ブチ切れ
レテは地面にあるモノを思いっきりぶん殴る。悲鳴があがる。彼女はゴブジンセイバーを抜く。周囲は炎で照らされている。
「やる!」
レテは剣を振り上げる。彼女の剣は地面の物体にガツンと当たる。
「待つのじゃ!」
ガーおじの声が聞こえる。
「レテ、ガーおじよ!」
ラーナは叫ぶ。
「ちょうど良いわ」
レテは再びゴブジンセイバーをガーおじに叩きつける。
「落ち着くのじゃ、レテ殿!」
ガーおじはストーンシールドで防いでいる。レテはさらに強くゴブジンセイバーを叩きつける。ストーンシールドを避けて剣を振り下ろすが、ガーおじが防ぐ。バキっ、剣が折れる音が響く。
「レテ、前へ」
ラーナはレテの腕をつかんで朽ち果てない小屋へ走り出す。レテはラーナに引っ張られていく。ガーおじは折れたゴブジンセイバーを拾い、二人の後を追う。
「取り乱したわ」
レテは言い訳をする。
「ごめんなさい、レテ。魔術師の好奇心は身を滅ぼす事がある。お母様にいつも注意された。私は経験不足!」
ラーナは走りながらレテに謝る。
「ガを滅ぼす」
レテはつぶやく。
「しんがりは任せるのじゃ」
ガーおじは叫ぶ。二人は振り返らない。二人は朽ち果てない小屋の入口に辿り着く。ラーナは扉に手を触れて精神を集中させる。白い影とガーおじは二人に迫ってくる。
「何もないハズ!」
ラーナは自信なさげに答える。
「入りましょ」
レテは扉に触れない。ラーナが扉を開けると生ぬるい風が部屋から立ち込める。二人は気にしないで小屋の中に入る。
「閉めて」
レテはラーナに命じる。
「良いの、レテ?ガー王も入れてあげたら?」
ラーナは扉に突進してくるガーおじを見つめる。
「部屋の中に罠があったらどうするの?ガが助けてくれるわ。全員が罠にハマる訳にはいかない。分かって、ラーナ!」
レテがラーナに説明すると彼女は急いで扉を閉める。
「何じゃ?」
ガーおじは驚いて扉にぶつかる。ドスン!
「ガは外で待機。中の安全を確かめるわ」
レテは小屋の中を見渡す。レテはカバンから光の魔法紙を取り出し、クシャクシャする。明かりが灯る。朽ち果てない小屋の中にはゴミが散乱している。赤い袋、黄色い袋、食べかけのモチやパンが転がっている。
「現実と期待は違うのね。タダのゴミだらけの小屋」
ラーナの気分が滅入る。
「開けるのじゃ、レテ殿。白いヤツラがたくさんいるのじゃ、コワイのじゃ!」
ガーおじは叫ぶ。
「寝てたくせに!コワくないわ。横になって目をつぶれば暗くなるわ。白い影は消えるかな、それはガ次第ね」
レテはゴミを足で部屋の端に蹴っ飛ばす。
「流星は小屋に落ちてはいない?近くにあるのかしら、ガー王!地面に流星が落ちているかもしれないから探して!」
ラーナは天井を見る。穴はない。
「無理じゃ。開けるのじゃ」
ガーおじは扉に体当たりする。ドスン!
「止めなさい、ガ!朽ち果てない小屋に傷をつけたら呪いにかかるかもしれないわ。安全確認中だから流れ星さんを探しなさい。気晴らしになるかな」
レテは壁を見る。異常はないようだ。
「イヤじゃ、ヒドイのじゃ!」
ガーおじはストーンシールドで扉を叩きつける。ドスン!大きな音が部屋に鳴り響く。
「開けるから離れてくれるかしら?」
ラーナはレテを見つめる。
「そうね、小屋の中はダイジョブかな」
レテはうなずく。
「分かったのじゃ」
ガーおじは返事をする。ラーナはレテに近づく。小屋は静寂に包まれる。
「どうするの、レテ」
ラーナは囁く。
「ガは小屋の中に入れたくないわ。あんな所で寝転がっているなんてシンジラレナイ。アヤシイ、ガはもうダメかな」
レテは小声で答える。
「そうね、ガは王ではない。アヤシイおじさん。始末するの?」
ラーナは囁く。
「頭を殴って気絶させるだけで十分かな。打ちどころが悪かったら亡霊になる危険はあるけど、ガは敵かもしれない。アリエナイわ、どうして朽ち果てない小屋の近くで寝ていたの」
レテは折れたゴブジンセイバーを握る。
「開けるのじゃ。最終通告じゃ!」
ガーおじは怒鳴る。
「ガ、ネーくんはどこにいるの?」
ラーナは時間を稼ごうとする。
「はぐれたのじゃ、中で話すのじゃ」
ガーおじは扉を軽く叩く。コツン、コツン。
「開けるわ、白い影は近くにいないんでしょ。いたら意味がないわ」
レテは扉の横に立つ。ラーナは扉に手を触れる。
「この小屋を恐れているようじゃ。近寄ってこられないようじゃ」
ガーおじは答える。
「じゃあ、落ちた流星を探してもらえるかしら。わざわざ小屋の中に入る必要はないわ。ガも見たでしょ、流星がこの近くに落ちたハズ」
ラーナはガーおじに伝える。
「お二人が探せば良いのじゃ。ワシが小屋を守るのじゃ」
ガーおじは扉に体当たりする。ドスン!
「どっちが安全かどうかはホントに分からないわ。良いの、ガ?三人が中に入ったらヒドイ事が起きるかも?全てが罠の可能性は高いわ」
レテはガーおじに伝える。
「入る前に小屋の下を見てくれるかしら、流れ星の欠片が落ちているかも。それならすぐよ、ガ。お願い!」
ラーナはガーおじにお願いする。
「開けるのじゃ!」
ガーおじは我慢の限界に達する。
「コワイわ、ガ。私とラーナは女の子だって忘れちゃダメかな。怒鳴り散らすオジサンを小屋の中に入れたくないわ。恐怖を感じたわ。ガはコワイオジサン、小屋の中で何をするつもりなの?」
レテはラーナを見る。
「外も安全みたいだし、このままで良いわ。ガは外で白い影の様子を見る。私たちは朽ち果てない小屋の調査を進める。問題ないかしら、白い影は近寄ってこないんでしょ?」
ラーナはレテの援護をする。
「分かったのじゃ」
ガーおじは答える。
「何を?」
レテは不信感を抱く。
「分かったのじゃ」
ガーおじは再び答える。
「それじゃ分からないわ、説明してもらえるかしら?」
ラーナはガーおじに尋ねる。
「分かったのじゃ」
ガーおじは解答を変えない。
「扉は開けないわ。外で待っているのよ」
レテはガーおじに伝える。
「分かったのじゃ」
ガーおじは答える。
「素直なのは良いことね」
ラーナは精神を集中させる。入口の前の床板が剥がれる。土が見える。
「調査の時間かな」




