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呪われ勇者の専属聖女になりました……けれど私にあるのは10キロの米袋だけです!  作者: 天城らん


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4-2 努力家の勇者様

 

 気持ちが切り替わると、耳に規則正しい風切り音が聞こえていることに気付く。

 ヴンヴンという音の方を見れば、眼下でテオ君が剣の素振りをしていた。

 朝食前の朝練なのかな?

 決まった剣術の型を練習してるみたいだけれど、そのまなざしは真剣そのものだ。

 テオ君が剣を振るたびに汗がキラキラと飛び、運動のしやすそうな白いシャツが既に汗で濡れて透けている。

 ひたむきなその姿に、私の胸はとくんと跳ねた。


(昨日の戦いを見れば、一朝一夕にできる剣技ではないとは思ったけれど、昨日、あんなに具合が悪そうだったのに翌朝から鍛錬をするなんて……)


 私はまだテオ君がいかにも勇者という感じの、さわやかで温和な笑顔しか見ていないけれど、自分に厳しくて真面目な子なのがよくわかる。


(体はもう大丈夫なのかな?)


 昨日の戦闘直後、マルス騎士団長に抱えられて息苦しそうに倒れていた姿が思い出された。


 私は、テオ君が本当に復調しているのかもっと近くで確認しようと、庭園で朝練をしている彼の元へ駆けて行った。


「勇者様、おはようございます」


 私は、テオ君に声をかけた。

 テオ君が、清々しいさわやかな笑顔で朝のあいさつを返してくれる。


「おはようございます。千穂。昨日はよく眠れましたか?」


 それはこっちのセリフよ。

 テオ君をちらと観察すれば、発疹も治まって体調は良さそうだ。


(それにしても、笑顔が朝日よりもまぶしいっ! さわやかだなぁ)


 私は、手を合わせて拝みたい気持ちになったが奇怪な行動をとるわけにはいかずに、にこと笑い返事をする。


「おかげさまで朝までぐっすり眠れました」

「それはよかった。急な召喚に応じてもらった上に、いきなり討伐に連れられて、さぞ驚いたでしょう? こちらの都合ばかりですみません……」

「いえいえ。そんな! 私の方こそ、何の役にも立てなくて申し訳ないです。すごい力とか覚醒されたらいいのですが、そういう気配もなくて」

「謝らないで下さい! こっちの勝手な都合を押し付けてホントに何といっていいやら」

「あはは。お互い謝ってばかりですね」


 私たちは顔を見合わせて笑いあった。


「そうだ。勇者様こそ調子はどうですか?

 昨日の今日で、そんなに動いて大丈夫ですか?」

「朝は調子がいいんですよ。日中は訓練中に具合が悪くなるときもあるので、朝練に熱がこもってしまって」

「そうなんですね。でもちゃんと着替えないと風邪引きますよ?」


 ふふっ、なんだか世話を焼いてしまう。

 どこにいても、こういう私のお姉さん気質は治らないものなのね。


「そうですね。気を付けます」


 テオ君は、ちょっと照れくさそうに笑った。

 笑ったら、急にお腹が減って私のお腹がぐうと鳴る。

 私が、恥ずかしくなって真っ赤になるとテオ君が言う。


「一緒に、朝食を食べに行きましょう。着替えたら迎えに行きます」

「はい!」


 そのお誘いに私は元気に返事をすると、身支度をするべく部屋に戻った。

 


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