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呪われ勇者の専属聖女になりました……けれど私にあるのは10キロの米袋だけです!  作者: 天城らん


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3-1 魔獣との戦い


 会議室で重要な話が終わった後は、色々とこの世界についてのお勉強会という名の雑談をしていた。

 テオ君もユジンさんもとても親切で、元の世界にすぐに帰れないという事実さえなければ、紅茶もお菓子も美味しいし、いつまでもここにいてもよいと思えた。


 今後のことについて、思索しつつお茶をごちそうになっていると、突然、バンッと扉が開き私はびっくりして1センチほど飛び上がる。


「急報です。森に魔獣が現れました!」


 伝令の騎士の声に、さっと二人の表情に緊張が走る。

 勇者のテオ君が私に失礼しますと断りを入れて、報告をうながす。

 手短に概要を確認したテオ君は、すぐさま現場に向かうと返事をした。

 すると、神官のユジンさんが私に言う。


「では、聖女様は勇者様の魔獣討伐隊、勇者隊に同行して下さい」


(はひ? いきなり戦闘バトルですか!?)


   *


 私はテオ君の馬に乗せられて魔獣が出たという街外れの森へ到着した。


 馬に二人乗りだなんて、テオ君と大接近でドキドキかと思ったけど、馬の背は高いわ、揺れるわで怖くて、それどこじゃなかった私は、青ざめてかなりぐったりしている。


「千穂、大丈夫ですか?」


 馬を降りてから、テオ君に心配そうにのぞき込まれて、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。


「わ、私のことはいいので……。ま、魔獣退治の方を……」


 も、もうダメ。吐きそう……。

 私は口を押えて服が汚れることも気にせずに、地面にへたり込む。

 すぐさま、神官のユジンさんがあわてて私に駆け寄ってくる。


「聖女様、今回復魔法をかけますね」


 助かるけど、戦闘前に私なんかのために回復魔法を使ってはダメでしょう……。

 私がなにも言えずに、手で制してもユジンさんは気にもしないでサクっと回復してくれた。


「ご迷惑かけてすみません……」

「いいんですよ。私は後方支援なので聖女様とともにこちらで待機ですから」


 調子が回復して辺りを見れば、ユジンさんと私の周りには数名の騎士が残っているだけで、他はテオ君と騎士団長と魔獣を囲んでいた。


 魔獣……。

 象よりも大きい動物は見たことのない私には、それよりも2倍から3倍は大きいように見えた。

 その魔獣は、家一軒くらいの大きさがあるいのししだった。

 その他にも、普通の猪よりも少し大きめに見えるものも数匹いた。


カリュドン(イノシシの魔獣)ですね。ボスは大きいけれど、動きは単調です。マルスさん、騎士団は小型を狩って下さい。私は大型のを仕留めます!」


 テオ君が緑のマントの騎士団長マルスに指示を出すと、騎士団長とは旧知の仲なのか軽い返事が返ってくる。


「了解! こっちは任せとけ。勇者は聖女様にいいところ見せろよ」

 かなり年上の騎士団長にバンと背中を叩かれると、テオ君は苦笑した。

「後始末はお願いしますね」


 とテオ君は騎士団長に声をかけるや否や、魔獣へ向かい駆け出した。


 走りながら抜き放ったのは幅のある大剣。

 刃は銀色に光り輝いて、鏡のように磨かれている。

 なにか文字のような模様が刻まれとても美しい。

 どう考えても重厚な剣をテオ君はこともなげに正面に構えて、鼻息の荒い大型のカリュドン(魔獣)の前に立つ。


 私だったら、鼻息だけで吹き飛んでしまうか、震えあがり身動きできないだろう。

 離れて見ていても、魔獣から獣臭い匂いが漂って来て身がすくむ。


 すると、ずっと私が目で追っていたはずのテオ君が軽い跳躍とともに視界から消えた。


(どこに消えちゃったの!?)


 あわてて見回すと、テオくんがマンションの3階くらいまで飛び上がっていた。

 それだけではない。その中空ちゅうくうで素早く身をひねり回転する。

 それは、さながら剣をたずさえた風車のように見えた。

 私は驚きで目を大きくする。

 私には、あまりの速さに何回まわったのかさえ数えられなかった。

 ただ、キラキラッと剣が眩しく光ったように見えた直後、テオ君がカリュドン(魔獣)の猪のような頭めがけて落ちて来た。

 私はハッと息を飲む。

 自然落下ではない、猛烈な勢いがある。


(あんな速さで地面に落ちたら、死んじゃうじゃない!?)


 ハラハラして胃が痛いよぉ。

 私は両手をぎゅっと握りしめる。


(テオ君! がんばって!)


 まるで、弾丸のように落ちてきたテオ君の勇者の剣が、魔物の脳を捕らえて突き通す。


 重い斬撃で地がズンと揺れた気がした。


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