7-2 くり返される魔獣退治
私は、頬を両手でパンと叩き気合を入れて返事をする。
「だ、大丈夫! 邪魔しないようにするから」
「……わかった。無理しないで」
「うん。ありがとう。勇者様こそ怪我しないでね!」
私はテオ君につとめて笑顔で答えた。
私は無力で身を守る手段を何一つ持たないけれど、邪魔だけはしたくなかったから。
(私にもできることはないのかな……? 一生懸命がんばってる人たちの力になりたいよ)
テオ君率いる討伐隊や騎士団の方々とも仲良くなってきたからこそ 何も力になれずに守ってもらうだけ状況をもどかしく感じていた。
みんな強いといっても時折、負傷者も出る。
いまだって、私の隣の神官のユジンさんのところへ負傷者が運ばれてきている。
聖力と呼ばれる魔法的な何かや聖水で、ある程度の傷はすぐに治癒できるといっても、魔獣の牙や爪で裂かれた生々しい傷や、殴打され苦し気にうめく騎士団の騎士たちを前にすると『聖女』と呼ばれながらもなすすべがないことが情けない。
手を添えてあげたり、背をさすってあげたり程度のことしかできない私を誰も責めなかったけれど、私自身はもどかしく感じていた。
(なんで、神様は私みたいな何の力もない人間を選んだの? みんなのために、もっと能力のある人を選んであげてよ……。こんなに必死で戦ってるのに、召喚失敗とかかわいそうじゃない!)
私は、無力さやもどかしさを通り越し、憤りを感じはじめていた。
(神様のいじわる! 召喚下手!)
そう思ってしまうのは、勇者のテオ君ですら最前線に立つ以上、無傷というわけではないから。
怪我もするし、呪いのせいなのか毎回、闘っている最中にも発疹が出て、息苦しそうに倒れ込んでいた。
(あんなに鍛練して挑んでも、これでは全力を出しきれないよね。私よりテオ君の方がもどかしくて、つらいだろうな……)
テオ君の気持ちを考えると、私の胸はぎゅっと苦しくなった。
私は数日間、聖女としての期待に堪えられないだけでも焦っているのに、彼は『呪い』の症状でずっとそういう気持ちを持ち続けているということだ。
そのプレッシャーとストレスは私の比ではないはず。
魔獣あふれにあらわれた魔獣王を倒すことを天より命じられた勇者が全力で戦えない現状を打破するべく、異世界から呼ばれた転移者の『聖女』
聖女が呼ばれる理由は様々で、魔獣あふれの対策で呼ばれることもあれば、国政が思わしくないときや災害、凶作時など要するに国難と思われるときに呼ばれるそうだ。
特別な力を発現する聖女もいれば、知識チートで大いに活躍した聖女も過去にはいたらしい。
今まで、聖女がみなそれぞれの役目を果たしているため、この国の人々は異能がなくても『聖女』に絶大な信頼を寄せている。
(なのに、今回の聖女の私には異能もなければ知識チートもない。テオ君の『呪い』の正体なんて見当もつかないよ……。
神様はどうして私みたいに平凡で、おかあさんな私を選んだのぉ?)
テオ君がしんどそうに戦っている姿を何度も目にし、私は何とかしてあげたいと心の底から思っても、似非聖女の私が彼にしてあげられることは何もなかった。
とりあえず新年なので期待を込めて更新をしてみましたが、このままブクマも☆もリアクションもないならなろうの更新はやめようかと思ってます。(2026/01/01時点ですべてゼロなので、HPがないです……涙)




