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親睦会


 あれからステファニー様と一緒に応接間に移動し、お茶をいただく事になった。ソファに向い合せで座り、私はテオ様の隣に座っている……さすがにステファニー様の前で膝に乗るのは恥ずかし過ぎて、隣に座らせてもらった。


 

 ステファニー様は伯爵令嬢なだけあって、所作がとても美しくて――見惚れてしまう――――


 それでいて話始めると屈託なく笑い、気さくで話しやすく、女性も憧れる女性といった感じだった。


 モカブラウンの髪はツヤツヤしていて、前髪を斜めに流し、後ろ髪は緩いウェーブがかっていて上品…………こんな素敵な方と婚約者でいて、好きにならないなんて事があるのだろうか……と半ば信じられない気持ちでいっぱいだった。



 テオ様が信じられないというわけではなくて、それほどにステファニー様が素晴らしくて…………ステファニー様の想い人であるお方は本当にステファニー様をお好きではないのかしら?好きにならない方が難しいと思うのだけど――



 私がじっと見つめてしまったので、ステファニー様はにっこり笑って「なあに?ロザリアにそんなに見つめられたら、照れてしまうわ」と返してきた。



 「あ、ごめんなさい。あまりにも素敵だから……こんなに素敵な人を好きにならない人はいないだろうなって思って……」


 「……ありがとう。でも好きになってくれない人もいるわよ~あなたの隣の殿方なんて、それはもう男性と同じ扱いだし」



 ステファニー様はそう言って、笑っているわ……信じられなくてテオ様を見ると、少し照れたように頬を指でカリカリしている。



 「いや、その…………ステファニーは昔から男勝りだったし、女性というより同僚みたいなイメージが強くて……」


 「いいのよ、私はあのお方にそう見てもらえたらいいの。それもなかなか叶いそうもないのだけど…………」



 「え……そうなのですか?ステファニー様の想い人はテオ様のご親友だと伺っていますけど」



 ステファニー様の表情があまりにも切なくて……こんなに素敵な女性の想いが叶わないなんて、私は信じられない気持ちだった。



 「ロザリア…………聞いてくれる?あの方との事を!」




 そうしてステファニー様は、自身の恋心を一時間は話し続け、思いの丈を存分に披露していった。本当にその方がお好きで、ステファニー様にとっては王子様のような方なのね…………私にとってのテオ様のように――



 チラッとテオ様の方を見ると目が合って、ニコッと笑ってくれる。好きな人と想いが通じるという事は、とても幸せで奇跡のような事だと私は知っているから。



 「ステファニー様の想いが通じるといいですね」



 本当に心からそう思えたのは、テオ様のおかげだわ。こんなに素敵な女性なのだから、幸せになってもらいたい――



 「ロザリアはいい子ね!テオドールが惚れるのも分かるわ。私だって惚れちゃいそう……またお話聞いてくれる?」


 「はい!」



 私は勢いよく返事をした。ステファニー様ともっとお近づきになりたかったし、ステファニー様の恋の応援もしたくて。



 「そうだ、ロザリアは城下町に行った事はある?今度一緒にお出かけしましょうよ!」


 「ダメだ」


 

 「……………………そんな即答しなくてもいいじゃない。なぜダメなの?」



 私もテオ様があまりにも即答するものだから、城下町に何かあるのかしらって思ってしまう。



 「……最初の城下町は私と行く事になっているからだ」



 「………………………………」


 私とステファニー様は顔を見合わせてしまった。そう言えば城下町にスコーンを食べに行こうと、お約束をしていたはず…………覚えていてくれたんだ――嬉しい――――



 「ふふふっあなたでもそういう事を言うのね……ふふっ分かったわ、じゃあ3人でっていうのはどうかしら?」



 「いいですね!皆で城下町は楽しそうです!」



 テオ様と行きたい気持ちもあったけど、皆でっていうのを想像してとても楽しそうに思えた。私が快諾してしまったので、テオ様はダメと言う事が出来なくなってしまって、申し訳ない事をしてしまったかしら――



 「じゃあ色々とやる事を済ませて……一月後にまた来るわね!」


 


 そう言ってステファニー様は颯爽と帰っていってしまわれた。でもとっても楽しみ。嬉しそうにする私の隣で、テオ様が天を仰いでいた。



 「そう言えば一月後だったら、バルーン祭りが開催されているはず……」


 「バルーン祭り、ですか?」



 「ああ、城下町で毎年開催されているお祭りで、バルーンを使ったアートが沢山出品される。誰が一番素晴らしいアートを作れるかを競ったりもするんだ。綺麗なバルーンアートの広場もあるよ。」



 「わあ…………それは見てみたいです!」



 リンデンバーグでは、そういったものが開催された事はない。国としての豊かさが違うのだなと感じるわ……自分の人生でお祭りを楽しむ日が来るなんて――



 「夜にはバルーンと共にスカイランタンという灯りを飛ばすイベントもある……恋人たちに人気のイベントだ」


 「恋人たち…………」



 テオ様の”恋人たち”の言葉に思わず反応してしまった……――私たちは夫婦だけど、まだ恋人らしい事をした事はないから。



 チラッとテオ様の方を見ると、同じ事を思っていたのか顔を赤くさせていたので嬉しくなってしまう。思わず隣に座っているテオ様の手に自分の手を重ね、キュッと握ってみた。



 「一緒に回りましょうね」



 「ああ、そうだな…………」



 二人で顔を見合わせて笑うと、一月後のお祭りがますます楽しみになってきたのだった。


 

 

こちらの作品に興味を持って読んでくださり、ありがとうございます^^


まだまだ続きますので、最後までお付き合い頂ければ幸いですm(__)m

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