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薄皮ヨモギの暗中模索  作者: 渋谷かな
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あなた、手を汚したことはある?


私はある。人間、女子高生になるまで生きていれば蟻の一匹は確実に踏んず蹴ている。他にも今朝食べた焼き魚の命も奪っている。もう私は純白のウエディングドレスが似合う女ではなくなっている。


ワードズ・オブ・アウェーケニング。私は薄皮ヨモギ。私は高校を支配する。


ここからが本題です。自分は蟻さんを踏んだことがないと言っている者に何の抵抗もしない私に手を出すことができるのでしょうか?


「灰になれ! 薄皮さん! ファイア!」

「流れろ! 薄皮さん! ウォーター!」

「吹き飛べ! 薄皮さん! ウインドウ!」

「マントルまで落ちろ! アースシェイカー!」


避ける必要はまったくない。あくまでも製作委員会の戦いの世界は異世界で、実際の私に危害は加えられない。それならば相手の攻撃などインターネットウイルスの攻撃のようなもの。ウイルス対策のセキュリティソフトを事前に準備していればいいだけの話だ。


「・・・。」


そう、製作委員会の言葉の戦い。口から声を出し相手と論戦して戦うもの。それならば相手の言葉が強力であっても、何もしゃべることができない私は鉄壁の防御なのである。例えるなら、にらめっこみたいなものね。


「き、効かない!?」

「な、なぜだ!?」

「薄皮さんは化け物か!?」

「な、何がどうなっているの!?」

「・・・。」


誰が化け物? 誰がよ? こんなに可愛いのに。結局は言葉の重みに対するレベルが、私とあなたたちでは差があるってことよ。世間知らずの小娘の攻撃を受けても微動だにしないで仁王立ちしている私は勝利を確信している。やっぱりしゃべる必要もない。


「どういうことよ!? 私たちの攻撃が効かないなんて!?」

「あんた!? 手を抜いてるんじゃないでしょうね!?」

「まさか!? 寝返って薄皮さんに着くつもりじゃないでしょうね!?」

「信じられない!? 友達と思っていたのに!? あなたたち裏切ったわね!?」


これよ、これ。これが十代の青春よ。汚くて卑怯で世間知らずで、自分勝手な自己中心的な主張をしてしまい、今まで仲良しグループだったのに一瞬で全てを失う過ちを犯すのが青春よ。女同士は止めて、彼氏とラブラブしていなさいな。


「決勝に行くのは私よ! ファイア!」

「そんな炎、私が消してあげるわ! ウォーター!」

「電撃まで吹き飛ばしてやる! ウインドウ!」

「地球のそこまで落ちろ! アースシェイカー!」

「・・・。」


あ~あ。遂に仲間割れまで始めちゃった。私は何も悪くないわよ。ただ存在していただけですもの。・・・あ、そっか。本当の私も自分に自信が無くてクヨクヨ悩んでばかりで醜いけど、もう一人の私、薄皮ヨモギは存在しているだけで周りのみんなの反応が違う、何も変わらない同じ景色なんだけど、狭く閉鎖的で息苦しい、誰か助けてと叫びたいはずなのに、薄皮ヨモギの世界は私の意志とは関係なく周囲を巻き込んで変えてしまうんだわ。


「・・・。」


ここで勝負を着けよう。決勝戦を開かせなければいいんだわ。ここで目の前の4人を再起不能にしてしまえばいいんだわ。胸の中から温かいものが込み上げてくる。・・・できる。きっと薄皮ヨモギを自覚した今の私なら。


つづく。

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