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025話 夜間限定の移動手段を手に入れたようですよ?

諸事情で以後不定期更新となります。

すみません。

 兎さんを回復させ、俺の額の傷も簡単な止血だけ済ませ急いでテントに戻る。

 一人で留守番をしているクロちゃんが心配だったのだが…杞憂だったようだ。

 俺達が戻ると、テントの周りはゾンビの死体(?)で死屍累々な状況となっており、クロちゃんもいつも通りだったのだから。


「しんじ、ここ、敵おおいよ? だいじょうぶだった?」

「ああ、大丈夫だ。それよりも凄いなコレ…一人で平気だったか?」

「うん、へーきだったよ?」

「そうか、なら、問題ないな!!」


 頷く俺と、苦笑いを浮かべつつテントの周りを眺めるキキたん。

 テントの周りには太く長く逞しい黒触手さんたちが蠢き、群がって来たゾンビ共を握り潰しては捨て、握りつぶしては捨て……そうして出来た哀れなゾンビの山が出来上がっていたのだ。

 そのゾンビの山は、昔、この平原を血の赤に染め上げたと言う前衛的なアートを俺に思い浮かばせる。

 おそらく、そのときに作られたアートとやらも、こんな感じだったに違いない。

 それにしても…ゾンビ多いな。

 10や20の数じゃないだろ…この山の礎になってるだけで100は居る。

 

 コレだけの数を一人で倒すとは…流石の一言だな!!

 多分、世界がゾンビで溢れてもクロちゃんと一緒なら生き残れる気がする。

 触手は世界を救うかもしれないな!!


 まぁ、そんなゾンビ駆除マシーンに変貌した黒触手さんですが、俺達も一度だけ襲われかけた…


 攻撃しようとしてきたのだ。

 俺達も身構えたものの、直に動きを停止し道を開けてくれたので良かった。

 触手にエスコートされるなんて…かなり新鮮だったけどね!!

 センサーでも付いてるのだろうか?


 俺は、興味深く黒触手を眺める。謎だ、マジで触手の使い方はクロちゃんにレクチャーしてもらわねば…でも、クロちゃんは感覚派だからなぁ…

 俺は今後、どのようにして触手マスターになるか考える必要がありそうだ。


 兎さんを抱えたキキちゃんが、辺りを見渡してから声を発した。

 少し声色が心配そうであった。


「…クロちゃん、グレイブさんは戻って来てないのですか?」


 そういえば、グレイブさんの姿が見当たらない。

 もしかしたら、既にテントに戻って来ているかと思ったが…


「ううん、ぶたさん帰って来てないよ………探しに、行く?」


 少し考えた後に返答するクロちゃん。

 ふむ…この状況で帰って来てないのは不安だな。

 もう日も落ちて辺りも暗くなり始めてるし、確実にこの場所はアンデッドの巣窟だろうし…

 流石のグレイブさんでも心配になってしまう。


 探しに行くか?

 俺なら、たとえ囲まれたとしても《雷電サンダーボルト》を数発撃つだけで脱出できるだろうし…


 そんなことを考えているとき、テントの周りにある触手の包囲網を飛び越えて飛来してくる影が1つ。

 轟音と共に土煙が舞い上がる…何事!?

 呆気にとられる一同。

 しかし、土煙の中から現れたソイツの異様さを見た瞬間、俺は身構えた。


 飛来して来たソイツは、吸い込まれる様に黒い甲冑を身に纏った大男。

 携えるのは、血の滴る1m弱の少し柄の長い両刃の剣。

 厨二知識のおかげで刀剣に詳しい俺は、それがバスタードソードだと判別した。両手半剣とも呼ばれる、切ることも突くことも出来る剣だ。


 コイツの外見的特徴がそれだけなら、まだ、グレイブさんと間違えることもあっただろう。

 しかし、コイツのは無いのだ…………”首”が。

 本来ならソコに頭が乗っているであろう所に何も無いのだ。ただただ、切断面が顔を覗けるだけである。

 それで動かないのであれば空飛ぶ死体で済んだだろうに…そうはいかないものである。

 首の無い甲冑…所謂、首無し騎士は、バスタードソードに付着した血を払う様に剣を振るった。


 飛び散った血液が俺の前に落ちる。


 ああ、そうだよな…やっぱり、魔物さんですよね。

 直に《雷電サンダーボルト》を放てる様に構える。

 何故だか解らないが、目の前の魔物からコレまでに無いプレッシャーを感じた。

 これほどのプレッシャー……中1の夏、クラスの女子全員を敵に回したとき以来だぜ!!


 横目でキキちゃんを見る。

 別にキキちゃんをバカにしている訳では無いが。キキちゃんのことだ、目の前の化け物に気圧されていてもオカシクは…


 しかし、なんということでしょう…

 キキちゃんは笑顔でその首の無い魔物に近付いて行ったのだ。

 そして親しそうに声をかける。


「お久しぶりです、《アルムント》さん。

 ……えっと、もしかして、私が森から出て来るの待っててくれてました?」


 アルムントと、呼ばれた首無し騎士は剣を持っていない方の手に、その外見からは全く似つかわしく無いものを装着し、その問いに答えてみせた。


『うん、キキが森に入ってからずっと待ってたんだよ』


 手に装着されているのは狼を模して作られた可愛らしい片手遣い人形…まぁ、腹話術の人形である。

 それを巧みに操り首無し騎士は会話している。しかも、純真無垢な少年を思わせるかなり可愛らしい声色で……もう、何処から突っ込んだらいいのか解りません。

 そのまま、会話は続くようだ…

 キキちゃんは申し訳無さそうに声を発した。


「そうですか…それは申し訳ないことをしたです。

 予定が狂ったといいますか、大分、お待たせしました……本当にすみません!!

 アルムントさんも母の仕事で忙しいでしょうに…」


 ふむ…このアルムントとか言う首無し騎士は、どうやらキキちゃんのお母様の知り合いらしいな。

 なら俺も警戒を解くとしよう。行く行くは義理のお母さんになるお方の知人だからな。出来るだけ好印象を残しておきたいのだよ。

 

 ふと、クロちゃんを見ると…テントの物陰に隠れておられる。しかも、黒ボールの姿で。

 かなり警戒しているな…確かに首無し騎士さんは怖い外見だけれども。そこまでか?

 震えているようだし…寒いのだろうか?

 

 クロちゃんを不思議に眺めていると、キキちゃんが俺を呼んだ。

 どうやら、俺のあの首無し騎士を紹介してくれるらしい。


「シンジ様に紹介しますね、こちらは私の母の《使い魔ファミリア》…《首無し騎士デュラハン》のアルムントさんです。

 そして、このお方が当代の魔王、シンジ様です!」


 キキちゃんが俺とアルムントの間に立ってお互いを紹介してくれる。

 アルムントと呼ばれた首無し騎士は、恭しく膝を付き頭を垂れる動作をした。

 しかし、そんな動作をしつつも、人形を付けた手だけは上げられているのだ。人形の方も器用に動き、頭を垂れている。なんだコレ…ちょっと面白いかもしれない。

 人形が語り出す。


『ご挨拶が遅れました。僕の名前はアルムント。

 キキの母上、ジル様に《使い魔ファミリア》として仕える者です。

 大変申し訳無いですけど、僕は物を語る口を持ちません。

 なので、失礼を承知で魔導具により会話をさせて頂いております。どうか、御容赦を』


「ああー、うん……初めまして、黒峰真治です。

 とりあえず…かしこまらないで下さい、歯痒いので…」


『じゃ、気楽に行くね』


 と言って、立ち上がった。

 ふむ、結構フランクな人かもしれない。

 同じ甲冑でもあの人とは大違い…


 ソコまで来てグレイブさんを思いだした。

 ごめん、ちょっとキャラが濃いのが現れて忘れてた…


 そうだ、グレイブさんを助けにいかなくてはならない。

 時は一刻を争うし、ここは退席させて頂こう。


「挨拶もそこそこで悪いけど、俺は直にグレイブさんを探しに行きたい。

 キキちゃんの知り合いに対して本当に申し訳ないけど、ここで失礼させて頂く」


 俺の言葉を聞き、キキちゃんも、今思いだしたと言わんばかりに大きく頷いた。

 うん、二人で謝ろうね?


 俺達が動き出そうとすると、人形が右手を差し出し制した。

 そして、可愛らしい声が響く。そういえば魔導具と言っていた、この人形のことだろうか?


『グレイブって……甲冑を着た豚人のこと?

 安心して。頑張ってゾンビと戦ってたから僕が保護したよ。

 まぁ、保護する時、僕にも切り掛かって来たんだけどね…

 いやぁ、結構強かったなぁ…疲労が無ければもっと楽しく戦えたかな?

 今は、ちょっと強くやり過ぎて気絶しているけど大丈夫だよ。

 本当安心して危害を加えるつもりないから』


 その言葉を聞いて思わず安堵の息が漏れる。

 そうか、無事か。良かった…のかな? グレイブさんを気絶させるってこの人…まぁ、不可抗力だったのだろうが、釈然としない所はある。

 キキちゃんも苦笑いをうかべてるし…

 

 人形はクロちゃんの方を向き口を開いた。


『悪いけど、ちょっと触手をどけてくれるかな?

 僕の馬車が入って来れないから…』


 今まで、隠れながらも少し顔を覗け成り行きを見ていたクロちゃんは、そう言われ本当に身を隠してしまった。そして、黒触手が消えた。

 

「ふむ、とりあえず俺の娘を怖がらせるのは止めて頂きたい」


 俺が呟くと、アルムントは無い頭を掻いた。


『ごめんなさい。別に脅かすつもりはないんだけど…

 なんていうか、僕の存在自体があの子にとって恐怖なんだと思うよ?』


 ふむ、出会ったときのクロちゃんを思いだすな。

 確かに初対面の相手には弱い、人見知りする子だしな。

 アルムントの説明に納得して頷くと、アルムントはテントの後ろ側を指差した。


『来たよ、アレが僕の馬車《死霊馬車コシュタ・バワー》だよ。

 あの客車にグレイブって人は乗ってる。

 元々、僕はキキと魔王様を近くの街まで送り届けるようジル様に頼まれてるからね。乗ってくといいよ』


 土煙をあげながらテントを迂回し、現れたのは首の無い馬に引かれた大きな馬車…

 まさに首無し騎士が乗るに相応しい代物であった。

 

 客車には確かに、甲冑姿のグレイブさんが乗っている。ヘルムは取れてるものの、息をしているのは遠目からでも解る。本当によかった。


『さぁ、乗ってのって。

 僕はアンデッドだから、夜中しかまともに動けないんだ。

 馬車の中で寝ていいから、行く先だけは言ってね?』


 こうして俺達は、首無し騎士の引く馬車に乗り込んだのであった。

名 前:キキ・モラ

ジョブ:自称変態魔王の臣下

種 族:人狼族

年 齢:17歳

性 別:女性

異 名:NO DATA

使い魔:ウィプス《F級》、NO DATA

スキル:NO DATA

魔 法:《篝火イグニス》《炎矢ファイヤー・アロー》《風刃ウインド・カッター》《癒しの光ヒール・ライト》《治癒の光キュア・ライト》《召喚の魔法陣【初級】》《主従契約魔法【中級・下級】》…NO DATA


名 前:アルムント

ジョブ:使い魔ファミリア

種 族:首無し騎士デュラハン《ランクA級》

年 齢:?

性 別:男性

異 名:死神騎士

主 人:ジルニトラ・リリー・モラ(キキの母親)

使い魔:死霊馬車コシュタ・バワー《ランクB級》、NO DATA

スキル:太陽の呪縛【A級】、魔人化、NO DATA

魔 法:NO DATA


解 説:

《太陽の呪縛【A級】》

 アンデッド系の魔物と、一部の魔物、夜行性の種族が持つ弱体化のスキル。

 このスキルを持つ者は日の出から日没までの間、その行動を制限する呪いが掛かる。魔物の場合、A級以下の魔物は完全に行動不能となり、A級以上の魔物もその能力が著しく低下する。

 また、日光自体が致命的な弱点となる。これはランクに応じてその重用度が変動する。A級なら致命傷を負うレベル。


《魔人化》

 魔人化出来る魔物が持つスキル。


ーーーーー


 本編に先んじてキキちゃんの年齢公開。

 ロリババではないのです。

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