赤の森
遅くなってすみません!
「グォオオオオ!!」
熊が物凄い形相で後ろを追いかけてきます。
「何でこっちに来るんだよぉー!?」
「何故彼は怒っているんだい!?」
「はぁっ、地上の生き物は面倒、です!」
「面倒もなにも、あれは!子熊を攻撃したらあなたが悪い!あと、親が怒るのは当然!!」
これはすべてザイルが悪い!
~時は遡ること数十分前~
「突然どこかに行かないでください。お気づきだと思いますが逃げようとしても無駄ですよ。」
ザイルは冷めた目でルナを見ながら言った。
「…………わかってるよ」
そうは言っても見ず知らずの人のために犠牲になるつもりはないがな!
でもその前に試練に合格しないといけないことはわかった。前回の祭壇と変な液体といい、今のところ身体に起きた変化はプラスに働いたからあれはあれでよかったんだろう。しかし、この二人には試練があることがわかっていない気がする……ふむ、どうしてくれようか…試練のことを話しても信じてもらえないと思うし(特にザイル)、こいつらにカエサルから聞いた話を教えたくない。逃げ道を自分で閉ざすことになるかもしれないからなぁ……
「…ルナさん。その…えっと……その……………ハァ」
リチャードが不安そうにルナを見ては何かを言おうとしていたけど、結局言えなくてため息をついた。
ま、とりあえず先ずは祭壇を見つけるのが先だね!あとは何とかなるだろう!難しく考えても仕方ないのでとりあえず進もう!
「うん?あれは何でしょうか?」
先を歩いていたザイルが歩みを止めて前にある何かを指差した。
そこからは森全体が突然秋になったかのように木々が赤や黄色、オレンジなどに変わっていった。
「な、な、なんだい!?何が起こっているんだ!?」
「…ん!?いったい、これは!?」
目の前で変わっていく景色にリチャードがザイルに聞いたがこちらも何が起こったかわからないでいた。
まるで呼吸するかのように森の色が変わっていき、あっという間に全てが変わった!
「なるほど。これで赤の森か…」
ルナはこの変化を二人ほどは驚かなかった。一度変な空間に迷い混んだし、何となくだがこれ本当の森の姿だと思ったのだ。
「ルナさん、君は驚かないんだね?」
「……何か知っているのですか?」
リチャードとザイルが怪しむようにルナに聞いたが、ルナは首をふって知らなかったと言う。
まぁ、景色が突然変わるなんてことは知らなかったからね!嘘はついていない!
これからのことを考えると次は祭壇を探さなければならないだろう。さて、どうやって探そうかと思っていたらザイルがまた何かを見つけたらしい…
「あそこに大きな生き物が居ますね。何でしょうか…あ、リチャード気を付けてください!先ずは危険がないかを調べてから」
「大丈夫大丈夫!なんだか触ったら気持ち良さそうじゃないか!♪」
リチャードは意外と動物が好きみたいだ。
この景色見ていたら焼き芋が食べたくなってきたなぁ。
「!?」
「おお!可愛いな!見ろザイル、こっちを見たぞ!」
「…可愛いですか?変な生き物ですね。」
「グィウイイイイ!」
「え?」
リチャードが駆け寄っていたのは子熊だった!
「ちょっ!危ないよ!母親が近くに居るはず!」
「これはクマというのか?」
「グゥオオッ」
言ってるそばから親熊が駆けてきた!
「危ないです!逃げよう!」
「その必要はありません。ちょっと試したい魔法があるんです。」
そしてザイルは魔法を使おうとした。
「だから逃げようって言ったんだよー!ザイルのアホ!」
「アホではありません!ちょっと、間違えてしまっただけです!いつもなら大丈夫なのに。」
「とりあえず安全なところまで逃げようか!?ルナさん、どうすればいいんだい!?」
走りながら喧嘩していても疲れるだけ、っち!ザイルのやつ、覚えてろよ!毎度こいつのせいでひどい目にあっている気がする!
「登れそうな木があれば登って!間違っても死んだフリはしないでね!」
「え?死んだフリ?なんで?」
「なんでもないっ!」
ちょうどいい感じの木があったのでルナは登った。
「待ってくれ!どうやって登るんだい?!」
「私の真似をすればいい!あとはザイル!魔法で何とかなんない?」
「リチャード、とりあえずやってみましょう!急いでください!」
そうして3人とも出来るだけ高いところまで登って熊が去るのを待つことになった。




