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【第23話】白き世界のルアスリリルク


シン・フォルニア王国、首都キサ。

そのまた中心部に王族と貴族たちの暮らす楽園は存在する。


上級貴族生活圏(ラスキューレ)と呼ばれる高い壁に囲まれた広大な区域だ。

そこには選ばれた者、許可を受けた者しか立ち入ることはできない場所である。


内の外と隔たるゲートは巨大で、厳重な警備の下に多くの歩兵銃を担いだ憲兵が周囲を見渡し、ランスを持つ武装した門番が二人立っている。

門から20メートルは不可侵エリアとされており、許可書がなければゲートに近寄ることもできない。

規定では許可書の提示を行わず指示にも応じない場合は一歩でも足を踏み入れば問答無用で銃殺、槍で突き殺すことが許されていた。

例えそれが酩酊の酔っ払いであろうと無知な子供であろうとも容赦はない。


キサで暮らす者は皆それを知っている。

キサで暮らさない者だって観光に来たらまず最初に徹底的に教え込まれることだ。


そのため誰もゲートへは近づかない。

遠巻きに眺めたり記念にカメラで写真を撮るぐらいだ。


だが()()()は違った。


その女は大勢の人の行き来する往来を抜け出て、真っすぐゲートのある方角へと歩み進んだ。

真っ白い雪のような肌に真っ白な髪の美女だった。

例外なく立ち入ることの禁じられた20メートル圏内にまで侵入してこようという勢いだ。


「そこの貴女!そこで止まってください、通行許可書の提示をお願いします。そこの二色の線を踏み越えることは国家への反逆罪と見做される行為です」


慌てて憲兵の一人が女に静止を促した。


「あら?私、呼ばれてここに来たのに」


ぴたりと20メートルぎりぎり手前で女は立ち止った。

憲兵たちは内心ホッとした。

変な女の存在に気付いて遠巻きに注目していた民衆たちもホッとする。

最悪な事態は回避したと皆が安心して息を吐いた。


「ならば許可書を受け取っているはずです。提示をお願いします」


「ウフフ、なくしちゃったわ」


そう言って女は一歩踏み出した。

決して踏み入れてはならない進入禁止の20メートルに、堂々と。挑発するかのように。

もはや冗談だったでは済まされない行為にランスを持った門番二人が駆けだした。


「あら~…、グフッ!」


二本のランスが無慈悲に女の胸と腹を貫く。


ショッキングな光景に民衆の中からいくつもの叫び声が上がる。

見せしめに門番はランスに刺したまま女の身体を上に掲げた。

見た者を恐れさせ、同じような愚かな者が二度と現れないように、願いを込めて。


「これは()()()()ではありませんよ」


ぴたりと門番二人の動きが止まった。

女を貫いていたランスが脆く折れて砕けた。


「ああ、私の服が。お気に入りの服が穴だらけ。どうせなら顔を貫いてくださればよかったのに」


女は地に降り立つ。空いたはずの二つの大穴は塞がっている。 

なおも門番二人は動かなかった。二度と彼らが動き出すことはない。


「これでは痴女というものではありませんか。クフフフ、人を模すだけでも生き恥、同族に見られでもしたら自死する他ない痴態であるというのに、クフフフフ。この私が、この私が、痴女」


女は笑っていた。


その場にいた者らの吐息が白くなり肌寒さを感じた。

「何だ、これは…」と一人の憲兵が呟いたとき吹雪が舞った。


一メートル先も視認することが難しくなった視界の中、女の朧げなシルエットだけがバキボキバキボキと音を立てて肥大化していく。

憲兵たちは銃を構えた。発砲は最終手段だ。この位置から撃てば流れ弾は民衆に当たる。


「隊長!発砲許可を!」


「ダメだ!撃つな!」


ランスで体に大穴を二つ空けられてもピンピンしていた、銃弾程度のダメージで倒せれるとは思えない。それ以上に攻撃してはいけないと本能が訴えていた。


「脆弱で矮小で愚直な人の子らよ、安心しなさい、私は無法者ではありません。閉ざされた門を無理やり突破しようだなんて品がないことは行いません」


吹雪が止んでいく。

人々は信じられないモノを見ることになる。


ここはフォルニア国の中心。人の大国の中心街。

モンスターの脅威に怯えずに済むこの世で最も安全な場所。

そう信じていた人々の目の前に、この世で最も人を嫌う危険な最強種、───ドラゴンがいた。


「う、うわー!!」遠巻きにいた民衆たちは我先にと逃げ出していった。


体長8メートルほどの雄々しき氷角を持った白きドラゴンは逃げる者らのことを気にしない。


「る、るあ、るあ、るああす───…」寒さと恐怖で憲兵の呂律は回らない。


白き世界のルアスリリルク。

SSランク冒険者ですら討伐が困難だと判断され討伐を後回しにされている、国家指定特別警戒級(ディザスター)モンスターの一体である。


銃声は鳴り響かない。憲兵全員が心の底から降伏していた。


息を吐き出す、その行為一つで永久凍土をも作り出せる怪物はお淑やかな声で言う。


「私を()()へ呼んだのはこの国の第三王子ボルジュ。彼をすぐに呼び出しなさい」


  ※


ラスキューレにそびえ立つ巨大な王城。

その王宮内部の長い廊下を不機嫌そうに歩く男の影があった。


洋風傾奇者とでも表現するべきか、その者の衣服は奇抜で異端なセンスで装飾されている。

背中の黒と紫の羽がサンバ衣装のように騒がしく、顔も赤と黒のインクで派手にメイクされていた。


彼こそが自称フォルニア国イチ最先端のオシャレ者、第三王子ボルジュ・オーベヴァンスであった。


「ボルジュ殿!どういうことですか!あんな化け物を呼び出すなんて!!」


「分かっておられるのですか王子!!アレがその気になればキサは壊滅しますぞ!」


「王位継承戦を捨てる気ですか!?理解ができない!大問題ですよ!」


歩く王子の後ろに付いて回って訴えをあげる者たちがいた。


彼らはフォルニア五大貴族家の三家、金剣のファスフィリラ、銀杖のルメルシア、聖杯のイラリスグリード家のそれぞれの当主らだ。第三王子派閥の貴族である。


「うるさい!うるさい!うるさい!僕だって分かってるよ!でもしょうがないじゃないか!SSランク冒険者が誰も僕のとこに来てくれなかったんだからさ!!こうするしかなかったんだよ!」


一騎当千の力を有する十六人のSSランク冒険者の内、九名が王子護衛を了解し王宮入りした。

第一王子に三人。

第六王子に二人。

第二、第四、第五、第七王子に一人ずつのSSランク冒険者が付いた。

上位王子の中で第三王子のボルジュだけが強力な味方を誰も雇うことができなかった。


「SSランク冒険者は槍であって盾だ!王位継承戦のルールが何であれ武力は絶対だよ。君らが連れてきたSランクの奴なんて何の役にも立たない、だったらもうSSランクを返り討ちにしたというディザスターモンスターを頼るしかいないでしょ!!」


「正気ですか!!?国の中心が凍土と化してもいいんですか!?」


「フォルニアそのものを滅ぼしかねないのですよ!?」


「んもー!安心してよ!君らだって知ってるでしょ!僕の偉大なスキル!ちゃんと【不対等な契約】でルアスリリルクの僕と自身を守る以外での攻撃は封じているよ!加害しない限り彼女は無害!」


「そ、それでもですよ…!!」


「じゃあどうしろって言うんだい!僕に!!」


第三王子は振り向いて怒鳴った。


「君らだって兄上が王になったら困ることになるんだよ!?前々から兄上は貴族が何者よりも先に優遇される今の国の仕組みに異論を唱えている!そんな兄上が王になったらまず消されるのは無能で怠惰でなんの貢献もしていない君たちだ!少なくとも今の様に美味しい汁は吸えなくなるけど!いいの?それで!」


「うっ…。それは困りますが…」


「僕が王にならなきゃ君たちは終わりなんだ!それを自覚しなよ!今ここでやるべきことは僕を責める事じゃない!よくやりましたと僕を褒めることだろ!!」


ふざけた物言いだったがボルジュは本気で言っていた。


「相変わらず甘やかされ過ぎて頭おかしくなってんな」


「フフ、変なファッションも相変わらず~」


カツンカツンと靴音をたてて向こうの廊下から歩いてきたのは【朱き龍撃姫】ニルヴィーナ・ラゴンテンペスタと【禁忌なる不死】リリィー・ファランポネアだった。


二人は王子を前にしても平伏すこともなく進路を立ち塞ぐ。

あまりにも不敬な態度だが、絶対的な武力に上位王子専属私兵という政治的立場も手に入れた今ならまかり通ってしまう。


「泥まみれの冒険者風情が…!」


「空気が汚れる…」


「品のない、場を弁えろ…!」


三貴族家の長たちがボルジュを守る壁になるべく前に出た。

もちろんこんな所で危害は加えてこないだろうとの計算があり、第三王子への媚びを売るための行動でもあったのだが、ニルの「…あン?」との一睨みで怯んでしまう。


「君たちは下がっていてよ」


見てて情けなかったのでボルジュは三人を押しのけ前に出た。


「で、何の用だい?ここで会うのも偶然じゃないでしょ?もしかして僕の護衛に付きたくて来た?」


「ンなわけねぇだろ。冗談はテメェの格好だけにしろ」


ボルジュの後ろの男たちは憤慨した。

態度もそうだが王子に対してなんて口の利き方だと。


「私たちに相手にされないからって普通さ、ドラゴン頼っちゃう~?自殺する気なら誰の迷惑にもならない場所で勝手にやってよ~」


更に不敬な事を口走ったのはリリィーだ。

二人揃って一切の敬意がない。


「不敬な言葉遣いは慎め!この方は第三王子ボルジュ・オーベヴァンス様であられるぞ!多少腕が立つというだけで調子に乗りよって!貴様らをギロチン送りにするのは容易いのだからな!」


とうとう我慢できず怒鳴ってしまったのは金剣のファスフィリア家当主マークス卿だった。

五十、六十ぐらいの肥えたおじさんである。


「ギロチン?やってみろ、処刑台ぐらいいつでも立ってやるよ」


「言ったな…!貴様!吐いた言葉は呑み込めんぞ!必ずギロチンの下に立たせてやる!」


聞きながら王子ボルジュは妄想した。

ギロチンの刃の方が欠けて傷一つなく平然と立ち上がり喝采を浴びる美しき赤髪の女の姿を。

そして首を落としてもそれを拾い上げて何事もなく立ち上がるだろう不気味な黒髪の女の姿も。


この二人がそういうレベルの者だということを彼は知っている。

知っていたからこそドラゴンを利用するという蛮行にまで及んだのだ。


ドゴン!と大きな音がしたと思ったらマークス卿が壁にめり込んでいた。

ボルジュは唖然とした。目を離した一瞬で事は行われ、マークス卿は浴場の湯の出る石像が如くドボドボと吐血している。やったのは赤き鉄拳。

傍若無人な危険な女だとは思っていたが、ここまでとは。


「ひぇええ!人殺しじゃあ~!」と後ろの銀杖と聖杯の当主らは一目散に逃げだした。

しかしすぐに二人は糸の切れた人形のように力なく廊下に倒れてしまう。

リリィーの魔法だった。ひっそりと手話で魔法を発動させていたのだ。


「ぼ、僕をここで殺す気かい…?」


ボルジュは剣を抜いた。

ふざけた格好はしているが幼き頃からの英才教育で剣の腕は一流だ。


「そうビビんなよ。私たちに()()()()()()()()()()()()()()()は殺せないだろ」


「そ~そ~。安心してよ、そこのおじさんもあっちのおじさんたちも皆生きてるからさ。気絶してるだけで前より健康になって目を覚ますよ」


ちらりとボルジュはマークス卿を見た。

リリィーの言う通り、壁にめり込むマークス卿の肌艶はつやつやになっており気持ち痩せていた。

息もしているようだ。死んではいなかった。


「悪い血を排してキレイな血を生成させたからね。十年は寿命伸びたよ」


「どうせロクな奴じゃねぇんだ。逆に十年短くしとけ、それが世のため国のためだ」


「フフ、おバカだねぇ。健康と長寿は権力者の一番欲しがるものだよ?目が覚めたおじさんたちはすっきりとした体調に感動してきっと私に頭を下げてくるだろうから色々利用させてもらうんだよ♪長生きしてもらわなきゃ」


「なるほどな。それなりに位の高い家柄の奴らっぽいし、せいぜい利用してやるか、ククッ」


「むかつく女どもだな…。君たち、僕を前にしてその会話は失礼すぎないかい…?」


ボルジュが剣先をニルの喉元に向けた。

この剣より触れば柔い彼女の肌のが()()ことは分かっている。

だが王子としての矜持が彼をそうさせる。


「下賤出が調子に乗ること以上に不愉快なことはないな…」


「白竜は今どこにいるんだ?」


諸々無視してニルが質問した。

王子が呼び出したドラゴン、白き世界のルアスリリルクの居場所を。


「…それをここで君に教える理由が僕にあるかい?兄上の手駒である君に!」


「いいから教えろよ。お前ら()()()()()()()()()といっても手足折るぐらいならできンだぞ。お前を餌にして誘き出す手だって考えてある。サッサと言え、私たち相手でも勝てる化け物だからアレを呼んだんだろ?」


ニルヴィーナはニヤリと笑った。


ボルジュはマークス卿の惨劇を見た。この女は相手が貴族であろうと殴れる。

後ろにどんな負傷もたちどころに治せるヒーラーがいるから何だってやれる。


殴られた痕跡は消えてむしろ健康になっているのだから罪にも問えない。

王子であっても関係なく彼女はぶん殴れるのだ。正気ではない。


最終的に治るとはいえ攻撃を受けた瞬間は痛い。死ぬ思いをするだろう。

ボルジュは無駄に意地を張るだけ損するだけだと悟った。


あいつの居場所は突き止められても別に構わない。

ニルヴィーナの言った通りだ、白竜ルアスリリルクは無敵だから連れてきたのだ。


居場所を知ってどうする。倒しに行くか?行きなよ。そして返り討ちになって死ね。

何を画策しようとも誰もあのドラゴンには敵わない。


「…アイツは外にいるよ。さすがにラスキューレにまでは入れることはできなかったからね、お金を持たせて観光させている…。どっかの宿に泊まってるんじゃないかな」


「爆弾に鎖も付けずに町でブラブラさせてるってことか」


「一応スキルで手は打ってあるよ。僕が無事な内は彼女は誰一人傷つけることはできない」


こちらから加害しなきゃね。と、までは言わなかった。

不用意に手を出して返り討ちにあってくれれば儲けものだ。


「ふ~ん。僕が無事な内って、お前が死んだらどうなるんだよ」


「…」王子は答えなかった。黙った。

彼のスキル【不対等な契約】は一方的に都合のいいルールを相手に課すことができる。

課した方か課された方か、そのどちらかが死ねばルールは解消される。


「あ~!分かった!僕を殺せばドラゴンの楔は解かれ町で無差別に暴れるぞってやる気だ!」


リリーの声に「…!」ギクギクギク!図星を突かれボルジュは大汗をかいた。

言われたそれは彼が最悪の事態用に考えていた奥の手だった。


彼の死=街を闊歩するドラゴンの自由となれば、誰も彼に手を出すことはできない。

これを盾に彼はこれからの策略謀略飛び交う王宮を生き抜く算段だったのだ。


ただ印象が悪く、王子の使っていいような策ではないので最終手段のつもりであった。


「うっわ最ッ低だな、お前」


「卑劣~!!王子が国民を人質にするなんて世も末だよ~!」


赤と黒の女が嘆いた。

ここまでこの国は腐っていたかぁ~と、バカにして。


「だ、黙りなよ!」


枷を失ったドラゴンは国の中心で暴れて多くの民を殺すだろう。

無差別に人を殺し、最悪の場合は国すら墜とすかもしれない。

だが───


「僕が死ななきゃ問題はない!僕が王になれれば何も起きずに済む!そうだろ!?」


ドラゴンを街中で暴れさせたくなければ僕に手を出さなきゃいい!

ボタンを押すか押さないかは君ら次第だ!第三王子は叫んだ。

国民を盾にしたのは僕だけど、その先の結末は君たちの次第なんだからと。


「まあそうかもしれないけどさ~」


「呆れるな…。私たちのクエスト報酬金から抜かれた税がこいつの贅沢に使われてると思うとこの場で殺したくなってくるぜ」


「用は済んだしニルちゃん行こうか。こういう類の権力者とは関わらないのが一番だよ」


「ああ、そうだな」


知りたいことは大まかに分かった。


人に化けてラスキューレのゲートに近づいたと報告にあったルアスリリルクは消息を絶っている。

恐らく再度人に化けてどこかに潜伏しているのだろう。

後手に回った側として最もイヤなパターンは、人の姿でドラゴンは既に王宮内に入城しており第三王子のライバルとなる王子らの命を狙われることだ。


だがボルジュとの会話の端々でルアスリリルクはラスキューレの外におり、契約で彼さえ無事ならドラゴンは誰にも加害できないことが分かった。不意の襲撃はないと考えていい。

もちろん全てが第三王子によるブラフの可能性もあるが、その時はその時だ。

想定外には慣れている。


「残念だったね。さすがにラスキューレの外にいるんじゃ探し出すのは難しいよ」


「ワンチャンあのバカの隣にいることを期待してたんだがなぁ。いたのは雑魚貴族三人だったな」


「倒せたら特別大報酬貰える約束できたのにね」


「た、倒せたらだと…?」


去ろうとした二人の足をついボルジュは声をかけてしまった。

一刻も早く立ち去ってほしい二人だったが、言わずにはいられなかった。


「まさか…、まさか、挑む気だったのかい?あの怪物に…、ドラゴンに…!」


「ここに()()()()


率直で堂々とした赤き回答だった。

冗談ではなく本気で言っているのを理解してボルジュはゾッとした。


彼もルアスリリルクと契約を交わし利用しようとしているが全ては部下任せ。契約スキルも契約書を作り出して部下に持たせて済ませている。

一度たりとも相対していないし、これから先も会うつもりは一切ない。


竜とはそれだけの驚異的な存在だ。ドラゴンとはこの世の最強種だ。

挑むとかそういうレベルのモンスターではない。人類の天敵種。

なのに畏れ多くも赤い女は挑むと言った。


「人にドラゴンは倒せない…」それが人の常識。


「バカが。それができるから、私は朱き龍撃姫(ドラゴンスレイヤー)なんだよ」





打ち合わせをしてなくとも王子たちの間には無言のルールがあった。

王位継承を懸けて争うとはいえ血を分けた兄弟、血で血を洗う凄惨な殺し合いの泥沼化を防ぐよう節度ある人選をするという暗黙の了解は、───確かにその場にあった。

今回SSランク冒険者が多く雇われたのも、彼らが表舞台で活躍する国のヒーロー的存在であり、王族に対して友好的な者たちであるとの認識があったためである。


───その均衡を最初に破ったのは第三王子。


なりふり構わない厄災(ドラゴン)の招致が混沌(カオス)を加速させていく。


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