宝石公女の身体のこと。
ブックマーク、ありがとうございます。
反応があると、嬉しいものですね。
ようやく新しい展開になっていきます。
一瞬で肉体を創ってみせたということ、その意味するところは、真祖の血の体の一部を分け与えたのだ。
考えてみれば簡単な話だ。
我が知恵袋、ストラスによるチュートリアルの時点で、そういう能力があることは示唆されていたわけだ。
眷属を作り出したという逸話によって。
人間の体から作り替えた緋夜とも少し違う造りになるのだろう。緋夜には人間の時の記憶もあるし、姿かたちも人間のものを摸している。
問題としては、現時点の俺では血の本体が少ないことか。
人間サイズは到底無理、複数分け与えるなら、手のひらサイズにするか、風船の人形のような代物になってしまう。
LVを上げて来いということか。
一体だけならどうか。
俺の弱体化に目をつむれば、子どもサイズなら行けるか。
しかし、一体だけとなるとパイロアだろう。
家臣団は脇で立っているだけなら張りぼてでもいいが、代表者はそれなりに表情など動かして見せる必要がある。
それに、パイロアについては、石と札を用意して契約する必要がある。
待てよ、パイロアが契約を拒否するというか、旅立つことを決めた石ではない可能性もあるのか?
「パイロペ、パイロアは宝石公女になると思うか?」
「ならぬのではないか?」
「何故だ?何か理由があるのか」
「よく分からぬが、『お姉ちゃんみたいには絶対ならない!』といつも叫んでおったからの」
むしろ見込みがあるな。
「パイロペは、パイロアと話すことが出来るか?」
「いや、宝石公女として契約をしてしまうと、こちらにいる間は石の国からは切り離されておる」
いったんカード化を解除する必要があるということか。
メニューの廃棄がそれか。しかし、札は失われてしまうようだ。高位の札では厳しいな。
「フィオーラ、ヘンミィ。済まないが、精霊の里へのお使いを頼まれてくれるか。精霊の長、パイロアのところへ赴いて、俺が呼び出した時には契約に応じて欲しいと伝えてくれ」
正直、二人は戦闘に出すには危険度が高すぎる。これからも、出番はないだろう。
召使いのような扱いで申し訳ないが、連絡役を担ってもらうことにしよう。
廃棄を実行すると、カードはパラパラと砕けて塵になり、石が残された。
久しぶりに見るな、蛍石と異極鉱。
次に呼び出すときは、もっと上位の札で召還するからな。
さて、苦礬柘榴石も手に入れないとパイロアを呼べないが、これまた資金が足りない。
LVと金、魔石も足りないとなると、そろそろあれの出番だな。
リベンジマッチと行きますか、電熊野郎との。
さて。電熊だけなら、今のカンテラなら単独で制圧できるだろう。
問題があるとすれば接近方法だ。あいつは何か割と上位の探知系のスキルがあるようだったしな。
攻撃は、範囲がある代わりに瞬間火力はそこまででもないと思えば、カイアの水晶壁でゴリ押し突破でいいか。
時間差で銀尖、銀晶を投入すれば、なお堅いだろう。
よし。電熊野郎、首を洗って待ってろや!
全員を回収、コウモリの姿で再度飛び立つ。
電熊の縄張りはすぐそこだ。
生命探知は他にも多すぎてノイズが多いので、魔力探知を発動。
あいつに刺さったままの槍の魔力は、闇夜の篝火みたいだぜ、と。
目立つ反応に向けて近づいていく。
と、なんだ?洞窟?
岩の間の隙間から反応が漏れ出しているのが見えてきた。
岩場の中にいるのか。
いや、単なる岩場じゃないな。
石垣のように岩や土砂が分厚く積み上げられ、塹壕のような掘られた筋も見える。
ちょっとした要塞だ、コレ。
そして、魔力探知の反応も一つだけじゃない。
デカいのはあいつだとして、それには及ばないものの、いくつかそこそこ大きな奴がその要塞の中に立てこもってやがる。
大体、念話ができてスキルを使いこなしてる熊って時点でいろいろ規格外だったんだ、敵の存在を知って備えたっておかしくはない。熊のくせに、仲間を集めてつるんでいたってな。
これが奴の、牙城ってことか。
む、魔力反応に動きが。
急速に集中していく…
カイア!水晶壁!
前のような分散型の放電ではなく、収束した形で遠距離狙撃してきやがった。
何かを感じていたのか、水晶壁を傾けて展開したカイア。
バァン!
逸らすように弾き流すが、衝撃で空中を数メートル弾き飛ばされる。
レーザーというよりレールガンか?
質量めいた衝撃があるな。
器用なやつだ。
いったん距離を取る。
そう簡単には出てこないわな。
先にこっちのことを片付けるか。
「妾の出番であろ?」
ほら来た。人型に戻り、パイロペのカードを取り出す。
「くくく…さあ、主殿よ、魔石をよこすのじゃ、ちっとで構わんぞ。あの穴蔵に潜んだネズミどもを、いぶりだして見せようぞ」
メニューを展開。
宝石公女ではなく眷属のもの。
いや、長ったらしい表現だったから眷属のものと勝手に解釈して覚えていたけれど、正確には姓を共有する者についてのメニューだった。
「創造」から「魂なき身」を選択。
これも、アンデッド製作のスキルだと思い込んでいた。
現れたのは、球体人形のイメージ。サイズは変えられるな…
胴体にカードが収まるギリギリ、身長50センチくらいか。
あまりでかくすると俺の身が持たない。
人形に、血の本体を送り込む。
カードをかざし、その導きに従い殻を纏わせる。
深紅のローブ、フワフワの羽根飾りのマント、柘榴色の鳥の頭を彫刻した長い杖。
幼いが、美しいな。火焔の柘榴石、迦陵頻伽か。
魂なき身の創造に成功しました。
どこからともなく、メッセージが聞こえたような気がする。
2.5分の1、パイロペ人形の出来上がりだ。
背中からカードを体内に納める。
人形が光を放ち、緩やかに動き出す。
同時に、俺は身体の一部を失ったような痛みを覚えた。
この分の血の本体は、もう帰ってこないのだな。
召還(上位個体)オオカミ、コウモリ、フクロウ。
立て続けに呼び出す。
カンテラ、カイア、アウィネア、ラズを配置。
幹部も集合。
「さて、パイロペよ。盟約の責務は成された。お前は肉体を得た。もう自由だ。何処へなりと行くが良い」
「何を言うておる?
妾が一番に体を授かるとは思うておらなんだが、共に歩く栄誉を与えるぞ。ことによっては、肩に乗せていってもよいであろ」
「お前はもう、自由だ。為したいことを為せ。為すべきことを、為すのもいい」
「為したいことじゃと?妾は、おぬしのために戦うんであろ?それは妾の望みと同じこと」
首を振ってみせる。
「去れというのか?そんな自由など、妾には要らぬ。そんなのは、ちっとも自由ではないであろ」
パイロペは、立ち竦んで目に涙をためている。
「自由には、責任って面倒な奴も付いてくる。自分で責任を取るから、自由なんだ。
やらかしたことに目をつむったままじゃ、ホントの自由にはたどり着けない。
昼寝の時間は終わりだ、パイロペよ。
覚えているんだろ?囚われていた間のことも。
誰も責めたりはしない。
きちんと、向かい合え」
パイロペがボロボロと泪をこぼしながら、皆に謝る。
「ごべんだざ~い」
「それから?」
「ありがどう、ございばじだ~」
ポンポンと頭を叩くと、ちっこいパイロペは太ももにしがみついてきた。
うお、鼻水とヨダレが。
「よしよし、よく言えた。改めて、これからよろしくな」
あれ?何だ?
ふと、おかしな雰囲気を感じて見回す。
眷属達が微妙な表情で遠くを見ている。
「私達は、別に大丈夫ですよ…」
アウィネアか?
え、あれ?
俺、みんなに謝ってなかったか?
「スイマセンッした!」
蛍石
https://www.mindat.org/gm/1576
異極鉱
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