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もっと気まずい

 レテはネアスを地上に下ろそうかを考えつつミヤを抱きしめている。ルアは高く舞い上がっているネアスを眺める。ドロスも上を見上げる。

「ネアスもちゃんと考えているのね。ギルドから助けた時に話を聞いたら石職人全員を吹っ飛ばして、神殿に吊り下げて、アーライト河に流すのはイヤかな。大事なアーライト河、レイレイ森林も亡霊さんが住んでいるしアイツラはジャマね。思いつかないわ」

 レテはネアスに助けを求めて彼を地上に降ろす。

「ネアス様も大変な目に合いました。野蛮な石職人の集まりには関わらない事が一番です。ネアス様には似つかわしくありません」

 ルアはやさしくネアスに声をかける。彼の顔が赤くなる。

「私も知っているので大丈夫です。他にはどんな事を言っていたのですか、ネアス様?」

 ミヤは好奇心を抑えきれずに彼に質問する。

「お前は誰が一番……」

 レテはネアスの口を塞ぐ。

「ダメ、ネアス。悪い言葉は覚えちゃダメ、二人きりの時に聞いてあげるから今は他の話をしましょう。ミヤも大人になったら飲み屋で嫌でも聞かされるわ」

 レテはミヤに伝える。ネアスとミヤはうなずく。

「配慮ある言葉が必要です。これでは言葉だけで騎士に捕まる勢いです。もちろん、そんな事はありません。残念なような、気楽なような」

 ドロスがつぶやく。

「アイツラの考えている事はそればかりです。何を求めているのでしょうか、バカなのでしょうか」

 ルアがレテを見る。

「男の価値はって、ダメ。ネアスは風でララリを飛ばして買い物をさせない、つねに風を口の中に入れ続けるだっけ、あまくないかな」

 レテはネアスに問いかける。

「三岩人の皆さんの街特製クッキーを飛ばすのが良いと思います。責任者も一緒にお仕置きします。クッキーはお預けです」

 ミヤは提案する。

「ルアさん、彼らはバカではありません。あの人たちは僕に交渉を持ちかけました。銀ララリと安全をやる。その代わりにレテを路地に連れて来い。ガーおじは誘いに乗った。ポケットに銀ララリが入っている。お前が断っても無駄だ。殴られ損だ。二人でレテを連れて来い。コイツよりお前一人の方が上手くいくハズだ。選ばせてやる、ザコ」

 ネアスは思い出す。彼のカバンから小さな風の槍が飛び出し、クルクル回る。

「ああ、この街の石職人はオシマイです。悪党です。誘拐、脅し、王の裁きを受けるに値します。ストーンマキガンの街は変わってしまった。荒々しい石職人でしたが悪党ではありませんでした」

 ルアが声を荒げる。

「彼らは盗賊ギルドの一員なのではありませんか?申し訳ありません。存在するかも分からないギルドのせいにしても仕方のない事です」

 ドロスはうろたえる。ミヤはレテに抱きつく。レテはネアスを見つめる。

「僕が誘いに乗った振りをしてうなずこうとしたらリーダーっぽい人が言った。裏切りには同法が罰を与える。俺がレテに捕まっても無事に済むと思うな、失敗は許される。しかし、裏切りは許されない」

 ネアスが続ける。

「たちが悪すぎね、どうして私に今まで黙っていたの。そんなヤツラを王国内を自由に歩かせるわけにはいかない。騎士が捉え、王の裁きを受けてもらう。彼らはそれだけの事を口に出し、計画し、実行したわ」

 レテはネアスに伝える。

「ナニカが蠢いている。流星が人を狂わせたのでしょうか、ゴブリンの数も増えています。あの流星は人が見てはイケないモノだったのかもしれません」

 ドロスがつぶやく。

「ヤツラはタダの悪党です。王族や大臣様にお伝えすれば三岩人も全ての事実を語るでしょう。いいえ、三岩人は王族の命には従わない」

 ルアはネアスを見る。

「僕はお姉さん神官さんの言葉を思い出した。口だけの人はたくさんいる。全てを鵜呑みにしてはイケない。精霊の剣は物語の中の存在。風は運ぶ事は出来ない。あなたもそう思った

でしょ」

 ネアスは話を止める。

「お姉さん神官は関係ないかな。私の事を思い浮かべる場面な気がする。ネアスは思い違いをしてないかな」

 レテは眉をひそめる

「私も同じ意見です。お姉さんの神官さんはどうでも良いです。裏切りは罰です。失敗は許します」

 ミヤはネアスに伝える。

「もちろんですって答えた。精霊の剣を風が運んでくれると思ったのがはずかしかったから自信を持って答えた。お姉さん神官は微笑んで言った、ウソはいけないわ。バレバレね」

 ネアスは笑みを浮かべる。小さな風の槍がクルクル回っている。レテは天井を見つめて気分を落ち着かせようとする。

「ネアス様、どうしたんですか。ヤツラに王の裁きを与えるという話です。お姉さん神官さんの話は関係ありません。兄もどこかで誰かの悪口を言っているんでしょうね。どうしましょうか、ドロスさん」

 ルアは話題を変える。

「レテ様の近くにいるのが一番でしょう。騎士の訓練もすれば心も晴れます。さあ、外に出かける時間です。今日は晴れの日です。神殿の中は湿っぽい、イヤだ、イヤだ」

 ドロスは扉に向かう。

「最後まで聞かせてくれるかな、ネアス。キミの心を平静にする言葉、気になるわ」

 レテは冷静にネアスに問いかける。

「ありがとう、レテ。お姉さん神官は僕に言った。私は口だけじゃない、あなたに風が精霊の剣を運んでくれる事を明日の朝から毎日お祈りする。あなたは精霊の剣を手にする。祈りは風に力を与える。私が証明する。あなたは精霊の剣の持ち主になる」

 ネアスはレテに伝える。

「クヤシイ、クヤシイ、クヤシイ。私は今から祈る。ネアスは精霊の剣を手にする。キミは精霊の剣の持ち主になる。シルちゃん、ウィルくん、ラトゥールも手伝いなさい。ネアスは精霊の剣を手にする。今日はこれを唱え続ける。お姉さん神官には負けない、クヤシイ、クヤシイ、ネアス。私はクヤシイ」

 レテはネアスに訴えかける。シルフィーの風が巻き起こり、ウィルくんがフラフラする。光の風の糸が神殿に広がる。

「レテ、悔しくはないさ。僕の女の人との思い出はこれだけさ。僕がお姉さん神官の言葉を思い返しているとリーダーっぽい人が言った。人には記憶がある、面倒だ。くだらない、何を思い出しているかわからないが意味がない。意味がない。その後、彼らは風の音を聞くとすぐに逃げていった」

 ネアスが話を終える。小さな風の槍は光の風の糸をつついている。

「ネアス様、レテ様の事は思い出さなかったのですか。あの日はきれいでやさしくてかわいいレテ様をずっと一緒だったとアーシャ様に聞きました」

 ミヤは果敢にネアスに問いかける。レテはミヤを見る。

「どうしてレテの顔が頭に浮かばなかったのだろう。不思議だ。違う、レテに迷惑をかけたからって焦って、言い訳を考えていた。彼らと一緒にいた女性が悲しい顔をしていた。朝は元気そうだったのにすっかり変わっていた。レテが彼らを捕まえたら女性も牢屋に入ることになる。そんな事を考えていた時に交渉を持ちかけられた」

 ネアスが答える。

「キミの思い込み、無理や協力されていたなら王様は許してくれるわ。てっいうか、私も話を聞いて、その後に風が精霊の剣を運んでくれるって祈るって言ったかな。ウソはいけない、バレバレかな」

 レテはネアスに伝える。彼女は呪文を唱え続ける。

「レテには敵わない、僕はレテの顔をずっと頭に思い浮かべて牢屋みたいな部屋で耐えていたのさ。バレバレか、女の子にウソはつけない。レテの顔を考えていたらお姉さん神官さんの顔が浮かんできた。精霊伝説の三巻、少しの間だったけど色々な事を考えた」

 ネアスはレテに告白する。レテは呪文を止める。

「私の手柄です。精霊伝説を図書室に置いたのは私です。私は恋の手助けをした。信じられません。私が二人の間を取り持った」

 ドロスは突如興奮する。

「子供の頃に母にねだって買ってもらいました。セトヒロさんはかわいかったですね。私とは性格は違いますがステキな女の子でしたね」

 ルアは落ち着きを取り戻す。

「物語では精霊の剣は風が運んでくるわけではありません。そこは良いのでしょうか?」 

 ミヤは疑問を口に出す。

「同じ方法で力を発揮してもツマラナイかな。私も朝と昼と寝る前にお祈りしてあげるわ。お姉さん神官だけじゃ頼りないかな」

 レテは自信を取り戻す。彼女は毅然とした顔でネアスに問いかける。

「お姉さん神官さんの悪ふざけさ。レテが付き合う必要はない。お祈りはララリをたくさん手に入れるようにした方が良いな。精霊の剣は僕には使いこなせない」

 ネアスは答える。

「私はララリ。お姉さん神官は精霊の剣。私の扱いが悪すぎないかな、ネアス。他に願う事はないの、ネアス。あっても精霊の剣をお祈りするつもり、絶対ね」

 レテはネアスをからかう。

「お姉さん神官さんですか。お前をお聞きしてもよろしいでしょうか、ネアス様。子供の頃の思い出ですので会わない方が良い事もありますが私は気になります。王都の風の神殿で聞き込みをすれば一発です。皆、あそこから巡礼の旅に出て、帰ります」

 ドロスはネアスに尋ねる。

「ドロスさん、思い出はそのままの方が良いと思います。ですが、美化しすぎもイケないきがしますね」

 ルアはレテを見る。

「名前を教えて頂いたら私も毎朝ネアス様のために祈ります。精霊の剣を風が運んでくれますように」

 ミヤは楽しげに祈りを唱える。

「お姉さん神官さんの名前は世界のとびっきりヒロイン、セトヒロさ。あなたはタダの神官が精霊の剣の祈りを唱えて風が運んできてくれるって思っていたの、精霊の剣は特別な剣。セトヒロのみが存在を知っている。当たり前でしょって言われた、本当の名前は知らない」

 ネアスは答える。

「何、その女!気に入らない!子供も相手に遊んでいる!この世界で一番性格の悪い女!」


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