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014話 人の物を盗んではいけませんよ?

やけに長くなってしまったので、二話にわけます、すいません。

あと、主人公出て来ません…くそう、やっちまったゼ、連続登場記録がぁあ!!


こんな作者ですが、これからもヨロシクお願いします。

(きがついたら…しらないひとに、はこばれてた…コワイ)


 ガクガクブルブル震えを抑えながら、クロちゃんと呼ばれる、『暗黒魔獣ダークマター』は息を潜めていた。

 その存在に気付かず彼女をローブごと盗んだのは、中年の冒険者である。

 この男、あの酒場の常連であるのだが。よく、騒動が起こるあの酒場を縄張りに、持ち主が目を離した荷物を盗む小悪党であった。

 元々、小さいときから物取りの様な事をして生計立てていた男である。冒険者になり、ある程度のランクまで上り詰めた今だが、盗めそうな物は盗んでしまうという悪い癖があった。

 スリルを愉しんでいるのだ。本当に面倒な男である。

 今日も、その被害者は複数人は居る事だろう。


 森をある程度進んだ先に、人が滅多に寄り付かない場所がある。

 鬱蒼とした草が伸び、刺のある植物が生い茂っている為、魔物も寄り付かない場所だ。

 男は慣れた様子で道を選んで進み、刺などに悩まされる事無く、少し開けた場所に移動した。

 

 そこには、これまで男がチマチマ盗んだ物が幾つも置かれている。

 この場所は男と換金所のオヤジしかしらない。あのタヌキオヤジとは共犯関係だ。

 大抵、換金出来る代物は換金しているのだが、如何せん、一度に一杯換金所に持って行ったら他の職員に怪しまれる事があるし、換金所で元の持ち主と鉢合わせたりしたら危険だ、とオヤジから注意を受けている。

 故に、二日時間を置いて換金するのがこの男の手口である。


 理由は、大体の被害者が冒険者であるからだ。

 あの酒場で飲んでる冒険者は、《漆黒の樹海》で何かしらのクエストを成功させ、その報酬で飲んでる物達が多い。故に、翌日には村を去るか、村を拠点としている冒険者は次の日には新しいクエストに出るだろう。

 だから、最低でも2日空ければ換金所で元の持ち主と鉢合わせることも無いと踏んでいる。

 そこまで待てば、普通、冒険者は盗られた物など忘れているだろう。まぁ、盗られても必死に探さない様な物ばかり選んで盗んでいるのだが…

 

 ココまでする必要があるのか?……という疑問を持つ人も居るだろうが。

 何事も本気にならなければスリルとは味わえない、と男は考えていた。

 そう、男はこの趣味を全力で愉しんでいたのだ。本当に迷惑なヤツである。

 

 この日も男は戦利品を確かめた。

 もしかしたら、換金の必要ない現金や、男もクエストで使う様なアイテムなんかが入っているかもしれないからだ。

 今回の収穫は3つ。


 まず、薄汚い革袋である。

 コレは若い冒険者が持っていたものだ。若手の持ち物に、あまり高価な代物は望めないな…

 と、思って探ってみたが、案の定出て来たのは安い傷薬と乾パンであった。

 まぁ、消耗品であるから良しとしよう。


 次は、中年の冒険者の持っていた剣。

 冒険者が自分の武器を盗まれて気付かないのもどうかと思うが、酒の席では結構気付かないものだ。

 たまに高値で捌けるものもあるから、念入りに調べる…


「…っち、ただの安物じゃねぇーか、下らねぇ」


 自分の扱う武器なら、まだ、使い道があったのだが…

 ちなみに男は槍の使い手であった。コレでもこの界隈では、ソコソコ名の知れた冒険者なのだ。

 だから、重ねて言うが盗みはあくまで趣味である。


 最後に男はローブを見た。

 このローブは、胡散臭い男と、人狼族の娘が座っていた席にあったものだ。

 人狼族の娘はソコソコ良い容姿をしており、ああいう場所に慣れた風ではあったが、金持ちお嬢様じみた雰囲気も漂わせていた。あの娘の荷物なら、ある程度の戦果は見込めるだろう。

 男の方も気になる…どことなく、あの場から浮いた感じのするヤツだったが。着ている服は、今まで見たことも無い物だった。何処か遠くの国から来た商人かなにかか? まさか、貴族か? まさかな…


 こうやって、盗んだ相手のことを考えるのもこの男の趣味であった。

 自分の妄想に微笑しつつ、男はローブを手に取り素材を確かめる。

 …凄い上物じゃねぇか…

 男は自分の運の良さに歓喜した。


 キキがよく脱ぎ捨てるローブであるが、実は、この世界のごく普通の一般人が半年は生活出来る程に値が張る物である。あと追記すると、キキが飾りと称する剣はその倍の値段の代物だ。

 

 男が喜び勇んでいると、ローブのポケットから更に美味しい物が見えた。……護符である。

 今までのキキの道中で、あまり役に立っていない代物だが、これもローブなんかよりよっぽど値の張る物である。余談だが、剣より高価な物だ。

 

 男は恐る恐る、護符へと手を伸ばす。

 そして、よーく見て確かめる。

 盗賊の真似事をしていた次期もある男である、ある程度の目利きは出来た。

 数分後、男は生唾を飲んだ。

 本物であったからだ。


 男は歓喜のあまり飛び上がった…それがいけなかった。

 男の飛び上がった拍子にローブが捲れ上がり、クロちゃんが顔を覗かしたのだ。

 突然の黒い球体の出現に、男は一旦呆然とし、そしてこの生物の名称が頭を過った瞬間、顔を真青にした。


 それはクロちゃんとて一緒だった。

 男に発見されたことで頭が真っ白になっていたのだ。

 あばよくば、このまま気付かれないのならこっそり逃げようと考えていた。


 一瞬の静寂…


 先に動いたのは生存本能に突き動かされた男であった。

 先程、安物と断じた剣を手に取りクロちゃんに切り掛かる。

 しかし、手元が狂ったのか、そもそも剣の腕が大したことないのか…刃はクロちゃんの身体擦れ擦れで地面に突き刺さった…


『あわ、あ、あ、あわわわ…』


 その刃を横目に見ながら、自分の命が狙われているのを察したクロちゃんである。


(にげないと、ころされる!!)


 そう思ったクロちゃんは全速力で背の高い草の中に飛び込もうとした。

 しかし、植物の刺が身体に突き刺さった。


『い、いたっ!!』


 完全に逃げ場を失ったクロちゃんである。

 そして、男も逃げれば良いものを置いてあった戦利品の中から槍を取り出し、クロちゃんに向けた。

 男も死にものぐるいである。

 それだけ『暗黒魔獣ダークマター』とは恐ろしい魔物と知られているのだ。


「……く、喰らえ化け物!!《百烈突き》!!!」


 男が、分かり易い技名を叫ぶと。男の槍が高速で突き出された、それが連続して突き出される。

 男が混乱しているため、その突きをクロちゃんはどうにか避けることが出来た。

 そして、クロちゃんも必死であった。

 咄嗟に口の中で音を発する。

 コレが、彼女の詠唱であるのだが、しかし、彼女はそんな難しいことは知らない。


『でてきて、はやく、でてきて!!』


 突然、クロちゃんの頭上に妖しい紫色の魔法陣が現れ、そこから触手が現れる…シンジが、《狂乱の宴ヌルウネ・パーティー》と名付けた魔法である。

 しかし、彼女は、こうすれば長い手足を得ることが出来る…程度にしか思っていないので。実は、魔法などとは思っていない。全くの無意識なのである。

 …ソコにある意味での利用価値を見いだしたのは、先代の魔王とシンジぐらいのものだ。追記だが、彼女が生み出す触手の中でイボイボのある物は先代魔王が趣味で作らせた・・・・ものである。


 突然現れた触手に驚いた男は盛大に尻餅をついた。

 持っていた武器も落としてしまい丸腰である。

 そんな男に、触手は容赦なく襲いかかった。

 クロちゃんの方も動揺して制御を失っていたのである。


 男の生命は空前の灯火であった。

 なんせ、この触手がその気になれば、魔物だって絞め殺せるのだから。人間など、雑巾を絞るかの如く簡単に殺せるのだ。

 男も自分の死期を感じたのか目を閉じた…が、一度大きな音が響いたものの一向に死は訪れなかった。


 目の前で信じられない光景が展開されている。

 触手が触手とが絡め合い、空中で格闘しているのだ。

 訳の解らない状態に男が呆然としていると、刺があって入れない筈の茂みの方に思いっきり引張られた。

 男を引張ったのは甲冑の大男である。あの酒場で騒動を起こした男だ。

 なるほど…甲冑を着ていれば刺など気にしなくて済むのか…否、そこに刺の植物はおろか鬱蒼とした草さえ立っていなかった、全てが押し倒されていた。

 よく見ると、甲冑男の後ろに男が立っている。そう、酒場で人狼族の娘と一緒に居た男だ、その男の後ろに魔法陣がありそこからも触手が伸びている……なんで!?


 男の思考はまとまらなかった。

名 前:クロちゃん

ジョブ:守護者ガーディアン→無職

種 族:暗黒魔獣ダークマター

年 齢:?歳

性 別:女性

異 名:触手、ボスキャラ

スキル:《NO DATA》《魔人化》

魔 法:《 狂乱の宴ヌルウネ・パーティー》…


※シンジ以外の初ステータス。

 これからは、種族も入れていきたいと思います。

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