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流れ星

 ヒューン!ヒューン!ヒューン!音がドンドン近づいてくる。黒い霧は竜巻に飲み込まれ続けている。ラーナはレテを見つめる。

「願いは何にしようかな?」

 レテは考える。

「災厄を食い止める。王国の平和、クロウがいなくなることかしら」

 ラーナは答える。

「ラーナ様のお体!」

 ドロスは意気込む。

「ネアスは自力で見つける。ララリは何とかなるかな、災厄はラトゥールのお仕事でしょ。王国の平和は今でも守っている。ラーナの体は魅力的かな」

 レテは考える。

「おお、そうなのですね。仲良しの女性同士は……」

 ドロスは興奮する。

「クロウは裏切る、裏切らない。どっちが良いかしら、レテ?」

 ラーナはレテに問いかける。

「オモシロイ方が良いかな」

 レテは目を閉じて祈りを込める。

「決まりね!」

 ラーナも目を閉じて祈る。

「お二人の願いを届けてください」

 ドロスは祈る。ヒューン!ヒューン!ヒューン!けたたましい音が鳴り響く。

「流星さん、姿を見せてもらうわよ」

 レテは目を開けるとジャンプして白黒の竜巻を蹴飛ばす。

「あっちかな、シルちゃん」

 レテはシルフィーに呼びかける。白黒の竜巻は斜めに空を駆け抜けていく。雲が吹き飛ばされて淡い光がレテの目に入る。光の筋が空に見える。

「三百年に一度の大事な時に寝坊したのかしら?」

 ラーナは流星を見つめている。

「どこに落ちるのでしょうか?ギンドラの街ではなさそうですね」

 ドロスは安堵する。

「この前の流星群でもクレーターになったのは一つだけ。流れ星は空で燃え尽きて風になる運命には逆らえないかな」

 レテは白黒の竜巻の行方を眺めている。

「そのクレーターにはラトゥールの末裔と記憶喪失の男がいた。今度の流星はどこに向かうのかしら。こっちの方ね」

 ラーナは軌道を見つめる。

「二人の美女に惹かれるのは人も亡霊も流れ星も同じようですね」

 ドロスは体に戻ろうと思う。

「流れ星に頭をぶつけたら、ガみたいに記憶喪失になっちゃうのかな。変な亡霊もいなくなったし、最初の湖に向いましょう」

 レテはラーナに提案する。

「流れ星はすぐに落ちるわ。もうちょっとだけお願い、レテ。危なそうなら私の炎の魔術で吹き飛ばすわ。威力は二人共知っているでしょ!」

 ラーナは精神を集中させる。頭に響く音は小さくなった。

「もう来ますね」

 ドロスは精神を集中させる。

「シルちゃんは食い止めてくれないのかな?」

 レテは白黒の竜巻を目で追う。白と黒と淡い光が重なり合う。流星は軌道を変えて、さらにレテたちの方向に近づいてくる。レテは精神を集中させる。何も起きない。

「体が心配です。さようなら〜」

 ドロスは二人に別れを告げる。

「目の前に来てくれたら簡単に撃ち落とせるわ」

 ラーナは精神を研ぎ澄ます。無数の炎が彼女の頭上に生じる。

「これだけたくさんあればどれかは当たるかな」

 レテは安堵して流星を見つめる。

「全部流れ星さんに当ててみせるわ。レテも確認してくれるかしら。私は当てる事に集中させてもらうわ」

 ラーナは腰から何本も小さい杖を取り出し、風で浮かべる。彼女は笑みを浮かべる。

「頑張って見るけど期待しないでね」

 レテは答える。流星は再び軌道を変えて地上に落ちる。二人は落ちた方角を見つめるが黒い霧に包まれ何も見えない。ラーナは炎を消して、転ばない杖を流星の落ちた方角に投げる。杖は風で浮かぶ。

「行きましょう、レテ。ネーくんもあそこ、当然ね」

 ラーナは木の上を跳びはねていく。

「ま、フツウは気になってアッチに行くかな」

 レテも転ばない杖を利用して跳びはねる。

「おじさんの次は誰がいるのかしら!美女は二人いるわ」

 ラーナは楽しそうに木の上を跳びはねていく。

「転ばない杖も便利ね。何で空に浮かぶの?」

 レテは気になっていた事を尋ねる。

「杖の中には空洞があって風が詰まっているわ。それが転びそうな時の振動で外に流れて警告の音が鳴る。その空洞の中に魔力で風を満たしたら浮かんだわ。後は細かい調整をすれば、求める位置に杖は留まる。当たり前の事かしら」

 ラーナは転ばない杖を投げて木の枝の間を埋める。

「調整、私の苦手な言葉。細かいまで付いてきたら吹っ飛ばしたくなるかな」

 レテは感心する。

「精霊は気まぐれ、私は精霊の力は借りられないわ。魔術師にして精霊使いの夢はあきらめた方が良さそうね」

 ラーナは木の上を跳びはねていく。

「炎の精霊さんがラーナの炎を見たら気に入って力を貸してくれるかも。女の子に声をかけるのを止めないとイケナイから魔術の研究のジャマになるかな」

 レテはラーナの後を跳びはねていく。レイレイ森林は暗闇と静けさに包まれる。

「流れ星の精霊!彼はどんな力を持っているのかしら?」

 ラーナはレテに尋ねる。

「人々の願いを叶える力かな。何でも!ギンドラでモテたいとかたくさんのララリで刺激的な賭け事をしたいとか。ラーナのお

フロをのぞきたいとかも叶えちゃう困った精霊さんかな。一度は夢見る事!」

 レテは答える。

「シャルスタン王国中に広がっているおフロの呪いを解くほどの力を秘めた精霊!流星には大きな力が宿っているって伝説があるけどそこまでではないわ。私たちはおフロに入れなくなるわ」

 ラーナは冷静に考える。

「帝国にも広がっている呪いなんでしょ?」

 レテはラーナに尋ねる。

「私が知り合いに聞いた話では帝国では違う種類の呪いが広がっているらしいわ。王国よりも風が弱いから同じ呪いだとのぞかれるらしいわ。噂だけどね」

 ラーナは答える。

「帝国のおフロも気になるけど、レイレイ森林のクレーターで待っている人。思いつかないわ。また、ガがいたら蹴っ飛ばして、髪の毛をむしって、湖の水をかけてもキモチは収まらないかな。二度はダメかな」

 レテは木の幹を蹴っ飛ばす。

「お昼過ぎにガー王が広場で涙のきせきの話をしていたから問題ないかしら。稼げるうちに稼ぐのが大事だってクロウは何度も言っていたわ」

 ラーナは転ばない杖を先に投げる。

「それはガガブタさんかな。彼はガを追いかけている間にガのクセも真似するようになって自分がガだって勘違いしちゃったかわいそうなオジサン。ガと違って私にイジワルしないからすぐに分かったわ」

 レテは答える。

「レテの勘違いかしら。ララリの余裕は心の余裕、貴族の私でも知っているわ。ガー王は稼ぐ術を得たからレテにやさしくなったのよ」

 ラーナは跳びはねる。

「流星の落ちた先にガがいたら私の勝ち、いなかったら私の負け。どっちにしても私は損をするわ。止めましょ!」

 レテも跳びはねる。

「ガー王がいたら私の負け、いなかったとしてもガー王とガガブタさんが同一人物だと言う証明にはならない。確かに不公平かしら」

 ラーナは納得する。

「何も良いことはないわ。ガの話は止めましょう」

 レテは自分を戒める。

「ガとガーおじは同一人物で良いのかしら?」

 ラーナはレテに尋ねる。

「ガはネアスと私を裏切る存在。ガーおじは記憶喪失のまったりゆるふわおじ。イジワルなのは同じ。ガは私に何も言わないでネアスを一緒にギンドラに来た」

 レテは答える。

「つまりガはすでにレテを裏切った。ネーくんを裏切るのも時間の問題!」

 ラーナは驚く。

「ガはネアスを裏切れない。モテない同盟のゆるい絆が二人を繋いでいるかな、でもラーナの言う通りでもあるわ。時間は絆をゆるめる」

 レテは答える。二人が跳びはねていくと冷たい風が森から吹いてくる。ラーナがレテを見ると彼女は首を振る。二人はさらに木々の上を跳びはねる。前方の木々が突然消えるのが彼女たちの目に入る。

「イヤ」


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