突然の来訪者
扉を出ると赤いカーペットの敷いてある長い廊下に出た。向かいの大きな窓からは昼間の強い太陽光が差し込んでおり、俺は僅かに目を細めた。
「王子、ただでさえ薄い目をしておられるのですからシャキッとしてください。目が開いてないとからかわれてしまいますよ。」
そんな声をかけられた。
扉の脇に目を向けると、メイド服を着た黒く長い髪の女性が壁に背を預けて寄りかかっていた。
「眩しかっただけだ。前半の悪口は聞かなかったことにしてやる。」
「流石は王子。お心が深いですね。」
「お前の不敬に一々腹を立てていてはお前の首が幾つあっても足らんからな。さあ、早く案内しろ、サリア。」
「はい。では、こちらです。」
ニコリと笑って右手で促してから、俺に背を向けサリアは歩き出した。
その背を追いかけて広い廊下を歩く。突き当たりの扉を開けて、外にある渡り廊下を進む。
渡り廊下といってもただ屋敷の庭に雑草を取り除いているだけの言ってしまえばただの道だ。
歩きながら前の背中に声をかける。
「サリア、会う前に先に教えてくれないか。俺に用のある客というのは誰だ?」
「申し訳ございません。お客様から王子には会ってからのお楽しみに、と口止めをされておりまして。。」
「いや、お前は俺に仕えているのだろう。なら、俺の頼みの方を聞くべきではないのか。」
「お許し下さい。お客様に約束を破ったと知られてしまったら何をされるか。。私はまだ死にたくないのです。」
「おい、そんなに危ない相手なのか?そんな相手に主を売ろうとしているのか?」
唐突にヨヨヨ、と顔を両手で覆うサリアの反応に焦りと恐怖が入り混じったような感覚になり少し早口になってしまう。
「いえ。冗談ですよ、王子。少なくとも私は脅されている訳でもなければ、お客様から敵意は感じられませんでした。」
振り返ってニコッと笑うサリア。
「またからかって、、本当に罰してやろうか。」
「そのようなことを仰られても、信じられませんよ。私は王子がお優しいことを知っていますからね。」
「そう言われると罰せないの分かって言ってることがまたたちが悪いな。」
「まあまあ、お気を悪くなさらないで下さい。今に始まったことでもありませんから。」
「自分で言うな。まったく。。」
「そうこうしている間に着きましたよ、王子。こちらの離れでお客様がお待ちです。私が挨拶をしますから、王子も後からお願いします。」
屋敷を一般の家の大きさにしたような外見の離れの前にいつの間にか到着していたようだ。
「では。。」
サリアが扉を押し開けた。
そこには、椅子に座って白いテーブルにティーセットを置いて部屋の鑑賞用の植物を眺めながらお茶を飲んでいる金髪で白いワンピースを着た女性とその脇に立つ赤い髪の執事服の男がいた。
どちらも人間のようだ。俺には見覚えがない。
サリアが姿勢を正しお辞儀をした。
「お待たせいたしました。この国エヴィルの第1王子アルバート様です。」
2人の視線が俺に集まった。
「待たせたようで申し訳ない。私がアルバートだ。どういったご用件かな?」
ティーカップを机に置いて、女性が立ち上がった。
「初めてまして、王子。あたしはアミリーの姫、アイナ。こっちは付き人のカイン。」
赤髪の男がお辞儀をする。
ん?隣国の姫は確か、、うむ。なるほど。
俺は魔力を右手に集め、剣を生み出した。
王子の所有物とは思えないような装飾の無いシンプルな片手剣の切っ先を姫に向ける。
「ほう、隣国の勇者か。面白い。魔王討伐というなら受けてたとうではないか。」
中途半端ですかね?
文章を書く難しさと頑張って戦っていきます。