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暗闇は飽きた

 レテは周囲を見渡す。先の先まで暗闇だ。風は感じない。彼女は銅ララリを指先で回転させる。手に冷たい風が吹く。彼女は安心する。

「ネアスは説教かな、頻繁に同じ所に女の子を連れてきちゃダメ。手抜きって感じるかな。大賢者、いるんでしょ!」

 レテは叫ぶ。反応はない。

「大賢者様?!」

 ラーナは興奮する。

「ここはどこですか、レテ様。私には秘密だった場所ですね。そうなんですね、レテ様のお気持ちはすでに……」

 アーシャはへこむ。

「アーシャ、私たちは訓練と任務のグチ、たまに休みの日にオイシイお店に行く仲かな。二人とも親友は別にいるから仕事仲間以上親友未満ね。悲しむことはないかな、親友にも話してないからダイジョブ、ダイジョブ」

 レテは言い訳をする。

「暗闇の中では私のうつくしさが通用しない。あふれる知性だけが頼り?」

 ラーナは動揺する。

「親友さんは王都にいます。私は一日一回以上お会いしています。機会はたくさんありました。やはりレテ様のお気持ちは……」

 アーシャはさらにへこむ。

「大賢者様、ラーナはあなたにこの体を捧げます!」

 ラーナは叫ぶ。反応はない。

「ラーナは大賢者とネアス、どちらかにしぼるべきね。ネアスは私の彼だから、大賢者に決定かな。ネアスは魔術の話は難しいわ」

 レテはラーナに伝える。

「そうだったんですか?ラーナさんもネアスさんの事が好きだったんですね。ネアスさんに抱きついていたのはそういうことでしたか、私は知っていたのに気にしなかった」

 アーシャはドンドンへこむ。

「大賢者様とお付き合いするつもりはないわ、男は何だかんだ言っても女性の体が好き。抗えない時もある。大賢者様は暗闇にずっといるみたいだし、お話しを聞くための手段に過ぎないわ。私の体は誰のモノかしら」

 ラーナは小声で二人に伝える。

「危ないよ」

 レテは囁く。

「大人です」

 アーシャはラーナの方向を見つめる。目が暗闇に慣れてくる。

「大賢者様。暗闇は怖い、助けてください!」

 ラーナは叫ぶ。反応がない。

「露骨だったかしら、ここでは光の魔法紙が使えないのかしら」

 ラーナはカバンに手を伸ばす。何も無い。

「魔法紙っと。ないわね、没収されたみたいね」

 レテは自分の体に触れる。鎧はある。

「槍もありません。体だけが頼りです」

 アーシャは腕を鳴らす。

「ダメだからね。アーシャ。私の直感だけど暗闇の中には悪い人はいないかな。イジワルする相手もいないし、することがないもないわ」

 レテはアーシャに伝える。

「魔術は危険かしら」

 ラーナは精神を集中させる。何も感じない。彼女はさらに精神を集中させる。何も感じない。

「どうしたんですか、ラーナさん?」

 アーシャが異変に気づく。

「ラーナでも魔術が使えないんだ」

 レテは驚く。

「魔術のない場所。シンジラレナイ、そんなハズはないわ。私が未熟なだけ、違うわ。大賢者様の試練かしら!」

 ラーナは興奮する。

「大賢者!出てこないと吹っ飛ばすよ。物理的に、力で、痛みを味わう事になるかな」

 レテは大声で暗闇に伝える。反応はない。

「準備中です」

 アーシャは体をクネクネさせる。

「行きましょう、レテ、アーシャ。大賢者様が待っているハズ。あっちかしら」

 ラーナは気の向いた方向に歩き始める。

「何かあるのかな、帰ろうよ」

 レテはとりあえずラーナの後に続く。

「どうやって帰るんですか、レテ様?」

 アーシャは足首をクネクネしながら二人の後に続く。

「ダメよ、レテ。不注意でここから抜け出したら、私はレテの事をどう思うのかしら。大賢者様の事で頭がいっぱいで何も考えられない。いいえ、大賢者様だけをお慕いしています。ネーくんはどうすれば良いのかしら、暗闇を抜けた先では大賢者様の力は無力のハズ、人は長く生きる事は出来ない」

 ラーナは混乱している。

「彼のララリの力を使う。私が賛成、ラーナは反対。決断はアーシャのモノかな」

 レテはアーシャに尋ねる。

「大賢者は最強の槍について知っているかもしれません。誰もが憧れる強くて鋭くて目に見えない槍です」

 アーシャは答える。

「書物で読んだことがないわ!大賢者様、ラーナです。うつくしくてあふれる知性を持つ私が会いに来ました!」

 ラーナは二人の会話を聞いているようだ。

「私も知らないわ。最強って子供っぽいかな、槍で岩は砕けない。剣で炎は消せない。ハンマーでパンは作れないわ」

 レテは答える。

「レテ様はネアスさんにたくさんの贈り物をもらっているから、そんな事を言えるんです。ラトゥール様のお力、ララリの力、魔王の魂さんもネアスさんの贈り物です。ミヤちゃんに聞きました。私は魔力の槍だけです。最強の魔力の槍が欲しいです」

 アーシャは手首をクネクネする。

「私はステキな流れ星の欠片をもらったけど、これは誰からの贈り物かしら」

 ラーナは胸元に手を入れる。流星の欠片が出てくる。

「シルちゃんの贈り物かな。私も力を貸したし、影さんたちも協力してくれたのかな。ラーナのうつくしさとあふれる知性に惹かれたのかもね。彼は無関係」

 レテは答える。

「風の精霊が流れ星の欠片を届けてくれた。レテ様とラーナさんはどんな願い事をしたんですか!私は素敵な贈り物が欲しいと祈りました」

 アーシャは首を回す。

「私はクロウが災厄を引き起こそうとしている犯人で、最後に王国を手中に収めて復讐を果たす事ができるように祈ったわ。オモシロイでしょ、クロウが私に言うの。キミはうつくしい、しかし、あふれる知性では俺には敵わなかった。アリエナイかしら、でも彼が私のお目付け役で終わるのも可哀想な気がするわ。大賢者様!」

 ラーナは前に進む。

「クロウは裏切らない。彼は自分の本当のキモチに気付く。冒険よりも素晴らしい夢を見つける。それを考えている間に流れ星さんは落ちちゃったわ」

 レテはラーナのあとに続く。

「相反する願い、どちらが叶うんでしょうか?二人の女性に願いを込めてもらうなんて、クロウさんはモテる男です。どうして、ネアスさんの無事を祈らなかったんですか?」

 アーシャは疑問を尋ねる。

「マリーがいるからダイジョブ、ダイジョブ。いなくても山の上だから安心、安心。小屋もあるし、一日二日なら問題ないかな。元気そうな声だったよね、ラーナ?」

 レテはラーナに問いかける。

「ネーくんは自分が危なくなったらレテに助けを求めるわ。すごく良い所かしら、自らの実力を認識している。頼りになるだけが価値あることではないかしら」

 ラーナは歩きながら答える。

「ネアスさんは山にこもって修行ですか?効率が悪い方法です」

 アーシャが答える。ゴツン!

「いたーい!」

 ラーナが叫ぶ。

「薬草はないわ。アーシャ、頼んだわよ」

 レテはゆっくりとラーナの近くへ歩いていく。

「任せてください!」

 アーシャは意気揚々と駆け出す。ゴツン!

「イタタ!」

 アーシャもぶつかる

「そっちにも壁があるの、私は大丈夫。知性はあふれ出していないわ」

 ラーナは頭をスリスリする。

「アーシャ、壁があるのは分かっているんだからぶつかっちゃダメ。ラーナもホントにダイジョブ?後でゴブちゃん神官に見てもらった方が良いかな」

 レテはゆっくりと手を伸ばしながら、ラーナの元に向かう。ゴツン!

「ラーナさん、落ち着いてください」

 アーシャは頭を抑えながら声をかける。

「私じゃないわ」

 ラーナが答える。

「壁じゃない。石を投げられた!大賢者、アリエナイ!」


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