るから。」美希は浩史の方を見て言った。「そっか。3日間か」「うん、仕事が有るから。と言いながら、美希はスマホを取り出した。「電話番号教えて、LINEも教えてくれたら嬉しい。」「うん、」浩史もスマホを取り出し美希の前に出した。「ちょっと貸して、登録しちゃうから。」美希は浩史のスマホを何やら操作していた。「なんか多賀谷の元気な姿見れて良かったよ。」浩史は前を見ながら美希に言った。「神田君も地元で頑張ってるって聞いてたし、私も頑張ろうと思えたの。」「そっか」「うん」2人は寝静まった商店街を歩いていた。「あの時、なんであんな事したの?」「ん?ああ、まあなんか分からんけど、身体が動いてた。」「本当に優しいね。」美希は自分のスマホから浩史のスマホに電話した。「これで繋がったね。」目の前の美希はスマホから笑顔で浩史の方に話していた。「うん」浩史はスマホから美希に話し掛けていた。