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呪われ勇者の専属聖女になりました……けれど私にあるのは10キロの米袋だけです!  作者: 天城らん


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8-1 せめて看病くらいは

 

 討伐後、今までと同じくテオ君は具合が悪くなり、騎士団のハウルさんと神官のユジンさんに抱えられて帰って来た。

 発疹が出て、意識があまりなくひどく息苦しそうだ。

 医務室で聖水や聖力の治療を受けたあと、テオ君は医局で入院してもいいのに弱っている姿を周りに見せないために、騎士団の宿舎の自室にもどってしまった。


(一人で大丈夫かな? 心配だなぁ……)


 その日、さすがにもう見ていられなくて私はテオ君の自室の前まで来た。

 聖水で一時的に良くなっても、その晩は体調の悪さがぶり返すこともあるとユジンさんに聞いて、看病くらいはさせてもらおうと思ったからだ。

 けれど、やっては来たもののテオ君の部屋をノックできずにいた。


(心配でいてもたってもいられずに、来てみたけれど、よく考えたら具合が悪くて寝ているのに押し掛けても迷惑なだけかもしれない……)


 ノックをして起こしても申し訳ないし、明日の朝出直した方がいいのかな?

 色々考えたが、答えは出なかった。

 ただ、私はテオ君が倒れたときのことが思い出された。


   *


 今日の魔獣退治もテオ君はすごく活躍していた。


 ワニを大きくしたような、もう獣じゃなくて恐竜だよね!? というという感じの魔獣だった。

 サルなんとか、あ、サルコスクスとか言ってたかなぁ。

 私なんか、ワニ魔獣がギラリと牙が並ぶ大口を開けただけで、真っ青になって気を失いそうになってたのに、テオ君はその口に飛び込むように斬撃を繰り出していて、もう、見ているこっちの寿命が縮まりそうだった。

 なんでも、サルコスクスは外皮が岩のように固いから、口が弱点なんだとか……。


 魔獣の弱点なんて知らないし、知っていてもそんな危険なことさせたくないし、テオ君の様子をしっかり観察して何か呪いの糸口を見つけるように言われているけれど、見ていられないのよ!

 勇者だって人間だし、不死身じゃないし、呪いかもしれないのもあるんだし、万全な状態じゃないじゃない?

 なのに勇者の剣を持っているからって先陣を切ったり、とどめ役をしたり、忙しすぎ!


 彼が全力で戦う姿は正直カッコいいし、応援はしたいけど、すごく危険なことをしているんだからやっぱりしないにこしたことはない。

 それに、毎回苦しそうに倒れ込む姿を見るのはつらいし、呪いがとけないなら、せめてもっと休むことはできないのかな?


(体を癒す暇がないじゃない……。聖水や聖力の治癒は根本的な体の休息とは違うよね?)


 私は、テオ君の体調を考えるとひどくもどかしい気がした。


(人間はずっと走ってはいられないって、知らないのかな……)


 勇者は私が思ってたより過酷な仕事だ。

 逃げ出すことも放りだすこともできないのは分かるけど、休まないと最後には倒れて動けなくなっちゃうよ……。


(やっぱり心配! 今もまだ動くのはつらいだろうし、病人のお世話なら私でも少しくらい役に立てることあるよね? 誰かそばにいてあげた方が、安心できるよね?)


 弟のユウくんが熱を出したときにいつも世話をしていたから大丈夫! と、意を決しドアをノックをしようとしたところで、ユジン神官に出くわした。


「聖女さま? どうしたのですか?」


 勇者様の討伐隊で、ユジンさんは医療系の担当だから、追加の聖水と水桶を届けに来てくれたようだ。

 私は、聖女の白いローブのすそをぎゅっと握って申し出る。

 無力な聖女のおせっかいだと思われても、かまわないからどうしても、テオ君のそばにいてあげたかった。


「あの、私も一緒に入ってもいいでしょうか? 勇者さまのこと心配で、看病させてもらえないでしょうか?」


 ユジンさんは、ニッコリ笑うと『聖女様なら』と、私をすんなりテオ君の部屋に入れてくれた。



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