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マッキャンビー対策

 レテは最後に部屋を見渡す。テーブルの上には使う事がなかった襲撃者撃退用の辛いドリンクが置いてある。レテがドリンクに手を伸ばす。

「これが辛い辛いドリンクね。これを刺客に投げて目潰ししようとしたの?上手く当てられるのかな、緊張すると狙いが定まらないわ」

 レテが瓶に触れようとするとドロスが立ちふさがる。

「レテ様、危険です。万が一のためにあるだけの辛い薬草を煎じました。匂い消しも大量に入れたので余程近づかない限り判別は付きません。後で処理もします。間違って誰かが口にしたら私の責任問題です」

 ドロスは真剣な顔つきに戻る。

「私も手伝いました。手袋も廃棄するみたいです。危ないから二重で袋に入っています。最初はすごく辛い匂いがしたんです、ビックリです」

 ミヤが部屋の隅の小さな袋を指差す。袋の中は赤と緑だ。

「ニャンも協力したにゃん。勉強になったにゃん。ドロスさんはマッスルニャンダドリンクの改良を手伝ってくれるって約束してくれたにゃん」

 ニャンが笑みを浮かべる。ドロスは静かにうなずく。

「美味しさを追求するのは初めての経験です。マッスルニャンダドリンクが風の神殿の経営状況を変える事を期待しています。私が神官長になる時には裕福な神殿にしたいものです」

 ドロスが希望を語る。彼はキンパラキノコのお皿に手を出すが風に阻まれる。

「キンパラキノコはオシマイ、オシマイ。ゴブちゃん撃退用には使えないのね、持ち運ぶだけでも危険かな」

 レテはドロスに尋ねる。

「ゴブリンには効果はあると思いますが、こぼしたり、地面に落としたりしたら後始末が大変です。気づかずに触れてしまったら大変です」

 ドロスは大きく首を振る。

「イタズラにも使えません。私は薬草の量を見たので分かります。ダメです、ガーおじさんも体を壊します」

 ミヤが残念そうに答える。

「ガーおじ?誰かしら?ラーナにもレテは軽い記憶喪失って言われたわ。ガーおじって人が私の仲間にいるのかな」

 レテはガーおじに会う前の練習を始める。三人は驚く。

「記憶喪失にゃんか。大変にゃん、ドロス様、何とかして欲しいにゃん。みんなの事を忘れたら大変にゃん、ネアス様の事を忘れたらダメにゃん」

 ニャンはドロスを見つめる。

「ネアスの事は覚えているわ。そうじゃなくて知っているというか、ネアスは仲間、大事な仲間よ。忘れる事はないかな」

 レテが急いで答える。

「ガーおじ様とレテ様に何か事件があったのでしょう。ガーおじ様がレテ様に触れて欲しくない事ばかり話したのかもしれません。レテ様の心が悲鳴をあげて、ガーおじ様の事を忘れてしまった。私は確信します」

 ドロスが真剣に答える。

「そこまでの関係性はないと思うわ、ドロス。ネアスと会って四日目かな、ガーおじ?言い難いわ、マッキャンンビーさんとも同じ日に出会ったみたいね」

 レテはドロスの意見をちょっと採用する。

「ガーおじさんの本名は長いです。私も聞きましたが覚えられませんでした。マッキャンビーさん、最後の方にあったようなないような?!」

 ミヤが答える。

「マッキャンビーさんはどんな人かな。見た目と性格、初めて会う事になるから教えて欲しいかな。信頼は出来る人なの?」

 レテが三人に質問する。三人は首をひねる。

「ニャンはほとんど話をしていないから分からないにゃん。でも、レテ様はマッキャンビーさんと言い合いをしていたような気がするにゃん。相性が悪いかもにゃん。ニャンも苦手なニャン族はいるにゃん」

 ニャンがつぶやく。

「マッキャンビーさんはおじさんです。なので、ガーおじさんのようです。イタズラにかかりやすくて私にはやさしいです。モテないと聞きましたが、お付き合いは私も出来ません。もちろん将来の話です」

 ミヤが困り顔で答える。

「記憶喪失の方です。私がレテ様のご依頼で協力する事になりました。レテ様の頼みでなければ断っていました。私の専門は呪いなので記憶を取り戻す方法に関しては知識が足りません。努力は致します」

 ドロスが淡々と答える。レテがうなずく。

「うーん、マッキャンビーさんで良い話はないかな。ミヤにやさしい。これはある程度の年齢の男なら誰でもそうするわ。ミヤがきれいでかわいくなるのは確定事項。やさしくしない理由がない!」

 レテは断言する。ミヤは照れながらも笑顔でレテを見る。

「ネアス様と仲が良いにゃん。ニャンはネアス様と土の村でも何度か話をしたから分かるにゃん。ネアス様はマッキャンビーさんを信頼しているにゃん。絶対にゃん」

 ニャンが自信満々で答える。

「そうです、二人は仲良しです。レテ様に隠れて何か話をしているのを見ました。楽しそうでした。男の子同士の話だと思います。王都でもあんな感じの子たちがいました」

 ミヤが答える。レテがうなずく。

「仲が良い事は大事、大事。マッキャンビーさんはどうしてネアスに信頼されているのかな。きれいでかわいくてやさしい私がいるのにどうしてマッキャンビーさんと隠し事をするのかな」

 レテは本題に入る。

「全ての事をレテ様に相談する事は出来ません。例えば、どうやってレテ様に告白をするか?これをネアス様がレテ様に相談する訳にはいきません。いいえ、私は何も言いませんでした。そうだ、レテ様、私と結婚してください」

 ドロスは余計な事を言ってしまったので無理をする。レテは大きくうなずく。

「そうよね、私の相談できない事ってそうなるかな。ドロスは観察力に長けているわ。マッキャンビーさんもネアスが私に告白する言葉を知っている可能性があるのよね、そうでしょう?」

 レテは核心部分にせまる。ドロスは何もなかったようにレテの言葉を噛みしめる。

「レテ様は告白されていないですか?昨日の夜の様子で私は二人がお付き合いを始めたのだと勘違いをしていました。自然に仲良くなって、ダンダンと結婚するんですか?」

 ミヤは驚き、レテに質問する。

「ネアス様がレテ様と結婚するにゃんか。ニャンも結婚式には呼んで欲しいニャン。ドコからでも駆けつけるニャン。待っていて欲しいにゃん。お願いにゃん」

 ニャンも驚きつつもレテに頼み込む。レテは微笑む。

「今日、この神殿にいるみんなを呼ぶ予定だからダイジョブ、ダイジョブ。早めに日程は決めるからニャンも結婚式には参加出来るかな、他にも呼ぶ人はたくさん、たくさん!」

 レテは楽しそうに答える。

「マッキャンビーさんが事前にレテ様への告白の言葉を知るのは問題です。しかし、ネアス様は女性とお付き合いをした事がないようですし、準備も整っていないハズです。呪いとゴブジンセイバーの事で頭が一杯のようです」

 ドロスは真剣に悩む。

「男の子ってどうしてこうなのかな。マッキャンビーさんと呪いとゴブジンセイバーの話をすれば良いのよ。私とは恋の話をする、完璧、完璧!」

 レテは同意を求める。

「私は恋をした事がないので分かりません。大人の人たちはどんな話をするんですか、レテ様。教えてください?」

 ミヤが質問する。

「もちろん、きれいでやさしくてかわいい私のステキな所を話すのよ。出会った時にどう思ったか、今の方が好きなのかな。それとも明日の方が好きになっちゃうのかなとか。簡単な事!ネアスの良い所もちょっとは話すかな」

 レテは希望を告げる。

「そういう話をするんですね。私はすぐに別れる事が多かったので知りませんでした。今はもう必要のない知識ですが覚えておく事にします」

 ドロスは寂しげにつぶやく。

「ニャンが一人前の行商人になるのが先にゃん。今後のために覚えるにゃん。明日の方が好きにゃん」

 ニャンが答える。レテはうなずく。

「将来の事を平行で考えるのは大事、大事。あくまでも一番大事なのはきれいでかわいくてやさしい私!平行で将来の事も考える人よ、ミヤ、ちゃんと覚えておくのよ」

 レテはミヤにやさしく教えてあげる。ミヤはうなずく。

「平行です、水平ではありません。平行です!」

 ミヤは元気よく答える。レテは大きくうなずく。

「マッキャンビー対策はあるかな、みんな。彼の魔の手からネアスを守る方法を募集するわ。どんな意見でも構わないからお願い!私の力にも限界はあるかな」

 レテは三人を見つめる。三人は大きくうなずく。

「マッキャンビーさんを一時的にネアスさんから遠ざける事を提案します。その間にレテ様はネアスさんと恋の話をします。後はレテ様にお任せします」

 ミヤが真っ先に意見を出す。レテはうなずく。

「良いわ、ミヤ!どこかで二人きりになる事は絶対必要かな。夜の方が良いわ。朝から告白されたらビックリするかな。お昼はゆっくりしたいわ」

 レテがミヤを褒める。

「ニャンはネアス様に直接アドバイスするのが一番だと思うにゃん。ニャンなら告白の言葉は誰にも教えないし、場所も日時も秘密にするって言うにゃん。ニャンの言葉をネアス様がどこまでホンキで受け取るかは分からないにゃん」

 ニャンは躊躇いながらも答える。

「ニャンとネアスの関係なら可能なのかな。普段はどんな話をいているの、ニャン?」

 レテは気になっていた事を質問する。

「冒険の話や商売の話にゃん。旅の話が多いにゃん。ギンドラの街とか王都の話をネアス様は楽しそうに聞いていたにゃん。ギンドラの街には盗賊もいるから注意するように教えたにゃん。たまにカバンからララリが減っているにゃん」

 ニャンは悲しそうに答える。

「ギンドラの街の欠点です。にぎやかで若い人たちの多い街で楽しいのですがララリが色んな意味でなくなります。稼いだララリは夜が明ける前に過ぎ去る。開放的な女性も多いと聞きます」

 ドロスは余計な一言を付け加えてしまう。

「ドロスはギンドラの街ではモテるの?一夜限りの付き合い。それもアリなんでしょ?ううん、何でもない。一夜限りの付き合いはずっと一緒にいるって意味かな。そうだよね、ドロス。一夜は千夜!」

 レテも余計な事をミヤの前で言ってしまう。ドロスは瞬時に大きくうなずく。

「当然です、レテ様。一夜は千夜です。私にもギンドラの街に千夜でも語り明かしたい女性がいました。神官になるためにお別れをしました」

 ドロスはレテに協力する。

「ギンドラの街はステキな街ですね。一夜限りは千夜の誓いの意味ですか?友達にも教えてあげます。みんな興味があります」

 ミヤは笑みを浮かべる。

「ミヤの心の中に閉まって欲しいかな。無理強いはしたくないけど大人になってから大切な人に話した方が良いかな。恋の先輩のアドバイス!」


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