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ダンスレッスンとドレス



 日々舞踏会への準備に励み、春の陽気が近い季節になった。今年は舞踏会での社交界デビューがある為、それまで庭仕事は禁止とされてしまう。



 侍女たちやエリーナに「手が傷んでしまったら大変です!」と注意され、侍女長のモネには「辺境伯夫人たる者が庭仕事で手が傷むなど、以ての外」とピシャリと言われてしまう始末で…………しばらく庭仕事には出られないわね、レナルドにも謝らなくては。



 そして舞踏会へ出席するにあたって、一番の問題はダンスである。



 私は王族としての教養をあまり受けてこなかった為、ダンスについても得意ではなく……体も小さかったし、レッスンしてくれる人もなかなかいなくて、ダンスの練習がとてもハードだった。



 「1、2、3!1、2、3!もう少し足を後ろに!」



 ダンスのレッスンをしてくれる先生は私よりも年上の女性で、とても若々しくて動きが機敏だった。背筋がピシッとしていて素晴らしいわ……先生は男性役をしてくれて、それに合わせて踊る……私も先生みたいな流れるような動きをしたい。テオ様に恥をかかせたくないわ――



 「…………少しお休みになられますか?」



 気を遣ってくれるのね……厳しさの中にも思いやりがあって、信頼出来る先生を招いてくれた事が分かる。テオ様に感謝しなくては。



 「ありがとうございます。でももう少し頑張ります!ここのステップが出来るようになりたくて……」


 「良い心がけですわね。分かりました、ではもう一度。1、2、3!」



 ここで回る時に後ろ足を――――――出来た!



 「出来ましたわ!先生!」


 「エクセレント!そこが出来るようになればもう大丈夫です。あとは流れの中でミスをしないように頑張りましょう」


 「はい!」



 そうして先生のレッスンも実を結び、私はダンスの腕もメキメキ上がっていった。これで舞踏会で踊る時も大丈夫ね!そんな事をしている内にあっという間に舞踏会の前日になり、テオ様が頼んでくれたドレスが運び込まれたのだった――



 

 ~・~・~・~




 「ロザリア様!ようやく来ましたよ~~旦那様が頼んでくださったドレスです!お隣の部屋に飾ってありますので、こちらです!」



 エリーナが喜び勇んで知らせに来てくれた。ついにドレスが届いたのね!どんなドレスを頼んでくれたのかしら…………私はドキドキしながら隣の部屋へ恐る恐る移動した。



 侍女長のモネや侍女たち、エリーナが並んで待っていてくれて、その先に眩いばかりのドレスが飾られていた――



 「まあ……………………素晴らしすぎて言葉にならないわ…………」




 ハートカットの胸元に、スカートの広がりが大人しめのプリンセスラインのドレス、腕はベルスリーブと言われる袖口に向かってフレアに広がる長袖――――


 ベルスリーブはとても長く、膝のあたりまで流れている。肩のあたりからおびただしい刺繍が施されていて、刺繍のところどころに本当に小さなガーネットが散りばめられているから腕の部分だけでもゴージャスなのに……胸元のハートカットには幾重にもレースが施されていて、こちらにもビジューが――プリンセスラインのスカートはアシンメトリーで、ドレープが幾重にも流れるラインを描いていた。


 ベルスリーブもプリンセスラインのスカートも裾に向かって白からゴールドのグラデーションになっていて、散りばめられているガーネットがとても素敵なアクセントになっているわ…………



このドレスを私が着る――――



 「………………こんな素敵なドレスを着こなせるかしら…………」



 「何をおっしゃいます!ロザリア様しか着こなす事は出来ないドレスかと思います!」


 「そう……かしら」



 私があまりにも自信ない返事をしていると、侍女長のモネが助言をしてくれた。



 「このドレスは旦那様が奥様の為だけにお作りになったドレスです。他の誰かが着てもよろしいのですか?」



 「………………それはダメね。ありがとう、モネ。私が喜んで着させていただくわ」


 「よろしゅうございました」



 モネの言葉で覚悟が出来た。着こなす事が出来ようと出来まいと、私が着る以外の選択肢はない、そう思うと明日は頑張ろうと思う事が出来た。


 

 


 ~・~・~・~




 

 「ロザリア様、いよいよ今日ですね!朝から念入りにお体に磨きをかけましょう!」



 エリーナは私以上に気合が入っていて、朝から準備をすると言っているわ…………舞踏会は夜なのに。でもベルンシュタットから王宮は少し遠いので、早めに準備してお城を出発しなくてはならない。


 のんびりはしていられないわね。



 私は朝から湯浴みをして、体をマッサージし、香油をぬってツヤツヤにした後、髪のケアまで一通りされた時点でお昼が過ぎていた。



 その後お化粧を施され、髪をセットしてあのゴージャスなドレスを着る――



 テオ様には前日の夜にお礼を伝えた。あんな素晴らしいドレスの計画をいつ立てていたのかと聞いたら、私の15歳の誕生日に贈った首飾りのデザインを見た時に考えついたのだと話してくれて……そんな前から計画をしていてくれたのかと感動してしまった。



 テオ様の心遣いがこもったドレスだから、一生大切にしたい。




 私にとっては人生初となる夜会であり、初めての夜会用ドレスになるから――




 「…………ロザリア様、全ての準備が整いました!下のエントランスで旦那様がお待ちしています」


 「ありがとう、エリーナ、モネも皆も。行ってくるわね」



 『行ってらっしゃいませ!』



 皆が送り出してくれて、エリーナに手を引かれてエントランスに向かった――――



 

こちらの作品に興味を持って読んでくださり、ありがとうございます^^


まだまだ続きますので、最後までお付き合い頂ければ幸いですm(__)m

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