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017話 攻略しちゃったようですよ?

 結局この日は…無差別触手プレイにより服がベトベトとなったことが原因で、キキちゃんの提案により…早急に宿舎で部屋を借りることとなった。

 捕捉だが、置き引き犯はその場に放置しておいた。放心状態だったし、まぁ、ベトベトで運ぶ気になれなかったのもある。

 

 宿舎までの道は…まぁ、大変だった。


 グレイブさんは、まだ甲冑がベトベトになっただけだから良いのだ。しかし、問題はキキちゃんである。

 レザーアーマーは触手の粘液によりベトベトになり(何故か所々、白い白濁液が…)、キキちゃんの身体を強調するかの様に張り付いたのだ。まぁ、うん、眼福なんだけどさ。


 …年頃の女の子が平気で歩いていい格好じゃないよね? 俺は大歓迎だけど。

 キキちゃんは、取り戻したローブを頭まで被り、グレイブさんと俺を盾にしながら宿舎まで移動したんだ。

 その際、クロちゃんはローブの中に居たんだけど…『べとべと、きもちわるいいぃ』と言って動くものだから、キキちゃんも変な声だしたりして…まぁ、本当に端から見たら、女の子連れ回してる怪しい二人の男状態だった訳ですよ、はい。

 まぁ、視線が痛かった。


 その後、宿舎の前で偶然(?)、牛頭の商人リオスと再開した。

 ヤツは笑いながら(?)近付いて来た。…その際、この牛頭がキキちゃんに卑猥な視線を向けていた。うん、解るよ、情欲を掻き立てるよね? 凄く解るけど、見るの止めようか? 俺のキキちゃんには指1本触れさせないんだからねっ(怒)…と言った感じで睨むと、リオスは肩を落とし首を左右に振って、


「安心してくれや兄ちゃん。俺はコレでも愛妻家なんだ、かみさん以外の女に手は出さねぇーよ。

 けど、まぁ、男だからなぁ、反応はするってもんよ!!」


 と、言って退けたのである。

 結婚してんのか…以外だな、おい。

 ふむ、なら悪いことをしたかも知れんな…

 リオスはそのまま続ける。


「まぁ、俺は兄ちゃんと彼女さんが何処でどんなプレイをしようと関係ないが…

 風邪ひかす様なプレイは程々にしろよ? 

 女を好き勝手振り回して、その結果、風邪ひかせたなんざ、ダメ男のすることだかんな。

 なんでも節度ってもんが大切だ!!」


 ……うん、ごめんなさい。凄い勘違いされてるけど、ごめんなさい。リオスさんの言う通りですよね。

 承諾の無い無理矢理な触手プレイは身体を壊しちゃいかねないですものね。以後、気を付けます。反省…

 あ、キキちゃんの視線が痛い…早急に宿舎で部屋を借りると言う提案から、俺への無言を貫いてるキキちゃんの視線が痛い!!


 リオスは俺とキキちゃんの様子を見て、グレイブさんが肩を落としたのを見た後、深々と溜め息を吐き出した。そして、少し待ってろと言って宿舎に入って行く。

 そして少しして出て来たリオスは、俺とキキちゃんに1つずつ鍵を手渡した。


「まぁ、半分冗談だから気にすんなよ彼女さん?

 それ、この宿舎の個室の鍵だ。ここの管理人とは知り合いでな、無理言って部屋を空けてもらった。一日休める筈だ。

 兄ちゃん、置き引き犯のヤツはカウントしねぇが、コレは貸し1つだぜ?

 魔国王都に来たら絶対に俺の店によってくれよ? 頼むぜ兄ちゃん?

 じゃ、俺はコレで。グレイブも達者でな!!」


 そう言うとリオスは何処かに去って行った。

 リオスと言う男…俺は結構好きになっていた。面倒身の良いヤツだな本当。

 そんな去って行ったリオスをグレイブさんはじっと眺めていた。

 

「どうかしたのか、グレイブさん?」


『いや…なんとなく、アイツがあそこまで楽しそうなのは珍しいと思ってな。

 シンジ殿には伝えておくが、あれでもリオスはソコソコ有名な商人でな…なんの見返りも無く人を二回も助ける様なヤツでは無いのだが…改心でもしたのだろうか?』


 ふむ…グレイブさんは訝しんでるご様子ですな。

 まぁ、俺は今日初めて合った訳だし判別し難いがな。

 とりあえず、魔国王都に行くことがあれば店に顔を出そうとは思う。

 そんなことを考えていると、キキちゃんが無言で宿舎の中に入っていった。

 急いで追いかける俺達である。



 俺達に充てがわれた部屋は2つ、二階の角部屋とその隣である。

 一室はキキちゃんとクロちゃんに、もう一室は俺とグレイブさんで使わせてもらうことになった。

 女子と男子で部屋を分けたのは…流石に空気を読んだと思って欲しい。

 

 グレイブさんは俺に断りを入れてから、甲冑を脱ぎ粘液を取り除く作業を始めた。

 俺はその様子を何の気なしに眺める。

 オーク…というから、太った身体を想像したが、下着姿の彼は以外と筋肉質である。

 でも、まぁ、顔はブタさんなわけだけども…

 俺の視線に気付いたグレイブさんは、そのよく見れば愛嬌のある顔に笑みを浮かべた


「なにか、そんなに珍しいものがありますかな?

 拙者は、槍で戦うしか脳のない冴えない男ですぞ?

 それに、こんな醜い者を見てもつまらな…」

「グレイブさんは自分を卑下する悪い癖があるよな」


 グレイブさんの言葉の途中で俺はそれを遮った。

 まぁ、癖っていっても、今日出会ったばかりの若造になにが解るんだって話しだが…

 俺の言葉をグレイブさんは手を止めて待つ。その視線は紳士的な理性の欠片が見て取れた。

 その目を見て自然と声は出た。最初に言っておく、男を口説くつもりなど無い。


「そうなんだよ、ゲームとかで俺の知ってるオークじゃないんだよ、アンタは!!

 グレイブさんに合ってから、オークの印象が百八十度かわったもん。

 何方かって言うとオークっていうより、紅◯豚を思いだすタイプの人だけど…

 俺は、直に酒場で助けに入ったグレイブさんを素直に尊敬してる。

 もっと自分を誇れって、グレイブさんはオークだけど、オークの汚名をどうにかしたいって思ったんだろ?

 なら、自分がそれを一番恥じてちゃダメなんだ!!

 オークが何だってんだ、十分凄いじゃねーか。

 俺、グレイブさんみたく、あんなデカイ槍振るえないもん……十分凄いよアンタ」

 

 俺はグレイブさんのように崇高な目的を抱いたことは無い。

 日本に居た頃、紆余曲折あって困ってる人を何人か助けたことはあれど、そこに確固たる信念が混じったことなど無かった。

 まぁ、助けたいから助けた、ってのが俺の行動基準だったしな。ま、どうでもいいか…


 一通り語り終わった後、我に返る…

 嗚呼、うん、調子に乗ると語っちゃうのが俺の悪い癖だ。直そうと思ってるんだけどな…

 引いちゃったかな、グレイブさん?


 視線をグレイブさんに戻すと、彼は片膝を着き頭を垂れていた。

 あ…また、このパターンですか…

 やはり、渋い声が信念に燃えて聞こえて来る。


「今更ですが…改めて、拙者はシンジ殿こそ魔王に相応しいと思い知りました。

 シンジ殿は拙者などでは窺い知ることが出来ぬ程に慈悲深く、お優しい。

 長年、旅を続ける身ですが、このようなお言葉をかけて頂いたのはコレが初めてに御座います。

 その言葉を得ることを…どんなに待ち望んだか!!」


 ああ、また泣きそうな声を…

 本当に涙脆いなこの人…


 そうだよな、オークであるというだけで、この人はずっと苦労して来たんだよな…そして種族の汚名をどうにかしようと修行して、頑張って…

 この人は報われるベき人なんだろう、なんとなくそう思うな…

 なら、この人が仕えたいと思った俺も相応しくなくてはならん。只でさえ、キキちゃんの期待を背負ってるのに…オタクの俺には少々荷が重いな。まぁ、良いけどね。

 

 とりあえず、誰か教えて欲しい…

 俺は何時、グレイブさんを攻略しちゃったのかしら?

 身に覚えがありません。


 

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