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PURE STAR ~星に願いを、君に笑顔を~ 【長編完結】(年の差7歳の恋愛とアオハルな物語)  作者: 水野忠


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第二章 乙女心と鈍感過保護⑳ 初詣、鶴岡八幡宮にて

 けっきょく、杏奈と会うこともなく迎えた年末年始。せめて初詣くらいはと思っていたが、杏奈は自宅にも帰ってきていなかった。


「うう、スゴイ人出だね。」


 綾乃がもみくちゃにされながら忠弘にしがみ付いてきた。三ヶ日を過ぎれば空くだろうと思って4日の朝に鶴岡八幡宮へ初詣に来た綾乃と忠弘だったが、どうやら見通しが甘かったようだ。まったくそんなことはなく人でごった返していた。


「杏奈ちゃんも来られればよかったのにね。」

「家にも帰れないくらいじゃ仕方ないよ。」


 年末までに流行ったインフルエンザのせいで、杏奈のドラマ撮影が延びてしまっていたのだ。正月休み返上で、今は雪景色のシーンの撮影のために北海道に行っているはずである。新年の挨拶のメッセージと共に、尋常じゃないくらい寒いと言う泣き言と、吹雪の動画が送られてきた。


「荒ぶってるねぇ。」

「寒そう。」


 綾乃と動画を覗き込みながら苦笑いした忠弘は、ようやく回ってきたお参りを済ませるために境内へ移動した。


(無事、大学合格できますように。それから、綾乃やみんなが健康で過ごせますように。)

(お兄ちゃんが大学に合格できますように。もっと仲良くなれますように。)


 心を込めてお祈りした後、混雑を外れて少しだけ人の少ない場所へ移動した。


「あー、疲れたぁ。」

「今日なら空いてると思ったんだけどなぁ。綾乃は何をお願いしたんだい?」

「えっ? ああ、お兄ちゃんが大学合格しますようにって。」

「はは。自分のことはお願いしなかったのかい?」

「したよ。だけどナイショ!」


 二人は一息吐くと、おみくじを引きに売店へ向かった。ここも混雑していたが、お参りするための境内前よりは幾分ましだった。それぞれ思い思いにくじを引いて、巫女さんからおみくじで出た番号のくじを受け取る。


「あ、やった大吉だ!」

「うへぇ、受験前に凶かよ。」


 明暗分かれたくじ引きだったが、さすがに凶は縁起が悪いということで、忠弘はもう一度くじを引いた。


「よし、中吉ゲット!」

「最初の凶と合わせたら差し引きゼロじゃない?」

「いいんだよ。こういうのは気持ちの問題なの。」


 引いたおみくじを神木に結んで改めてお祈りをすると、売店に戻って合格祈願のお守りを購入した。


「あ、大澤君じゃん。」


 お守りを渡してくれた巫女から声をかけられて見上げると、巫女衣装に身を包んだテニス部のクラスメイト高畑彩が笑顔で立っていた。


「高畑さん。こんなとこで何してんの?」

「へへ。バイトだよ。」


 巫女さんにアルバイトがあるのかと驚いていると、


「妹さん?」


 綾乃を見て聞いてきた。そういわれて綾乃は忠弘に腕を組むと、


「彼女ですっ!」


 と答えた。


「おいっ! この子はバイト先の娘さんなんだ。姪っ子みたいなもんだよ。」

「へー。そーなんだー。」


 薄い目でそういう高畑だったが、忠弘が杏奈と付き合っていることは知っているし、綾乃がどう見ても小学生だったことでほほえましく思ったのか、すぐに笑顔になって楽しんでねと言ってくれた。


 売店を外れて、参道に出た出店で軽く食事をとっていると、


「お兄ちゃんの周りってさ。かわいい人が多いよね。」


 と、カルビ串を頬張りながら綾乃が言った。


「あん?」

「杏奈ちゃんも気が気じゃないってこと。」


 綾乃にしてみれば、杏奈はじめ、彩も理恵や涼代も、野球部の秋菜もかわいくてきれいな女の子だそうだ。忠弘にしてみれば、友人ではあっても杏奈以外に女性として意識してみたことがなかったから、綾乃に指摘されるとそうなのかなとも思ってしまった。ただ、彩は彼氏持ちで、そのお相手は野球部の水田だということは知っている。秋菜は引退後に熊田と付き合うようになったし、理恵や涼代も確か彼氏がいたはずだ。


「そういう綾乃は、好きな男の子はいないのか?」


 という忠弘の質問に、思わず顔が真っ赤になってしまう。


(お兄ちゃんだって、言いたい。でも、言えないな。)


 忠弘の自分への思いは知っている。綾乃が想う『好き』と、忠弘の『好き』には大きな差異があった。


「おやおや、その感じだといるみたいだな。誰だ? 翔か?」


 綾乃が連れてくる男の子でよく来るのは翔だ。もっとも、翔のお目当ては野球の話をしに忠弘に会いに来ることだったが、思春期に差し掛かった綾乃が異性のクラスメートを連れてくるのは、少なからず好意があるからだろうと勝手に思っていた。


「違うもん。バカ!」


 綾乃の蹴りが忠弘の脛に決まる。


「あでっ!」


 見事なローキックだった。それもムエタイ式だ。ひねりが効いている。


「ついでに、私は姪っ子じゃない!」

「あでっ! ローキックやめて! 後で痛いの残るから!!」

「うるさいっ!」


 正月早々、じゃれあう姿を参拝に訪れた人がほほえましく眺めていたことを二人は知らなかった。



続く。

ここまでお付き合いいただきありがとうございます。


おみくじの凶とか大凶って、

引いてしまうとなんであんなにやらかした感あるんでしょうね。


みなさんの今年のおみくじはなんでしたか?


次回もどうぞお楽しみに。

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