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008話 脱出経路…作ってみようか?

 完璧な闇に閉ざされた地下に俺達は閉じ込められていた。

 地下へ逃げたおかげで、瓦礫の下敷きにならずにすんだものの、入り口が完璧に塞がってしまった事で外に出られなくなったのだ。

 ちなみに、かなり高い位置から飛び降りたのだが、黒髪少女の触手が見事にキャッチしてくれたため軽い打ち身程度ですんでいる。いや、マジ、触手さまさまですよ。


 しかし、かなり絶望的状況下にあるのだ。

 ここに閉じ込められてる以上、救助を待つほか無いからな。

 問題は、この地下に水と食料があるのかだな…

 あ…俺は、こういう非常時にリビドーを爆発させる人でないので、あしからず。

 ただ、ちょっと、覗くくらいは許して欲しいですが…


 今後の事を話し合おうと、暗がりの中、キキちゃんと黒髪少女を探す。先程の落下で、少し離れてしまったのだ。全く、視界が無いと言うのは不便だな、人を捜すのにも一苦労だし…コレでは、覗きもままならない。

 では、名前を呼ぶとしようか。黒髪少女の名前は…後で聞くとして、今は黒ちゃんとでも呼んでおこう。


「キキたんに、真っ黒、黒ちゃん、居ますかー」


「はい、私はここに居ます。大丈夫です」

「くろ、ちゃん? あたしのこと?」


 声を上げると、結構近場から声が返って来た。

 ふむ、二人とも元気そうである…よきかな。

 

 最低限、相手の影が確認出来る位置まで近付き、今後のプランを語り合う。


「えっと、だな…どうやって脱出するよ、コレ?」

「ほかに、でぐち、ない。

 うえの、がれき、おもくて、しょくしゅじゃ、はこべない…」

「ムフフ…なら、仕方ないですね。これを使いましょう」


 意味有りげな含み笑いを発した後、キキちゃんは暗闇をも飲み込む漆黒の球体を取り出した。

 そう、先程、上でもぎっ取っ…取って来た、《 迷宮の心臓ダンジョン・コア》である。

 それを俺に手渡すと、キキちゃんが続けた。


「 《 迷宮の心臓ダンジョン・コア》は、任意の空間を《迷宮化》させるアイテムです。

 これを使えば、別の出口を作るぐらいなら出来ると思います。

 ただ、発動には莫大な魔力が必要でして…通常、ただの脱出だけに使うアイテムではないんですよね…私なんか発動すら出来ませんし。

 でも、魔王であるシンジ様なら発動する事も可能だと思います」


 手渡された玉をマジマジと眺める。

 いや、渡されてもな…発動方法なんてわからんし…

 そう思って掌で転がしているときだった…急に辺りが真っ白になったのだ。


 ん? なにこれ!?

 どうなってんの??

 まじ、どうゆう状況??


 地下室だった筈なのに、見渡す限りの真っ白空間。

 周囲に居た筈の二人も見当たらない。

 ただ、その空間にあるのは、俺と、宙に浮かぶ漆黒の玉だけ…

 俺は、そっと、宙に浮かぶ球体に手を伸ばした…その瞬間、頭の中に文字の羅列と、情報の羅列が流れ込んで来る…

 

 一転、まるでテレビが壊れたかのような、真っ黒空間になった。

 地下では無い、これは全く違う、もっと空虚な空間だ…

 頭に文字が流れ込む…


【メインシステム消失:バックアップ消失:空間形成魔法消失…自動修復開始…

 自動修復成功…………

 対象の魔術領域をスキャンを開始…………エラー・エラー・エラー…

 プログラム消失…対象を《マオウ》と認定・一部プログラムの修正を開始…

 お待たせ致しました、ダンジョン生成プログラム起動します・・・】


 …あれ? なにも無い真っ白な世界に戻ってる、相変わらず黒い球体は浮いてるし…分け解らん。


【お待たせ致しました、ダンジョン生成プログラムへようこそ。

 貴男は、黒峰真治様でお間違いありませんか?】


 急に後ろから声を掛けられた。

 起伏の無い、まるで、機会が喋っている様な声色だ。


 振り向くとソコには、紫色の髪を地面近くまで伸ばした、かなり近未来的な服装の女の子が立っていた。む、服の表現が難しいな。訂正しよう。

 そこには、某有名ボカロが着てそうな服を着た。紫色の髪を地面近くまで伸ばした、可愛らしいレイヤーさんが立っていた。

 かなり、胸元が開いている服で、その慎ましやかな胸(つか、貧乳)の山頂が見えそうになっており、そこはかとなくエロい…何のアニメのコスプレだろう?


 俺からの返答が無いからか、女の子は再度訊ねて来た。


【もう一度伺います、黒峰真治様でお間違いないですね?】


「ああ、そうだけど…君は誰だい? 後、ココは何処だい?」


 俺は不思議な女の子に訊ねていた。

 まぁ、いきなり、この状況だしな聞くに決まってる。


【ワタシの個体名は《ルル・EA》です。

 このダンジョン生成プログラム…貴男がたが《 迷宮の心臓ダンジョン・コア》と呼んでいるアイテムのシステムを統括する人工精霊です】


「人工精霊とは…また、ファンタジーなものが出て来たな」


【恐れ入ります。

 さて、今回はどのようなダンジョンをお作りになられますか?】


 事務的な口調のルルちゃん…

 ふむ、困らせてみたくなるね。


「ねぇ、ルルちゃん、聞いても良い?」

【何でしょうか? ワタシに答えられる範囲ならお答えします】

「その、服装は誰の趣味?」

【お答え出来ません】

「いきなり、答えられないのかよ!!」


 瞬殺だった。

 いいじゃないか…そのケンカ買ったぜ・・絶対、困らせてあげるんだからね!!

 …じゃ、なかった、早く脱出経路を作らないと。


「……その、今、地下室に閉じ込められてると思うんだけど、ソコから脱出する為の出口を作りたいんだ。

 どうやって、作れば良い? 《 迷宮の心臓ダンジョン・コア》って、そういうのも出来るんだろ?」

 

 俺が聞くとルルちゃんはコクリと頷いた。

 そして、黒い球体に触れ何やら唱え始める。

 かなり大きくて平たい長方形に変化した球体は、まるで本物のスクリーンの様になった。

 そこに映し出されているのは…地下の地図だろうか?


【この領域を指定し、起点にダンジョン生成を開始します。

 ここと繋げる場所を任意で設定して…思い浮かべてください】

 

「繋げる場所?」


【出口のことです。

 それを設定して頂かないと、脱出路も出口も作る事も出来ません】


 とりあえず、城の外の風景を思い浮かべる。


【認識完了。

 現状の位置確認、現在その場所はこの状況ですがよろしいでしょうか?】


 ルルちゃんがそういってから、また、画像が変わった。

 それは、外の風景だ。

 外はもう夜中らしい、大小2つある月が美しく輝いている。嗚呼、やっぱり異世界なんだなと痛感する。

 その月明かりに照らされるその場所は、瓦礫が散乱した《漆黒の樹海》の一部である。


「ここでいい、ここに出させてくれ」

【了解しました。脱出ルートはこちらで決定してもよろしいでしょうか?」

「好きにしてくれ、それよりさ、聞きたい事がまだ……」

【承知しました。それでは、またのご利用をお待ちしております】

「え……」


 突然、電源を抜かれたテレビのように意識が遠のいた。

名 前:黒峰真治

ジョブ:自称魔王

年 齢:18歳

性 別:男性

異 名:紳士、自称変態魔王

スキル:NO DATA

魔 法:《雷電》《魔除けの魔法陣》《魔除けの結界【B級】》《 狂乱の宴ヌルウネ・パーティー》《空間魔法》《創造魔法クリエイト》《消去魔法デリート》《魔力走査魔法スキャン》…


※今回手に入った魔法は、かなり特殊な魔法なのでコピーしただけで使えません。

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