表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
能美坂学園超次元脳量子応用技術ダンス同好会  作者: 平井 裕【サークル百人堂】
15/42

15 部室Ⅲ

「――さぁ、諸君! ここが我々の新拠点だ! ちょっと狭いが、この人数なら問題なしさ!」

「おぉ! テーブルに人数分の椅子、それにロッカーまで……すごいですね!」

「そうだろう! 今後は今までのような不便さをあまり感じなくて済むはずだ! 存分に部室の恩恵にあやかりたまえ!」

「これでダンスシューズとかのカサばる物が置きっぱに出来るから本当に助かります!」

「伊野平くんは男のくせに荷物が多かったからね!」

「俺、汗っかきだからバスタオルとかもカサばるんですよ、せめて靴だけでも学園に置いておければって……ずっと思っていたから嬉しいです!」

「そうかいそうかい! でも、荷物の管理だけは自分でしっかりやってくれたまえよ! 盗難や紛失があった場合はすべて自己責任だからね!!」

「この同好会にそんなことするヤツは絶対にいないと思いますけど……一応、了解しました!」

「うむ! では皆の衆、ちゃっちゃっと席についてくれたまえ!」

 そういって両手を大きく広げ、瞳を輝かせながら早々に席に着くようにうながす小倉先輩のオーバーアクションを気にもせず、みんな速やかに席につく。

 俺と一緒でみんなも小倉先輩慣れをしてきているのだろうか、最近では小倉先輩のオーバーアクションも全然気にならない……慣れというものはなかなかに凄いものだ――――――。


「――うむ! それでは今度こそ本当にきちんとミーティングをしようではないか! といっても……まずは事の詳細の説明からであるから、とりあえず最初はみんな僕の説明を粛々と聞いてくれたまえ!!」

 またもオーバーアクションで握りこぶしを高々と掲げながら、小倉先輩はテンポ良く説明を始めた――。

「まずはだね、今までの活動との相違点であるが……、部室はもう説明の必要はないとして、次に重要な練習場所についてなのだがね、このフロアの下の階……つまり地下五階の第三小体育室の使用許可がおりている……が、しかし………………」

「「「「「が、しかし………………?」」」」」

「が、しかし……独占的に使えるというわけではないのだよ、曜日によってバラバラなのだが、クラシックバレエ部や社交ダンス部、それにフィジカルアートパフォーマンス部も合同で使うことになるらしい……ちょっと窮屈かもしれんが、そこは我慢してくれたまえ!」

「了解しました、なんだか色々な部と接点が持てて楽しそうですね! 特にフィジカルアートパフォーマンス部なんてジャンルがほぼ一緒ですから、感化されてお互いに良い影響がでそうでいいですよね!」

「だといいのだがね………………」

 なにか心配事でもあるのだろうか……、そういうと小倉先輩はめずらしく怪訝な顔をして、俺と目も合わせずに少しうつむき加減でテーブルに片肘をついていた――。


「――それと、練習スケジュールは月曜日、水曜日、金曜日の放課後の週三日である! これはみんなの予定を考慮して、以前と変わらずそのままにしておいた! つまり、実質的に変わったところは部室が出来た事と練習場所が変わった事くらいであとは特には変わっていないということだ! 細かいことを言うと、多少めんどくさい体育室使用規定や部室の使用規定等もあるのだが……まぁ、それは後ほど全員にメールで送信するので各々で確認しておいてくれたまえ! ……ここまでで何か質問はあるかな?」

「いえ、俺は特には……」

「では後ほど、もし何か気になることがあっらメールでもしてくれたまえ! というわけで、諸君! さっそく来週の週明けから活動再開であるッ! 各自、忘れ物などせぬよう気を引き締めて第三小体育室に集合してくれたまえ、以上である! では解散!!」


 ――簡単な説明を受けた後、意外にも味気なく、すぐに解散の運びとなってしまった。事の詳細、体育室使用規定や部室の使用規定等は後ほどメールで確認するとして、それ以外は本当に特に大きく変わったことはないようだった。

 それにしても、部室と練習場所の安定的な確保はデカい! これでもう衆人の目に晒されることもなく、比較的集中して練習に励めそうだ……でも、何かが心のどこかで引っかかる……せっかく環境が調いだしたのに、小倉先輩のテンションがどこか低めな気がした………………。ただの気のせいだったらよかったのだが、週明けの月曜日……よりにもよって活動再開初日に、小倉先輩の気にかけていたことが最悪のかたちで具現化してしまう事になる……俺は、フィジカルアートパフォーマンス部があるにもかかわらず、どうして小倉先輩がダンス同好会をわざわざ起ちあげたのかを深く考えたことなど全くなかったのだが、新生ダンス同好会の練習初日、小倉先輩のその真意を否応なしに垣間見る事になる――――――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ