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ピクニックに行こう!

 レテはネアスを見つめる。彼は困ったような顔つきをしている。ニャンが笑顔で答えを待ち受けている。ミヤはきれいに包んだ特製たまごサンドを見ている。誰もニャン族特製小ドリンクを気にしていない。

「勝者は景品を手に入れるべきかな。時間がない時は仕方がないけど最善を尽くすべきね。良いモノはないかな」

 レテは食堂の中を物色し始める。

「景品はいらない。金ララリがもらえるなら考えても良いな」

 ネアスがつぶやく。

「私たちの答えは不正解みたいね、駆け引きは大事、大事。賞品は金ララリに決定!」

 レテはカバンから金ララリを取り出し指で挟む。

「どうしてですか、レテ様。負け確定で金ララリが賞品だなんて意味が分かりません」

 ミヤは驚く。

「もったいないにゃん。他の事に使うのがオススメにゃん、今なら選択を変える事が出来るにゃん。ネアス様、卑怯にゃん!」

 ニャンはネアスを糾弾する。

「僕がここで条件を飲んだら金ララリ一枚もらえる。どれだけの価値があるかも僕には分からない。でも、しばらくゆっくり出来る。本格的にゴブリンの呪いの調査も可能だ」

 ネアスの心は揺れ動く。

「答えが当たりだったら、代わりに私が金ララリをもらうわ。ネアスは私に借ララリ、私は答えをもう一度だけ変える事が出来る。これで負け確定ではなくなったわ」

 レテが笑みを浮かべる。

「それでもレテ様は不利です。どんな事があったかを正確に知る事は難し過ぎます。ネアスさんが正解を偽るかもしれません。レテ様にふっ飛ばされますからダメです」

 ミヤはネアスに注意を与える。ネアスはうなずく。

「ニャン族の試練はどんな方法でも良いからララリを稼ぐ事にゃん。賭け事でも問題はないにゃん。でも、その方法を選んだニャン族の行き着く先は知らないにゃん」

 ニャンは悲しそうに答える。

「僕は確実に金ララリを手に入れる事が出来る。故郷の人には後でお願いをすれば良いさ。レテに関してはどうするのが良いと思う、レテ?」

 ネアスは混乱する。

「ネアスが金ララリを受け取ったら私はキミを疑うかな。どんな手段を使っても答えを見つけ出す。ネアスが相手なら簡単、簡単。賭け事はダメだけと経験は必要かな、ヒリヒリした勝負をしましょう、ネアス!」

 レテは元気にネアスに伝える。彼は怯む。

「正々堂々と勝負をするべきです、ネアス様。それでも勝ちは確実です。金ララリはきれいです。うらやましいです」

 ミヤはレテの指先で動く金ララリに魅入られる。

「もし負けたら僕はレテに金ララリの貸しが出来る。いつ返せるかも分からない金ララリ。万が一はある。レテは答えを知っているのか!」

 ネアスは混濁する。

「ネアスはそのくらいの危険は背負うべきかな。金ララリを出すのは私、この前の商人さんからのお礼だけどね。一応賭けで勝ったかな。お遊びだったから不完全燃焼気味!」

 レテはここで欲求不満を解消しようとする。

「私の知らない話です。リンリン森林で聞いてみたいです。ネアス様、決断の時です。賭けの始まりです。よーい、ドン!」

 ミヤが開始の合図を告げる。

「ネアス様は金ラリで何を買うにゃんか。少しくらいならぜいたくをしても良いにゃん。剣を買うのが良いにゃん。ニャンが王都でお店を紹介するにゃん」

 ニャンは商売を始める。

「まった、賭けはしない。答えは」

 ネアスは答えを口にしようとするとレテは片方の手で彼の口を塞ぐ。

「ネアス、勝手な行動はダメ!何事も同意が大事かな、キミの勝ちは確定。借ララリも私なら問題ないでしょ、ネアス。さあ、始めましょう!」

 レテが気を取り直して合図をする。

「答えは言わない。ホントさ」

 ネアスはレテの手の隙間から告げる。

「罠です、レテ様。ネアス様は答えを言います。男の子たちが良くするイタズラです。間違いありません」

 ミヤが警告する。

「ネアス様、不思議にゃん。ニャンが代わりに賭けをやりたいにゃん。誰でも勝てる賭けにゃん」

 ニャンはつぶやく。

「ちょっとしたスリルを味わいたいだけ!構わないじゃない、ネアス。私に刺激をくれないかな。ピリッとした感じ。ヒヤヒヤまではいらないかな」

 レテが手を離してネアスにお願いする。

「賞品が僕にはデカすぎる。そうだ、特製たまごサンドを味見する権利はどうかな。レテの手料理を最初に口にする。素晴らしい」

 ネアスは提案する。

「そういう事は二人だけの時にしてください。ツマラナイです。とっても盛り上がりません。一番ダメな選択です」

 ミヤが不満を言う。

「そうだにゃん。ダメにゃん、勝手に食べれば良いにゃん。それより早く外に出たいにゃん。リンリン森林で薬草を取りたいにゃん。今日は忙しくなりそうにゃん」

 ニャンは扉を押したり引いたりするが開かない。

「モテないネアスくんには早かったかな。モテるネアスに生まれ変わったと思っていたわ。どう生まれ変わったの、キミは?」

 レテは気になっていた事を質問する。

「特に意味はないさ。一度言ってみたかったんだ。ラトゥールの風の槍を手に入れたからどこかは変わったハズさ。今までの僕では考えられなかった出来事!レテは僕の幸運の女神様さ。それだと僕は生まれ変われない」

 ネアスは悩む。

「レテ様のおかげです。ネアス様は変わりがないと思います。二人一緒が大事だと思います。金ララリは私にください!」

 ミヤはダメ元でレテにお願いする。

「ニャンも欲しいにゃん。金ララリが欲しいにゃん。にゃ~ん、にゃ~ん」

 ニャンもレテにお願いする。

「金ララリは人を変える力がある。知識では知っていたけど……」

 レテは金ララリをカバンにしまう。ミヤとニャンはしっかり見た。

「答えは食べきれないカチカチパンを部屋にしまっていたら変な匂いがしてきて両親に怒られたのさ。あの時だけは悪い事をしたと思ったな」

 ネアスは隙を見て答える。レテたちは関心がないようだ。

「そっか、大変だったみたいね。ネアスのご両親もやさしい人なのかな。厳しく育てられたの、そうは見えないかな」

 レテが質問する。

「ラトゥールの末裔の育て方。本にしたら売れそうです。ドロスさんにお話ししてみます。ララリがたくさん欲しいです」

 ミヤは金ララリに魅了されている。

「そうだね、僕は実はここの家の生まれじゃなくて高貴な方の息子じゃないかって質問したら、怒らないでやさしく抱きしめてくれた。精霊伝説の薄明かりの窓に憧れたのさ」

 ネアスが答える。

「薄明かりの窓か、最後は残念。ウウン、何でもないかな。私はすぐに結論を言っちゃいそうになる。悪い癖ね」

 レテは反省する。

「二巻以降も出番があるんですね。私は一巻しか読んでいないので最後はわかりません。隠し事のしすぎはコワイです」

 ミヤが答える。

「構わないさ、レテ。でも、薄明かりの窓の指導者が初めから自分の出生の秘密を知っていたら結末は変わったのだろうか。彼は同じ事をしたと僕は思う」

 ネアスが答える。

「作者さんも同じ事を考えたみたいね。後は言わない、これでも言いすぎかな。ニャン、鍵がかかってない。確認してくれるかな」

 レテがにゃんに伝える。ニャンはすぐに鍵を回す。扉が開く。

「うっかりしたにゃん。ニャンはいつもにゃん。今度から気を付けるにゃん。ニャンはみんなの分のマッスルニャンダドリンクを持ってくるにゃん」

 ニャンは部屋から飛び出していく。テーブルには空の瓶が残っている。

「残ったのはこの一本だけだ。無駄な事をしてしまった。いつもの事だから問題はないさ。最後に一本、ありがとう、亡霊さん」

 ネアスがドリンクを手に取るとカタカタと震える。彼はすぐさま手を離す。瓶は倒れるがすぐに起き上がる。

「亡霊さんはまだお帰りになっていないようです。ドロスさんを呼びに行ってきます。私では頼りにならないからお話しをしてくれなかったです」

 ミヤはシュンとする。

「まだまだ試合は始まったばかり、これからミヤにお話しをしてくれるかもしれないわ。恥ずかしがり屋の亡霊さんかな。ニャン族特製ドリンクはオイシかったでしょ。ほとんど全部飲んだわ」

 レテは瓶に触れる。カタカタ震える。彼女はそっと持ち上げる。レテの手の中で瓶は動いている。

「中身の色が変わった気がする。ニャン族特製ドリンクは色違いが多いけど、この色は見た事がない」

 ネアスは瓶を観察する。茶色のような灰色のような感じだ。

「亡霊さん。お願い事はないのでしょうか。どうして震えているんですか。コワイんですか、レテ様もネアス様もやさしい人です」

 ミヤが瓶に伝える。瓶はカタカタ震える。

「ネアスの変な踊りでこの部屋に現れた。水とドリンクが大好き。私の特製たまごサンドには興味がない!」


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