改名
レテは笑顔でニャンを見つめる。ミヤは期待に胸を膨らませているようだ。ドロスはキンパラキノコの観察に集中している。ニャンは首の鈴を握りしめる。
「きれいでやさしくてかわいい。さらに騎士で才能ある精霊使いの私が聞きたい話をニャンは予想できるかな。当たったら、キンパラキノコをサービスするわ」
レテは微笑む。
「マッスルニャンダドリンクのレシピ、ニャン族の伝説。それともニャンの初恋の話にゃんか。にゃんにゃんはまだしてないにゃん!」
ニャンは焦る。
「ニャン族のイタズラの話ですか?鈴を集めて二階から落としたら大人は驚きます。鈴を地面に敷き詰めて転がり落ちるのを眺める。鈴をすごくたくさん鳴らしてイライラさせる」
ミヤも予想する。レテはうなずく。
「ドロスの意見は?ない!」
レテはキッとドロスを睨む。
「にゃんにゃんについては私も興味があります。どの書物にも詳しく書かれていないのですが記載があります。ああ、思い出してしまいました」
ドロスは悲嘆する。
「みんな、ハズレ!私の勝利かな。でも、圧倒的に私が有利すぎる勝負だったからナシってことにしようかな。答えはネアスの故郷について。彼には詳しく話を聞いていないの」
レテはにゃんに質問する。ニャンはうなずく。
「何もない村にゃん。ネアス様が話したがらない気持ちは分かるにゃん。やさしい人が多いにゃん。ネアス様もやさしいにゃん」
ニャンは頑張って答える。
「本当に何もない村のようです。人がやさしい、どの村でも聞く話です。都会に住むのが一番です。書物も薬草の材料も豊富に手に入ります。田舎の方が薬草は採れそうなのに不思議なものです」
ドロスの答えにレテは反論する。
「都会はドロスみたいに気取っているヤツが多いかな。好みは人それぞれだけど私はやさしい人が良いかな。田舎の人はやさしい、やさしいかな。コワイ人も多いわ。騎士の任務で村に入ったら怒鳴られた事があったわ?!」
レテはある村での出来事を思い出す。
「レテ様にそんな事をする人がいるんですね。田舎ではレテ様のすごさが伝わっていないんですか?驚きです!巡礼の旅が不安になります」
ミヤはドロスを見る。
「ニャンも商人を安く売れって囲まれた事があったにゃん。警備の方が良い人だったか良かったにゃん。銅ララリは請求されたにゃん」
ニャンが被害報告をする。
「王都やストーンマキガンには騎士様が多いですが田舎ではそうはいきません。ならず者たちはやりたい放題ではないですが、羽目は外しやすいでしょう」
ドロスが答える。
「神官の巡礼には騎士が一緒に行くっていう規則だからダイジョブ、ダイジョブ。私が一番優秀な騎士を選んであげる。私とシルちゃんと一緒に吹っ飛んでいって一瞬で終わらせるって手もあるかな」
レテがやさしく提案する。ミヤは大きくうなずく。
「レテ様と一緒が良いです。その時までに空を飛ぶ練習をします。高い所にたくさん登ります。後は何でしょうか?」
ミヤがレテに尋ねる。
「ネアス様はいつも、森の祠の前の大きな岩の上で考え事をしていたにゃん。何を考えていたかは教えてくれなかったにゃん。今思うと難しい事を考えていたかもしれないないにゃん。ラトゥール様の末裔にゃん」
ニャンがつぶやく。ドロスがキンパラキノコから目を離す。
「祠ですか?何もなくないではないですか?由緒ある田舎です。ラトゥール様由来の祠です。村には伝承は伝わっていないのですか。村の名前は何ですか?」
ドロスはドンドン質問する。ニャンはどれから答えるか混乱する。
「村の名前は?ネアスは教えてくれなかったわ、秘密でもあるのかな。ラトゥール村、トゥール村。伝説の村、英雄の子孫の村。分かりやすい名前かな」
レテは予想する。
「シャルスタン王国もシャルロー様とエレスタン様の名前が由来です。ネアス村、やさしい村、レテ様村?!」
ミヤも予想する。
「ドロスは?ない!」
レテは急ぐ。
「そうですね、呪われた村、ゴブリンの村。セイバー村、良い名前が思い浮かびません。風の村。シンプルに行きましょう」
ドロスが答える。ニャンが微笑む。
「正解にゃん、風の村にゃん。ラトゥール様と一緒に戦った英雄の友人の友人が作った村らしいにゃん。詳しい歴史はネアス様に聞いてくださいにゃん」
ニャンは満足げだ。ドロスの顔が険しくなる。
「うーむ、うーむ。風の村の出身のラトゥールの末裔の青年ネアス。王族や貴族の方々の気持ちを乱しそうです。マズイですね。ここは、ネアス様は風の村の出身ではないことにしませんか。神官長ではありませんが要らぬ危険を呼び込む事はないでしょう」
ドロスが提案する。レテは大きくうなずく。
「賛成一!ドロスの名案ね、私でもドキッとしちゃうかな。彼は風の村の出身です。私は風の精霊の力を使えます。ふふふ、みんなはどんな意味にとるのかな」
レテは笑みを浮かべる。
「お似合いです。風の王国に相応しいお二人です。それがマズイんですよね。私でも分かります。賛成二です!土の村はどうでしょうか、風とは関係ないです」
ミヤが提案する。
「にゃんにゃん村にゃん。ニャン族が大好きな人が作った村にゃん。にゃんの持っていった商品は何でも買ってくれると良いにゃん。賛成三にゃん!」
ニャンが希望を伝える。
「にゃんにゃん村には私も遊びに行きたくなるかな。良い名前だけど却下ね、ごめんね、にゃん。これは大事な問題!」
レテは真剣に考える。
「何もない村。逆に怪しいです。大事なモノが埋まっている村。うーむ、やはり気になります。普通の村、怪しさが出ています。土の村が良さそうです」
ドロスはミヤを見る。
「土の村で決定。ミヤの提案が満場一致で採用、にゃんも良いかな?」
レテはニャンに尋ねる。ニャンは大きくうなずく。
「ありがとうございます、レテ様。次はもっとステキな名前を考えます!」
ミヤはみんなにお辞儀をする。
「祠の話を聞かせて頂きたいです。ニャンさん、長くなっても構いません」
ドロスが次の話を求める。
「その祠の話はネアスに聞いたわ。お友達が怪物退治をした。土の村の伝承かな、怪物の姿は誰にも分からない。守護者さんしか見ていないから仕方がないみたい」
レテが代わりに答える。
「真面目な方が伝承を作っていたんですね。適当に大きくて巨大で力が強い怪物にすれば良かったんです。背中には翼が付いています」
ミヤが怪物を想像する。
「ニャンがネアス様に聞いた話と同じにゃん。詳しくは伝わってないらしいにゃん、ホントはもっとたくさんお話があったみたいだけどみんな忘れてしまったって言っているにゃん。農作物の栽培で忙しいみたいにゃん」
ニャンが補足する。ドロスはうなずく。
「期待しましたが大した話ではありませんでした。祠の前の大きな岩はネアス様のお昼寝の場所でよろしいのでしょうか。土の村の祠の前の岩は日当たりが良くて気持ちが良さそうです。一度訪れてみたいです」
ドロスが社交辞令を述べる。ニャンが大きくうなずく。
「神官さんは頭が良いにゃん。正解にゃん、ネアス様はイヤな事があるとすぐに大きな岩の上で考え事をして、お昼寝をするにゃん。夜は危ないから行かないようにしているって言っていたにゃん。夜のお気に入りの場所は……」
ニャンが話を続けようとするとレテがニャンの口元に手を当てる。
「後の話はネアスに直接聞こうかな。夜にイヤな事があったらどこに行くのかな。私は構わずリンリン森林に遊びに行くわ。お父様のお説教なんて気にしない、気にしない」
レテはキンパラキノコをニャンの口に運ぶ。ニャンは笑顔になる。
「私は神殿の屋上から夜空を眺めます。神官長には危ないからダメだって言われていますが、どうしても行きたくなる時があります。ドロスさん、秘密にしてください!」
ミヤはドロスにお願いする。
「屋上ですか。ミヤさんなら落ちる事はないと思いますが他の子たちは誘わないでください。ふざけ合ったりして不測の事態が起きます。何故人は高い所を好むのでしょうか、危険しかありません」
ドロスがつぶやく。
「空に近づきたいのかな。私は特別高い所が好きってわけじゃないわ。ミヤはどうして夜空が好きなの?」
レテがミヤに質問する。
「そうなんですか、レテ様?レテ様は高い所が王国で一番好きだと思っていました。いつも空を飛んでいます。すごいスピードです。私はお星様が好きです。キラキラしてきれいです。いつか私も空を飛びたいです」
ミヤが答える。
「レテ様は高い所が好きではなかったのですね。聞いてみないと分からない事は多いモノです。私は呪いが好きです。味覚が失くなる呪いにかかってみたいと思っていますが神官の任務がこなせなくなります。呪われた神官が祈りを込めるのは問題があります」
ドロスが答える。
「ニャンは高い所は苦手にゃん。他のニャン族のみんなは得意にゃん、どうしてにゃんだけ違うのか不思議にゃん。ニャンも苦手を克服して空を飛んでみたいにゃん」
ニャンはため息をもらす。
「高い所ね。私はシャルスタン王国が好きかな。リンリン森林とアーライト河、レイレイ森林もたまには良いわ。たまに、たまに!貴族はキライだけどラーナみたいに気が合う子もいるし、ミヤがきれいでかわいくなるのも楽しみ、楽しみ」
レテはドロスにキンパラキノコを差し出す。ドロスは手に取り口に運ぶ。彼も笑顔になる。
「私はきれいでやさしくてかわいくなれるでしょうか。男の子を見るとイラッとします。変な遊びや話しかしていません」
ミヤは不安をレテに伝える。
「ミヤ、やさしさは自ずと付いてくるわ。きれいでかわいくなるのを目指すのが一番、一番。誰に対してもやさしくする必要はないかな。シルちゃんだって私のお願いしか聞いてくれないハズだったのに?ネアスの言う事もたまに聞いてあげるみたい」
レテも不満を口にする。
「風の村にゃん、違うにゃん。土の村の秘密にゃん。シルフィー様にはニャンのお願いも叶えれ欲しいにゃん。立派にニャン族の試練を突破したいにゃん!」
ニャンは首元の鈴を握りしめて、願いを込める。
「本物のキンパラキノコ、素晴らしい味です。キンパラ、キンパラと言いたくなるとは本当でした。キンパラ、キンパラ!」
ドロスは唱える。
「みんなにキンパラキノコのおすそ分け、後は何人かな。キンパラ、キンパラ!」




