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投票の行方のこと。

さて、ローデ達は、会合に向かった。


ミューさんも、テントの一つで眠りについた。

緋夜とストラスも一緒にテントの中でおしゃべりをしていたようだが、あの三人で、どんな話題になるんだろうか?


「なあ、パイロペ。ローデが言ってた、会合を離れて動いている連中って、どう思う」


「石の精霊は強い意志を持つことは少ない。そう、言われておるの」

「ああ、いつもそんな風に、言われてるな」


「妾のことも、そう思うか」

「いや、お前は違うだろ。ドライも言ってた」


「ほかにいないと思うか」

「それは……、何とも言えんな。俺が知っている石の精霊なんて、数えるほどだ」


「なら、そういうことであろ」

「お前みたいに暴れる奴が出てくるってことか」


「それは……、何とも言えんの」


うーむ。

状況が分からないと、どうにもならんな。

会合の最中かもしれんが、連絡員を召還するか。


異極鉱(ヘミモルファイト)の棒状の青い結晶を取り出す。

適当に、クラブの5の札でカードを生成する。

ちょっとけち臭くて申し訳ないが、まだ何度か行き来してもらうかもしれないからな。

星二つ。

もう少し上位の札なら、星三つまで行けるんだろうか? 石の格を上げてやらないと難しいだろうか?

ジタ達がダンジョン探索し出したら、その手のスキルを持つヘンミィも、強化して同行させてやったらいいかもしれないな。


「ヘンミィ、久しぶりだな。向こうの様子はどうだ?」

「先ほど投票が終わったよ、ツヴァイ様」


え、早っ。


「アクシアやローデ達は、皆に話が出来たのか?」


「うん。札の力でこっちに来てる宝石公女はまるで人間みたいに話すけど、石の精霊はそんなに長く話さないんだ。こっちの感覚で言うと、精霊光でパパパパって暗号みたいに送りあって、それで終わりかな」


石の精霊、意外と高度な通信手段を持ってるんじゃないか。

集団行動、ほとんどしないみたいなのに。

精霊は、普通の生物のような、進化で適応とかそういうものでもないんだろうな。

一族とかいなさそうな、コミュニケーション取る必要がなさそうな奴でも、意思疎通できたりするからな。

考えるな、これはゲーム世界だ……


「それで? 誰が代表者になったんだ? パイロアか、カイアか? アラゴンは、まだ向こうじゃ最近の働きっぷりが知られてないだろうな」


「パイロペだよ」


……え、なんて?


「パイロア?」

「いや、パイロペだってば」


「なんで?」


「なんでって、僕に聞かれても。推薦された候補の中から、大勢に投票された精霊が、代表になるんでしょ? そうやってカイアさんが言ってたけど、違うの?」

「いや、正しい」


「じゃ、パイロペじゃん」


「何か、武闘派みたいな連中が、会合から離脱したって聞いたんだけど」

「ブトウハ? よく分からないけど、話し合いなんて要らないって精霊達がいて、別の戦い方をするって言ってたね」


「そしたら、残りのメンバーは、話し合いをしていこうって連中なんだろう。パイロペは人間との交渉に向いてるとは思えないし、むしろ武闘派と同じことをやってたわけだろう」


「だから、僕にはそんなことは分かんないってば。投票するときに、理由なんて要らなかったし」


「まあな、投票というのはそういうものだ」


混乱してるのは、俺だけか。


「な、なぜそうなるのじゃ。妾は長の座を捨てたのじゃぞ。もう一度代表者になれというのはおかしいであろ」


いや、もう一人いた。本人だ。

だよな、おかしいよな。

何考えてんだろな、石の精霊達。


しょうがない、知恵袋を召還するとしよう。


以前に集めた藍晶石(カイアナイト)を、まとめて札の上に乗せる。

ダイヤの8。

経験上、ダイヤは術者のイメージがあるのでな。


カードの周囲に魔法陣が浮き上がる。

お、これは。

魔法陣から藍色の光の柱が立ち上がる。光の渦が柱の中で巻き起こる。

星四つ。


銀藍の極凍 カイア。

顔つきは少し大人びたくらいであまり変わらないが、着ているローブが金属光沢を帯びた藍色のものとなっている。持っている杖も、金属と石の結晶を組み合わせたようなデザインで、魔術回路を思わせる。

精霊術よりも、太古の魔法文明的なモチーフか?


藍鎗、極氷瀑、銀晶壁、凍土城。

スキル名は、なんか規模感が上がったというか物騒な気配がある。


「カイア、良く戻ってくれた。無事に投票が終わったと聞いた。お前たちのおかげだ」


ねぎらいの言葉をちゃんと掛けておかないとな。


「誰かさんの思い付きのせいで、大変な目に遭った。後始末も、まだまだこれから。

永久氷壁に磔にしてやりたいくらいの気持ち」


何、何があったの、氷点下とかそんなもんじゃないくらいの低温になってるんですが。


「パイロアをこちらに呼んで欲しい。話はそれから」


コクコクと頷き、手元にあったハートの七のカードに苦礬柘榴石(パイロープガーネット)の数粒を重ねる。

光の渦と魔力の風、星三つ。


柘榴華の声 パイロア。

パイロペと顔つきは似ているが、その目は少し吊り上がり、何かを申し立てているような表情だ。

星三つの割には、かなり地味な服を着ている。街の女性の仕事着のような……

勇猛や抵抗を強化する歌に、近くの仲間に治癒の加護を与えるスキル。

有能なバッファーだ。


「あー、お初にお目にかかる、パイロアさん。俺がツヴァイだ」


「姉が、いつもお世話になっております。この度は、我ら石の精霊の国についてご尽力いただき、感謝の言葉もありません。しかしながら、我らは非力にして未熟の身、もうしばらくの間、そのお力をお借りできればとまかりこしました」


これはこれは、ご丁寧に……


「カイアさん、何というか、お二人には早々に体を創って差し上げた方が良いような気がしますが、いかがでしょう?」


「そうね。契約があると、話しにくいこともあるかもしれない。お願いする」


俺は、速やかに作業に取り掛かった。





異極鉱(ヘミモルファイト)

https://www.mindat.org/gm/1860


藍晶石(カイアナイト)

https://www.mindat.org/gm/2303


苦礬柘榴石(パイロープガーネット)

https://www.mindat.org/gm/3321



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