いつもの非日常
「ん…んぁ」
今日もいつも通りの雑音で目が覚める。
以前と比べたらかなりうるさいこの雑音も、何日も続けば流石に慣れるし、こんなに続くならそれが普通になりつつある。
学校には行かない。今の方が楽しいから。大体、あんなところに行って何が変わるというのか。
そんなことを思いながら、物音ひとつしないリビングに降りる。
両親はいない。高校入学の時に一人でこの家に来たから。
今何をしているのか、今調子はどうなのか。
そんなことは気にもならない。
「…あ、ご飯がもう残り少ない…」
外に出たくない。めんどくさい。
とりあえず残っていたご飯を温める。
あー、暇。
そんなこんなで出来たご飯を食べる。
なーんか、味が薄いんだよなぁ
まぁ、食べられるだけマシか。
そう思いながらパックを捨てる。
そして部屋に戻り、軽く着替えてからギターを取り出す。
ずっと使っている、私の相棒。
五年前くらいの誕生日に親友からもらった大切なギター。
あの子は今、元気だろうか。
元気だといいなぁ。
また会いたいし、話もしたい。
ギターを弾く手は止まらない。
いくらすごい物音がしようと。
周りが大変だろうと。
私は変わらない。
変化は嫌だ。
私が私でなくなってしまうような気がするから。
この世の中、いろんな人がいる。
急に性格が変わる人もいれば、突然いなくなってしまう人もいる。私のことだけが記憶からぽっかり消えてしまったように接し方が変わった人、考え方が百八十度変わった人。
いろんな人を見て、接して、思った。
変わりたくないなぁ。
場面や人に応じて態度を変えるとか。
空気を読むとか。
もう、嫌なんだ。
幸いにも、そんなことしなくていい世界になったんだ。
私はギターを弾いて、周りとは離れて、ただあの親友と会いたいというだけのゆるい願いを持って生きていく。
このモンスター蔓延る世界で。