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工学系男子の甘い日々  作者: でっち
1章 ささやかな幸せを求める日々
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1章X-2話 バレンタイン特別-松実妹・大塚・酒井-

バレンタイン特別ってなんか競馬の冠名みたいだなって。

府中競馬場バレンタイン特別芝1800mみたいな。

本当にウンザリする。

バレンタインを今週の土曜日に控え、学校中が浮足立っている。

それは私がまた忙しくなることに直結していて。


「松実さん。好きです。」

聞き飽きたセリフを聞き流しながら今週15人目の告白に耐えていると奈那子が顔を出しました。

「朱莉ー。あ、やっぱりここか。」

「奈那子、ちょっと待ってて貰えますか。」

「いいよー。」


私は振向きサッカー部の高橋君に告げました。

「お断りします。」

「ちょっと待って、考えもせずに断らなくてもいいじゃないか。」

「よく考えもせずに、告白する人に割く時間はないですから。それでは。」


「今日は結構バッサリ行ったねー。」

「先生と私の逢瀬に割り込んでくる有象無象になぜ手心を加える必要があるのでしょうか。」

「朱莉は本当にコーイチ先生好きね。」

「奈那子。違いますよ。好きじゃありません。大好きなんです。愛してるんです。」

「重いなー。」

「次間違えたら、奈那子のメールと電話ブロックします。」

「そんなに重要なんだそこ。」

塾へ向かう間、私の心はどこへ飛んでいくかわからなくなるほどふわふわしていて、正直、奈那子と何を話していたかさっぱり覚えていません。


「佐藤先生こんにちは。」

塾に入り講師室にいる佐藤先生に声をかけると先生はなぜか疲れた表情で軽く手を挙げました。

先生の机には丁寧にラッピングされた可愛い箱が3つ置いてありました。

うーん。フツメンの癖して案外モテるんだよなこの人。

「先生、それは誰から貰ったんですか?」

「あー。これ?中学組から。」

「あ、コーイチセンセーチョコあげるー。」

「まじか。ありがとー。」

中学組をどう抹殺するか思案する私の耳にとんでもないセリフが聞こえたんですが一体どういう風の吹き回しでしょう、隣にいた奈那子が佐藤先生にチョコを渡しに行くではないですか。

慌てて奈那子を廊下に引っ張り出し、問い詰めます。

「奈那子。あれはいったいどういうことなんですか。」

「いや、来る途中に義理チョコ渡すけどいいか聞いたじゃん。」

「そうでしたか?」

「えー聞いてなかったの?」

「聞いてないです。大体あなた義理チョコを渡すようなキャラでもないでしょう?」

「だって、先生にはお世話になってるしさー。質問行った時も担当じゃないのに私が分かるまで丁寧に教えてくれるし。」

「だからって、チョコ渡しますか?大体あなたあれ手作りでしょ?そんなことするような子じゃなかったのに一体何があったんですか!?」

「いやー。朱莉と一緒にいるとさ、コーイチ先生の話ばっかりじゃんか。コーイチ先生のいいところばっかり聞かされてさそんなわけないじゃんって思ってたんだけど。いざ話してみると、ホントに優しいし、女の子慣れしてないからなのかちょっとスカート短かったりすると、チラチラ見たりしてるのもなんか可愛いし、目があった時にちょっと照れて目をそらすのなんかグッとくるよね。」

「なんで、あなたそんなに簡単に落とされてるんですか!?」

「え?朱莉が悪い。」

「なんですと!?」

「チャット履歴見返してみなよ。どこがいいか解らないって言う私に懇切丁寧に解説してくれてるよ?」

「あぁぁああああぁぁぁぁ。私の馬鹿ぁああああ。」

「それにまだ義理チョコだって言ったじゃんか。そんな思い詰めないでってば。」

「奈那子、今あなたまだって言いましたね?」

「あ、やば。」

「奈那子ー!?」


拝啓。過去の私へ。

奈那子に先生との話をしてはいけません。

ライバルが増えるだけです。


ちなみに佐藤先生には個別ブースで渡しました。

奈那子の言うとおり、照れる先生も可愛いと思います。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「今日も佐藤先生の教え子たちは賑やかね。」

「教室長。お疲れ様です。後で注意しておくんで。」

「あら、もうそんなに貰ったのモテモテね。」

「みんな義理チョコですよ。」

「じゃあ、私のは要らないかしら?」

「え。教室長チョコくれるんですか?」

「えーどうしよっかなー。佐藤先生モテるみたいだから要らないんじゃない?」

「欲しいです!下さい!」


元々あげるつもりで来てるのにちょっとからかったら必死になってるのが面白い。結構、弄り甲斐があって好き。

「もーしょうがないなー。おねーさんからのチョコだよ。」

「やったぜ。」

本当に可愛い。弟がいたらこんな感じなんだろうか。

「食べたらちゃんと歯磨きするのよ。」

「はーい。」

緩い返事を背に私は教員室を後にした。


「栄子。ちゃんと渡せた?」

急に声をかけられた私はびっくりして立ち止まりました。

「お母さん。びっくりさせないでよ。なんのこと?」

「もう、とぼけちゃって。佐藤君にチョコ渡せた?」

「なんで知って、うそ、え?どうして?」

「だってこれまでバレンタインなんか知らないみたいな顔した娘が急に休みの日にそわそわしながら出かけてチョコレート屋さんの袋持って帰ってきたらさすがにわかるわよ。」

「でも、佐藤君に渡したって。」

「そんなの誰だって見てれば判るわ。あなた、佐藤先生が来ると急に機嫌よくなるし。」

「嘘でしょ。」

「ホントよ。お父さんはまだ気が付いてないみたいだし、チョコは自分がもらえるもんだって思ってウキウキしてるけど。馬鹿よね。」

「お父さん・・・」

「それで本気なの?本気なんだったらお母さん協力するわよ?ライバルも多いみたいだし。」

「協力とかはそのまだ、気持ちがはっきりしてないと言いますか・・・。」

「そう。ならいいわ。覚悟を決めたらいいなさい。」

「覚悟が必要なのですか母上。」

「佐藤君ならいいわよ。あなたの言うところの生きた教材としても、もちろんあなたの伴侶としても、素材はいいから後はしっかり育てるだけよ。」

「そうですか。」

「ほら、ぼさっとしてないで切り替えなさい。もうすぐ講義の時間でしょ?生徒さん来ちゃうわ。」


結局、私は気持ちの整理がつかないまま、一日を終えたのでした。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

2月13日、夕方

中学組からチョコを貰った。

3つはこれまでの人生で最高記録だ。

生きててよかった。

そのあと松実さんと大塚さん、教室長からも貰った。

計6個。

俺、明日は死ぬんじゃないだろうか。


あと二人って思ったけど時間軸的に坂本さんはコーイチに会ってないなどうすんべ。

1章1話で先に出たからいいことにするべ。


※著者が現在資格試験中で多忙のため、更新停止しています。

学科が受かったはずなので、お絵描き試験の為にお勉強中です。

勉強に兎角、時間の掛かる試験でして、仕事と勉強以外の時間が取れないでいます。

プロットはあるので、試験が終わったら再開したいと思います。

再開したら1章1話の手直ししなきゃ。

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