コーヒータイム(お題小説)
沢木先生のドSなお題に基づくお話です。
お題はタイトルどおり、「コーヒータイム」です。
すみません、沢木先生、追いつけませんでした(汗)。
律子はスットコドッコイなOLである。
週末に控えたクリスマスのせいで、最近いつにも増して落ち着きがない。
「うおお! どうしよう、クリスマス!?」
律子が叫んだ。
「何よ、それ嫌味?」
同期の香がムッとして言った。
「何でよ?」
律子は口をヒョットコのように尖らせて言う。
「クリスマスは藤崎君とホテルでディナーとか言ってたくせに」
前の彼と別れて、最近新しい恋人ができたばかりの香は、聖夜の予約を取れなかったのだ。
「違う、違う。それじゃなくて、カードの支払が大変なのよ!」
律子が目を血走らせて言うが、
「ああ、はいはい」
香は呆れて背中を向けた。
「わーん、香に見捨てられたあ」
律子得意の嘘泣きのため、誰も相手にしてくれない。
頼りの藤崎君はまだ出先から帰って来ていない。
「律子先輩、コーヒータイムにして、落ち着いてください」
新人の蘭子が淹れたてのコーヒーを持って来てくれた。
「気が利くわねえ、蘭子ちゃん」
わざとらしく須坂君の方をチラ見する律子である。
須坂君も慣れたもので、気づかないフリをして電話をかけている。
「そう言えば、蘭子ちゃんはクリスマスの予定あるの?」
律子の知りたがり病が始まった。蘭子はピクンとした。
それ以上にピクンとしたのは須坂君だ。
「残念ながら、予定ないんですよね」
蘭子はテヘッと舌を出してみせる。
それが全然嫌味でないのは、若さ故だと思う律子である。
「そうなんだ。寂しいね」
律子はまた須坂君をチラ見だ。
須坂君は思った。余計なアシストをしないで欲しいと。
「ええ。寂しいですよ」
何故か蘭子も須坂君をチラ見した。
悲しい事にそれに気づかない間の悪い須坂君である。
「バカ」
蘭子は誰にも聞こえないくらい小さな声で言った。
お粗末様でした。