↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レベルが支配する異世界夢想  作者: 土瓶蒸しの謎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
13/48

# 第8話 今後の計画


 王宮の自室に戻ったかか志は、ベッドに腰を下ろした。


「……疲れたぁ。いや、長いだろ今日……」


 そのまま後ろへ倒れ込み、天井を見上げる。


 朝、目が覚めたら異世界だった――というだけでも十分おかしい。正確には、目が覚めるより先に召喚されていて、神様から説明を受けたと思ったら王宮へ送られた。国王と話をして、部屋を案内され、城下町を見て回り、そのまま冒険者ギルドへ行って登録。最後にはテンパール草原で薬草まで採っている。


「異世界初日って、もっとこう……何も分からなくて困るとかじゃないのか? 俺、もう普通に仕事して帰ってきてるじゃん……」


 我ながら順応が早すぎる気もする。


 もっとも、今日一日を思い返してみれば、悪いことばかりではなかった。冒険者として初めて受けた依頼は薬草採取。ヨルが付き添ってくれていたとはいえ、自分で薬草を探して、採って、ギルドへ持ち帰った。依頼は無事に完了し、報酬も受け取っている。


「……意外と何とかなるもんだな。まあ、薬草採るくらいなら俺でもできたし……」


 もちろん、一回やっただけだ。冒険者が普段どんな仕事をしているのかも、自分に何ができるのかも、まだよく分かっていない。


 それでも、少なくとも今日と同じような依頼ならできそうだった。依頼を受けて、終われば報酬をもらえる。


「…………」


 そこで、かか志はふと身体を起こした。


 改めて部屋を見る。王宮の一室。当然、宿代など払っていない。食事も出てくるし、生活に必要なものも今のところ国が用意してくれている。


「……待てよ。俺……今、完全に国のヒモじゃね?」


 口に出した瞬間、妙に実感が湧いた。


「いや、仕方ないんだけどさ。俺が好きでこっち来たわけじゃないし。来たばっかりだし……」


 誰に言い訳しているのか自分でも分からない。実際、困っているところをここまで面倒見てもらえているのだから、ありがたい話ではある。


 だからといって、いつまでもこのままというのも違う気がする。


「……せめて、自分の生活費くらいは自分で稼ぎたいな」


 元の世界では、自分で働いて生活していた。給料をもらい、家賃を払い、食費を払い、残った金でやりくりする。それが当たり前だった。


 異世界へ来たからといって、その感覚まで急に変わるわけではない。


 今日受け取った報酬を思い出す。あれを何回か稼げば、一日分くらいにはなるのだろうか。


「……ん? そもそも、一日いくらあれば生活できるんだ?」


 知らない。


「宿……一泊いくらだ?」


 城下町で宿屋はいくつか見た。見た覚えはあるが、料金まで確認した覚えはない。


 食事はいくらなのか。冒険者は一日にどのくらい稼ぐのか。一人で暮らすなら、他に何が必要なのか。考え始めると、次々に分からないことが出てくる。


「こういうの、普通なら……」


 無意識に手が動きかけて、止まった。


「……スマホないんだった。宿代調べるだけで人に聞かないといけないのか……地味にきついな」


 地図もない。検索もできない。冒険者の平均収入を調べようにも、検索欄そのものが存在しない。


 少し考えて、かか志は首を傾げた。


「……いや、ギルドで聞けばいいだけか」


 答えは簡単だった。


 再びベッドへ倒れ込む。


「じゃあ明日、またギルド行って……初心者でもできそうなの探して……そのついでに聞けばいいな」


 宿代と食事代。それから、冒険者としてどのくらい稼げれば生活できるのか。


 何度か依頼をやってみれば、自分でもやっていけそうかどうかは分かるだろう。


「それで足りなかったら……まあ、そのとき考えればいいか」


 異世界に来て、まだ一日目である。今の時点で、この先の生活すべてを決められるはずもない。


「うん。とりあえず明日も依頼やってみよう」


 今日できたことを、明日もやってみる。分からないことは聞く。駄目だったら、そのとき別の方法を考える。


 今後の計画と呼ぶには、かなり雑な気もする。


 だが、かか志本人は満足した。


「分からないことは……明日また考えよう」


 そのまま目を閉じる。長すぎた異世界生活一日目も、これでようやく終わりだ。


 数秒後、かか志は小さく呟いた。


「……異世界来た初日くらい、これでいいだろ」


 ――明日から本気を出そう。

面白い、続きが読みたいと思っていただけたら、評価や感想をいただけると励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。