表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/100

陽光の吸血鬼のこと。

何がきっかけだったのかは分からないが、気が付いたら、虚構の世界を転々としていた。

要は、ゲームの世界ってことだ。


前世の俺は村雨春弥という日本人で、ごく普通の若者だったと思う。

考えられる「帰還」のパターンは、「夢からの覚醒」や「魂のみの帰還」か。

つまり、自分の努力によってどうにかなる気はしない。


現在俺が置かれている世界は、「アルカナの宝石公女」。

陽光のヴァンパイア(ラルキ・ヴァンピーレ)、ツヴァイ・ハルサメとして。

もう少し自己紹介したいところだが、自分でも、置かれている状況がまだいまいち把握できていない。


種族名は「吸血鬼(真祖)」となっている。

人族に比べればかなりステータスは高くなりそうだが、まだまだ低レベル。都市城壁外縁を守る中堅どころの衛兵よりは強い、という程度。

レベルが非常に上がりにくいのは、不死や長寿設定との兼ね合いか。


もっとも、定番の吸血鬼っぽい特殊スキルや召喚・使役スキルが充実しているので、そちらも含めればオールラウンダーもいいところのチートクラスっぽい。


おっと、茂みの向こうから、はぐれゴブリンが向かってきているな。

遠視、暗視、聴覚強化は常時発動、威嚇や牽制はオフにしている。


召喚、オオカミ。 

2匹のオオカミが召喚され、はぐれゴブリンに襲い掛かっていく。


敏捷性の高いオオカミ2匹の攻撃が連続で先にヒット。

かなり削れたようだが、はぐれゴブリンの反撃。

乱数が悪かったか、一匹が一撃で沈んだ。朱色のポリゴンをまき散らして消滅する。

もう一匹の次の攻撃ではぐれゴブリンを撃沈。同じくポリゴンがまき散らされる。


僅かに経験値が加算された感触があり、戦闘終了。

召喚解除。オオカミはポリゴンをまき散らして消滅する。


オオカミは、飛び道具と足止めのデバフと盾を兼ねるような使い方ができ、しかも数呼べる。偵察、探索、警戒等、非戦闘用途にも使えるということで、非常に便利なスキルだ。


召喚したまま連れて歩いてもよいのだが、他の人族を驚かせることもあるので、危険な地域でなければ召喚を解除している。テイマー系スキルもありそうだが、獣や魔獣を連れているキャラは見たことがなく、目立つだろう。


召喚されるたびにLVが違うのだが、毎回生成なのか、背後に一定のストックがあるのかはよく分からない。

見た目には、同じような違うような…首輪でも付けられたら、実験できるか?


ちなみに、俺の脳内で変換しているが、俺が召喚しているオオカミの正式名称は”ウォルフェン・バルティシェ”、先ほど倒したはぐれゴブリンは”ゴブリンディン・ソロクエストレ”と表示されている。

長い。しかも何語だよ。


そう、現在俺を苦しめている要素の一つは、この世界の命名センスである。

俺が持っている長剣は”シュトルム・ブリンゲン・ノイエシルエッテ(非ニルヴァニエ)”だし、影をまとって姿を隠ぺいするスキルは”シュバルティ・シャッティハ”だ。


仕方がないので、字面を一種のアイコンだと思って処理することに決めている。

俺の中では、「黒長剣」と「影纏い」だ。


俺の称号の「陽光のヴァンパイア」も、俺が脳内変換しているだけで、表示は”ラルキ・ヴァンピーレ”。


さらに詳細を表示させると、真名と称してトエルウルどうたらとか15文字くらいミドルネームが追加される。

称号のフレーバーテキストに、「…『陽光』の二つ名を持つ真祖のヴァンパイアであり…」とかなんとかあったから、そう解釈しているだけだ。


ここまででも、いろいろあった。

最初から、思い返してみよう。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ